前回の続きです。
夜行バスでは爆睡できるのに、なぜか山ではテントでも小屋でも眠れない僕…。
今回も例によって深い眠りに入れないまま何度も目が覚めてしまいました。目が覚めるたびに時計をチェックしますが経過するのは30分から1時間程度。
目が覚めた時にテントの外を時々チェックしていましたが、日付が変わる前には広がっていた星空がいつの間にか雲に覆われて見えなくなっていました。
そしてシェルター(テント)の内側には結露した水分が寒さで凍り付いていました。冷たい風が吹いていた谷側の面には凍った水滴もちらほら…。
雲に覆われた朝の空
午前3時を過ぎたところで眠ることを諦め、お湯を沸かしてコーンポタージュを飲みました。スープを飲んで体が少し温まったところで、ストレッチをしたり片付けられるところを整理したりして時間を潰しました。
4時過ぎくらいに再びお湯を沸かして朝食のラーメンを食べ、テント内の片づけを始めました。
日の出予想時間は6時前。
それまでにテントの撤収とパッキングを完了させ、モルゲンロートの有無を確認したのちに涸沢を出発する段取りです。ただ夜から明け方にかけて空を覆った雲の状況を見る限り、モルゲンロートは厳しいだろうなと思っていました。
ところが…
涸沢カールのモルゲンロート
テントを撤収して荷物のパッキングがそろそろ終わりそうな時にテント場がざわつき始めました。
僕はもうモルゲンロートは見れないと思い込んでいて、荷物の片づけに集中していたのですが、周囲のざわつきに気が付いて立ち上がって山のほうを見てみると、山肌が赤く染まっていました。
まさかのモルゲンロートに慌ててカメラを構えて写真や動画を撮影。バックパックに入れてしまった広角レンズを急いで出してカメラに装着してさらに撮影…。
思わぬ朝の演出にテンションが上がりました。
パノラマコースから屏風ノ耳へ
モルゲンロートの時間帯が終わったところで荷物を背負って涸沢ヒュッテに向かいます。この流れで空が一気に晴れてくれれば最高だったのですが、そこまで自然は優しくありませんでした。
涸沢ヒュッテから少し下ったところにあるパノラマコースへの分岐のところでヘルメットにGoProを装着し、少し重くなったヘルメットを被って出発します。
パノラマコースを少し歩いたところで涸沢カールを振り返ります。
テント場はまだ朝支度中といった感じ。
このくらいのんびり準備をして出発すれば良かったなと少し進んだところで後になって後悔するのでした…。
パノラマコースは山と高原地図では破線ルートになっており、危険な区間ということでヘルメットが推奨されています。
歩き進むにつれて道幅は徐々に狭くなり、左に切れ落ちたトラバースは「足を滑らせたら…」と緊張感を高めてくれます。
しばらく歩いていくと槍ヶ岳の穂先が少しだけ見えました。
残念な空模様ではありますが紅葉は綺麗でした。
涸沢周辺とは少し違った種類の木々でしょうか。
鮮やかに色付いていてとても綺麗です。
…とはいえ過度のよそ見は禁物です。
紅葉に見とれて足元を疎かにして滑落…みたいなことになったら大変なので、自分がいま立っている場所を常に意識しながら先へ進みます。
足を滑らせたらヤバいな…という場所は結構ありますが、そういう場所はロープが張ってありますし、掴まらなくても足を踏み込む場所を考えながら進めば怖さはそれほどありません。
写真左の岩が突起している場所が屏風ノ耳です。
ここから見るとその左側にある屏風ノ頭より高く見えます。
トラバース道を過ぎて尾根に出ると、これまで見えなかった景色が目の前に広がります。
遥か先に富士山や八ヶ岳などが見えました。
尾根まで出れば分岐点の屏風のコルまでもう一息です。
この辺りは日当たりが良いからなのか紅葉がとても綺麗でした。
どこも綺麗に色づいていて目を引きます。
屏風のコルから屏風ノ耳へ
屏風のコルは屏風ノ耳・屏風ノ頭と上高地の分岐点です。
天気が悪ければスルーして上高地に下山するつもりでしたが、高曇りではあるものの、そこまで悪天候ではなかったので屏風ノ耳まで登ってみることにしました。
分岐にバックパックを置いて、カメラのみを首からぶら下げて屏風ノ耳に向かいます。
屏風のコルから先は危険個所は特にありません。
涸沢からここまで難なく来れた方なら全く問題ないと思います。
屏風ノ耳に到着!
屏風ノ耳に到着しました。
三角点が目印。
前穂高岳と奥穂高岳と涸沢カール。
涸沢カールと奥穂高岳と北穂高岳。
北穂高岳と大キレットとその先にそびえる槍ヶ岳。
これらを1枚にパノラマ合成した写真がこちら。
青空の面積がもう少しあったら最高なんですが^^;
写真手前の左に屏風ノ頭(ケルンが小さく見えます)、奥には常念山脈が見えます。
なぜか写真を撮り忘れましたが、常念岳から右側には蝶ヶ岳に続く稜線、その奥には富士山や八ヶ岳などが一望できる最高の展望でした。
屏風ノ耳での撮影を終えて屏風のコルに戻る途中で青空が出てきました。
槍ヶ岳方面にも青空が。
登るのがちょっと早すぎましたね…。
まあ上高地までまだまだ距離があるので、無理に長居しても後がつかえるので、撮影はほどほどにして来た道を戻ります。
屏風のコルから上高地へ
屏風のコルでバックパックを回収して上高地に下山します。
ここから徳澤園までは約2時間30分のコースタイム。
このくらいの時間なら僕の膝の爆弾も爆発することなく耐えてくれそうですが、念のために朝から両足に膝サポーターを装着しています…。
屏風のコルに戻る途中で青空がどんどん出てきて、陽の光も差し込んでくるようになりました。
ここから先は延々と下っていくのみなのですが、天気が良くなってきて周囲の紅葉の見栄えが少し増したような気がします。
ゴツゴツした岩と色付いた木々の雰囲気がたまりません。
緊張感のある登山道は屏風のコルまでなので、ヘルメットを脱いでいつものハイキングスタイルで歩きます。
やはり光が入って陰影が出た木々の紅葉は最高ですね。
陽の光が差し込む登山道はこの2日間でここまでなかったので、すごく新鮮な気持ちで歩くことができました。
なんでもないただの葉っぱも撮ってしまいます。
奥又白谷河原
岩がゴロゴロした奥又白谷河原まで来ました。
ずっと日差しが強かったので、どこかで立ち止まって日焼け止めを塗ろうと思っていましたが、結局タイミングを見失ってしまいました。
梓川がだいぶ近づいてきました。
徳澤園のソフトクリームが僕を待っている!
遭難碑のケルンを越えるとほぼ平坦な道になります。
そして林道を右に進んでいくと…
新村橋
吊り橋に出ます。
いつも横尾と徳澤間で見ていたあの橋を対岸から渡ります。
新村橋から徳澤園までは約20分ほど。
ソフトクリームを食べたい気持ちが足を速めます。
徳澤園のソフトクリーム
徳澤園のソフトクリームとファンタグレープ。
ここのソフトクリームは営業していればだいたい立ち寄って食べています。絶妙な場所で販売している美味しいソフトクリームなので食べないわけにはいきません。
明神館・小梨平キャンプ場を経て河童橋へ
明神館の少し手前でGoProのバッテリーが切れてしまいましたが、立ち止まってバックパックを下ろすのが嫌だったので、動画撮影をせずにひたすら歩いて明神館でバッテリーを交換。
予定していたよりも早く明神館まで着いたので、ここで上高地から新島々駅までのバスの時刻をチェックして予約を取り直しました。
その後は淡々と歩いて小梨平キャンプ場を経て河童橋へ。
河童橋は観光客で賑わっていました。穂高方面も焼岳方面も多少の雲は出ていましたが良い天気でした。
おわりに
上高地バスターミナルからはバスで新島々駅まで移動し、そこから電車に乗り換えて松本駅まで移動します。
下山が早まりバスの予約は変更できたのですが、JRのえきねっとがメンテナンスの日だったらしく、予約はできるものの取り消し・変更ができない状況でした。電話は何度かけても話し中で変更の連絡ができませんでした。
仕方なく帰りの電車を新規で申し込み、松本駅に着いたところでみどりの窓口に行って片方の予約を取り消してもらいました。
いつもできていた操作ができなくなっていて、しかもその情報が目立つところにアナウンスされていなかったので戸惑いましたが、無事に事なきを得ました。
無事に予約キャンセルと乗車する電車の発券が完了したので、駅弁とビールを購入して電車に乗り込みました。
あずさの後方の荷物置き場にバックパックを置いて「さあ弁当とビールを頂くぞ!」と立ち上がった瞬間、僕の頭部に衝撃が走りました。
あずさの荷物置きにバックパックを置いて、立ち上がるときに上の棒に頭強打した。(今年2回目) pic.twitter.com/H8iK9vKKUf
— はらですぎ (@hara_desugi) 2020年10月7日
YouTube動画
2日目の動画です。
1日目の動画はこちら。
僕のつたない文章では伝わらない臨場感を動画では確認できると思うので、ぜひご覧になってみてください。
また面白かったら他の登山動画も見ていってください。