先日、家でPC内の写真を整理をしていたところ、北アルプスの裏銀座縦走のフォルダに目が留まり、当時のことを思い出しながら写真を見ていたら裏銀座が無性に恋しくなってきました。
そこで今回は、もし2023年の夏に裏銀座を縦走することになってもいいように情報を収集してまとめてみることにしました。
まだ歩いたことのない方は今後の参考にしていただき、そうでない方は写真や動画などを楽しんで頂ければと思います。
※本記事は過去に歩いた裏銀座縦走時、またはその周辺に訪れた際に撮影した写真を組み合わせて構成されています。ひと繋ぎの山行記事ではないことをあらかじめご了承ください。
記事公開日:2021.06.01 更新日:2023.05.21
- 裏銀座の特徴
- 裏銀座縦走に必要な日数は最低4日
- 小屋泊は予約制・テント場は?
- 事前に準備しておく地図
- 七倉山荘へのアクセス
- 高瀬ダムへのアクセス
- 1日目:ブナ立尾根から烏帽子小屋へ
- 2日目:野口五郎岳・水晶岳・鷲羽岳を経て三俣山荘へ
- 3日目:三俣蓮華岳・双六岳を経て槍ヶ岳へ
- 4日目:下山(上高地or新穂高温泉)
- まとめ
- 過去に裏銀座を縦走した時の記事
裏銀座の特徴
表銀座は中房温泉から燕岳に登り、そこから大天井岳を経て東鎌尾根に入り、槍ヶ岳に至るという北アルプスの王道縦走コースです。
一方、裏銀座は「裏」と言われているだけあって、表銀座よりも登山者が少なくとても静かです。
また、表銀座よりも全長が長く、烏帽子岳・野口五郎岳・水晶岳・鷲羽岳・三俣蓮華岳・双六岳と、槍ヶ岳に至るまでに幾つものピークを踏むことができます。
新型コロナウイルスの影響で山小屋やテント場の利用に予約が必要になるケースが増えていますが、裏銀座周辺の山小屋は予約が不要なテント場が多く、後立山連峰周辺のように予約でガチガチに固める必要がないので、計画に多少の融通が利きます。
裏銀座縦走に必要な日数は最低4日
北アルプスの裏銀座縦走の一般的なモデルコースは3泊4日とされていています。()内の山はその日登ることができる主要な山。
- 1日目:ブナ立尾根から烏帽子小屋(烏帽子岳)
- 2日目:烏帽子小屋から三俣山荘(野口五郎岳・水晶岳・鷲羽岳)
- 3日目:三俣山荘から槍ヶ岳山荘(三俣蓮華岳・双六岳・槍ヶ岳)
- 4日目:新穂高温泉or上高地に下山
日程に余裕がある方は、2日目に三俣山荘に行かずに雲ノ平に立ち寄ったり、3日目に三俣蓮華岳に登ってから黒部五郎岳に登って黒部五郎小舎に1泊したりと、寄り道することが可能です。
小屋泊は予約制・テント場は?
双六小屋のみ指定日が要予約なので、ホームページを確認して宿泊日に予約が必要かどうかを事前に確認しておきましょう。
槍ヶ岳山荘のテント場は予約不要ではありますが、人気のテント場で「設営場所指定制(39張)」なので、到着時間が遅れてしまうと場所が確保できない可能性があります。
その場合は少し下ったところにある殺生ヒュッテにテントを張ることになるので余裕を持った行動計画を立てるようにしてください。
また、登山中何があるか分からないので、ルート上にある山小屋の情報収集も忘れずに行うようにしてください。(急な宿泊が可能かどうか等)
山小屋の情報はスマートフォンなどでスクリーンショットを撮っておきましょう。
事前に準備しておく地図
槍ヶ岳・穂高岳の地図で裏銀座縦走の全体をまかなえます。
紙の地図以外にもスマートフォン版の地図・YAMAPの地図を用意しておきましょう。
あと今回の記事は紙の地図を用意してもらって、それを見ながら読み進めてもらうとより楽しめると思います。
七倉山荘へのアクセス
関東地方在住の方は毎日あるぺん号がおすすめです。
毎日新聞社を前夜に出発して寝ている間に七倉山荘に到着します。
マイカー登山の場合
マイカーの場合は下山した場所から車を回収するのが大変だと思うので、ソロの場合は公共交通機関を利用したほうが良いと思います。
2名以上の登山で車が2台手配できる場合は、まずは車2台でゴール地点(新穂高か上高地)に向かい、1台をそこに停めて残りの1台で七倉山荘に向かえば下山後の車の回収がスムーズにできると思います。
また、裏銀座パーキングというサービスもあるにはありますが、従来の裏銀座縦走のルートを歩く場合にはちょっとマッチしないサービスかもしれません。
タクシーは結構いいお値段なので最後の手段といった感じでしょうか…。
裏銀座登山バス
2023年7月15日より信濃大町駅から七倉山荘をバスが定期運行で走ることになりました!
運行日や時刻表は以下のリンクからご確認ください。
信濃大町駅からタクシーを利用する場合
電車の場合は信濃大町駅からタクシーに乗り換える必要があります。
グループ登山であればタクシー代を割り勘できるので、それほど高額にはならないと思いますが、ソロの場合はそれなりの料金になるので毎日あるぺん号を利用したほうが良いと思います。
信濃大町からタクシーに乗る場合は七倉山荘ではなく、高瀬ダムまで乗せてもらいましょう。ヤマケイオンラインの情報に信濃大町駅から高瀬ダム間は約45分の約8,200円と記載されています。
高瀬ダムへのアクセス
七倉山荘からブナ立尾根の登山口に行くには高瀬ダムを経由する必要があります。七倉山荘から歩いていくと1時間30分~2時間かかり、乗り合いタクシーを利用すると15~20分ほどで到着します。
毎日あるぺん号が七倉山荘前に到着するのが午前4時前で、山荘前のゲートは朝5時30分くらいにならないと開かないので、タクシーが出発できる時間まで1時間30分ほど待つ必要があります。
こんなに待つなら歩いた方が早いのではないか?という思いが頭をよぎりますが、高瀬ダムまで徒歩1時間30分~2時間なので、午前4時前に出発すると到着は午前5時半~6時ということになります。
タクシーの出発は午前5時30分で、高瀬ダムまで15~20分なので、午前6時前には到着する計算になります。
…つまり歩いてもタクシーに乗っても高瀬ダムに到着する時間はそれほど変わりません。それなら無理に歩く必要はないよね…と殆どの登山者はタクシー乗り場の列に並びます。
ちなみに乗り合いタクシーは2,200円くらいなので、4人で乗れば1人当たり550円くらいで済むと思います。
1日目:ブナ立尾根から烏帽子小屋へ
ブナ立尾根は日本三大急登と北アルプスの三大急登にそれぞれ数えられる厳しい登りとされていますが、個人的にはそれほどではないかな…という印象です。
ヤマタイムのコースタイムは5時間30分となっていますが、これまで2回登った僕からすると「そこまでかからないんじゃないかな…」というのが率直な感想です。
…とはいえ1日目は烏帽子小屋に泊まるのでそんなに急いでも仕方がないので、昼過ぎくらいの到着を目途に無理のないペースで登るのが良いと思います。
ブナ立尾根はカウントダウン方式で進み具合を数字で確認することができます。
登山口が12番で烏帽子小屋が0番になります。
烏帽子小屋
ブナ立尾根を登り切りれば1日目のゴール、烏帽子小屋に到着です。
烏帽子小屋の前はイワギキョウとコマクサが群生していて、7月中旬から下旬にかけて綺麗な花を咲かせます。
そして小屋の前からは赤牛岳がよく見えます。
小屋でテント泊の申込みを済ませて、テントを設営して一息入れます。もし時間に余裕があれば小屋から少し歩いたところにある烏帽子岳に向かいましょう。
烏帽子小屋は7月上旬の営業開始を予定しているようです。
烏帽子小屋のテント場は予約不要
裏銀座は表銀座と比べると登山者はそれほどいませんが、それでも烏帽子小屋のテント場はまあまあ混みます。
七倉山荘から朝一番で出発していれば場所取りに困ることはないと思います。
テント場はペグも効きやすく張りやすい場所が多い印象です。
2020年は新型コロナの影響でテント場の利用はできませんでしたが、2021年以降は運営が再開され「予約不要」で利用できるようになりました。
テント場は1張り2,000円。
水場はなく小屋で1リットル200円で購入可能です。
トイレは烏帽子小屋の目の前にあります。
いわゆる「山小屋のトイレ」です。
烏帽子岳
烏帽子岳は烏帽子小屋から50分ほど。
後立山連峰の最南峰の山で、花崗岩で形成された烏帽子状の山容が特徴です。
標高は2,628mです。
2日目:野口五郎岳・水晶岳・鷲羽岳を経て三俣山荘へ
2日目は烏帽子小屋のテント場から野口五郎岳・水晶岳・鷲羽岳を経て三俣山荘に向かいます。
三ツ岳に向かってしばらく上り坂が続きます。
稜線に出て三ツ岳を越えていくと野口五郎小屋まで比較的なだらかな道が続きます。
野口五郎小屋
次の休憩ポイントは水晶小屋なので、補給とトイレは忘れずに。
この先にある水晶岳に絶対に登りたい!という方は、1日目の宿泊地を野口五郎小屋にするのもアリだと思います。
2日目が烏帽子小屋スタートで水晶岳と鷲羽岳の両方に登ろうとすると、それなりのスピードと体力が求められるので、何がなんでも水晶岳!という方は野口五郎小屋に泊まったほうが良いかもしれません。
テント場がないので山小屋泊になりますが。
野口五郎小屋で休憩したあとは野口五郎岳の山頂に向かいます。
岩がゴロゴロした道を登っていくと…。
野口五郎岳
野口五郎岳の山頂に到着します。
野口五郎岳は標高2,924.3mの山で、山の名前の由来は、この山が属する長野県大町市の集落「野口」に大きな石が転がっている場所を表す「ゴーロ」→「五郎」がくっついて野口五郎岳になったそうです。
黒部五郎岳も似たような由来だったと思います。
野口五郎岳は歌手の野口五郎の名前の由来になった山としても知られていますね。ちなみにデビュー前の名前の候補の中に「黒部五郎」もあったとか…。
野口五郎岳からは裏銀座縦走のゴール地点の槍ヶ岳をはじめ、これから歩くルートが一望できます。
そして竹村新道分岐を経て東俣乗越へ。
ここから水晶小屋まで険しい登りが続きます。
水晶小屋への最後の登りが結構大変です。
見えてからが遠いのパターン…。
登り切ったところで休憩しましょう。
水晶小屋
水晶小屋に到着したら一息入れましょう。
ここのトイレは洋式水洗でとても綺麗なので、トイレ休憩は水晶小屋がおすすめです。この標高でこのトイレは素晴らしいと思います。
水晶岳に登る場合は小屋の前にバックパックを置かせてもらい、必要な荷物だけ持って出発します。
水晶小屋は7月7日より営業開始予定です。
水晶小屋から水晶岳へ
水晶小屋から水晶岳は往復で1時間10分ほど。
水晶小屋から鷲羽岳を経由して宿泊地の三俣山荘に行く場合は3時間弱かかるので、現在の時間と残りの体力をよく考えて登るかを決めましょう。
僕は烏帽子小屋から三俣山荘までのルートを過去に2回歩きましたが、水晶岳は体力的な問題・天候的な問題でいずれもスルーしました…。
無理は禁物ですが、水晶岳周辺の眺望は最高なので、天気が良く体力と時間に余裕があればぜひチャレンジしてみてください。
左手には黒部五郎岳や雲ノ平、写真には写っていませんが薬師岳もよく見えます。
身の危険を感じる箇所はありませんが、足を滑らせたら危ない場所はそれなりにあるので注意は必要です。
山頂に近づくにつれ、地面や岩が水晶?でキラキラしていてとても綺麗です。
水晶岳
水晶岳の山頂です。標高は2,986m。
水晶岳の山頂はゴツゴツした岩場になっていて休憩できるスペースは限られています。
手前には荷物を置いてきた水晶小屋が、右奥にはこれから向かう鷲羽岳、さらに中央奥にはゴール地点の槍ヶ岳がよく見えます。
天気が良いと最高の眺めなのでチャンスがあればぜひチャレンジしてみてください。
上の動画は三俣山荘から鷲羽岳経由で水晶岳に登った際に撮影した動画ですが、水晶岳の周辺・山頂がイメージできると思うのでご覧になってみてください。
水晶岳に向かうシーンから始まります。
三俣山荘へのルート①:水晶小屋から鷲羽岳を経由
水晶小屋に置いたバックパックを回収して2日目の宿泊地である三俣山荘に向かいます。
三俣山荘に向かうルートは、鷲羽岳の山頂を経由するルートと山頂を経由せずに沢沿いを巻くルートの2通りあります。
まずは鷲羽岳を経由する場合。
水晶小屋から鷲羽岳方面に向かい、ワリモ北分岐から鷲羽岳に登ります。
ワリモ岳を越えてさらに登ったところに鷲羽岳の山頂があります。
標高2,924m。
山頂直下には鷲羽池、そして硫黄尾根、槍ヶ岳と見事な景色が広がります。
山頂からはザレた道を下って三俣山荘に向かいます。
上の写真中央に見えるのが赤い屋根の小屋が三俣山荘で、その奥には3日目に登る三俣蓮華岳、そこから左に伸びる稜線の先に双六岳が見えます。
ご覧の通りの絶景なので天気が良ければこちらから行くことをお勧めします。
三俣山荘へのルート②:水晶小屋から岩苔乗越を経由
次に水晶小屋から岩苔乗越を経由する場合。
天気が悪く眺望がイマイチな場合、または何らかの理由で三俣山荘に早く向かいたい場合はこちらのルートが良いかもしれません。
ワリモ北分岐を三俣山荘方面に下り、岩苔乗越の分岐から三俣山荘方面に向かいます。
ここからしばらくの間、沢沿いを下っていきます。
三俣山荘まで下るだけと思いきや…。
下り切ったところから三俣山荘に登り返します。
上の写真は別のルートから撮影したものですが、写真左下から山荘(槍ヶ岳の右下くらいにある赤い屋根の小屋)に伸びている道が岩苔乗越から三俣山荘に通じるルートです。
最後の登りがゲンナリしますが、コースタイム的には鷲羽岳を経由するよりも早いとされています。
先程紹介した動画ですが、水晶岳に登った後に三俣山荘に向かうルートが入っていますので岩苔乗越から三俣山荘のルートが気になる方は確認してみてください。
水晶小屋を出発したシーンから始まります。
三俣山荘
三俣山荘に到着したらテント場の受付を済ませます。
鷲羽岳から下ってきた場合は三俣山荘の目の前に出るので先にテント場の受付を、岩苔乗越から沢沿いを歩く場合はテント場に出るので、先に設営場所を押さえてから小屋に向かいましょう。
ちなみに三俣山荘は携帯電話の電波が入らないので、天気やその他調べたい情報があれば道中の電波が入る場所で事前に調べておきましょう。
三俣山荘は7月7日より営業開始予定です。
三俣山荘のテント場は"指定日以外"は予約不要
テント場の料金は、1張り1,000円+1名1,000円なので、ソロの場合は1泊2,000円になります。(1張り2名の場合は1,000円+2,000円となります)
テント場は三俣山荘のすぐ傍から三俣蓮華岳方面に向けて縦長に伸びています。トイレは小屋泊・テント泊いずれも三俣山荘内のトイレを利用するので、小屋に近い場所にテントを設営した方が便利だと思います。
また、水場はテント場と三俣山荘前にあり、どちらも無料で利用できます。この辺りは水が豊富で雨水の再利用ではないので、煮沸しなくてもそのまま飲めます。
展望食堂
三俣山荘といえば展望食堂です。
天気が良ければ窓から槍ヶ岳が見えます。
カウンターで美味しいサイフォンコーヒーを飲みながら槍ヶ岳を眺める贅沢な時間をすごすことができます。
昼の部は8:30~16:00でビールや軽食、美味しいサイフォンコーヒーなど多彩なメニューが用意されています。(ラストオーダー食事15:00、喫茶15:30)
夕食は名物のジビエシチューがふるまわれます。テント泊の方でも2,800円の追加料金で食べることができます。少々お高いですが旅の記念に1回は試してみてはいかがでしょうか。
夕食後は「夜の部」として21時まで利用できます。
3日目:三俣蓮華岳・双六岳を経て槍ヶ岳へ
3日目は西鎌尾根を経てゴールの槍ヶ岳まで歩く長丁場になりますので、万全の体制・体調で挑みましょう。
コースタイムは、三俣山荘から三俣蓮華岳・双六岳を経由すると8時間10分ほど。
天候が悪く、少しでも早く先に進みたい場合は三俣蓮華岳の山頂直下の分岐から巻道を使って双六小屋へショートカットすることができます。その場合のコースタイムは7時間25分となっています。(いずれもヤマタイム調べ)
天気が良ければ巻かずに山頂を経由することをお勧めします。
三俣蓮華岳
三俣蓮華岳は三俣山荘から1時間弱で登れます。
標高は2,841m。
上の写真は明るくなってからテント場を出発して山頂に到着した時に撮影したものですが、同日に槍ヶ岳山荘を目指す場合は日の出の時刻に山頂に到着できるように行動したほうが良いと思います。
三俣蓮華岳から見た黒部五郎岳。
日程に余裕のある方は、黒部五郎岳まで足を伸ばすのも良いと思います。
ちなみに黒部五郎小舎は双六小屋系列で特定日は完全予約制なので、立ち寄る方は予約が必要な日かどうかを事前に確認しておきましょう。
特に寄り道をしない場合は三俣蓮華岳から双六岳に続く稜線を歩いて先に進みます。
途中で双六小屋にショートカットできる「中道」への分岐がありますが、ここまで来て双六岳を巻くのはどうかと思うので、何か問題が発生していない限りは先へ進みましょう。
双六岳
双六岳は山頂からの眺めが最高なので、まだ登ったことのない方はぜひ挑戦して欲しい山です。
標高は2,860 m。
山頂はソフトバンク・ドコモの携帯が入ることをこれまで確認しています。双六小屋まで下ってしまうと電波が入りづらくなるので、情報収集が必要な場合は双六岳の山頂で行いましょう。
双六岳から双六小屋に向かうなだらかな稜線は、槍ヶ岳が見える登山道の中で最も好きな場所です。
この稜線は最高なので是非!
裏銀座縦走ではありませんが、三俣山荘から三俣蓮華岳に登って双六岳に向かうシーンが収録されていますので、興味のある方はご覧ください。
双六岳からしばらく下っていくと、三俣蓮華岳の山頂直下で分岐した巻道と合流します。ここまで来れば双六小屋まであと少しです。
双六小屋
双六小屋から槍ヶ岳山荘までは約5時間です。
ここで休憩とトイレを済ませて水の補給(トイレ前の洗面所で無料で利用可能)も行いましょう。
3日間しか休みが取れず、槍ヶ岳はもう何回も行ったから…という方はここから新穂高温泉に下山するのもアリだと思います。
また、不測の事態もあると思いますので、双六小屋のテント場が予約不要で使えるかどうかを事前に確認しておきましょう。
双六小屋を出てすぐに樅沢岳に続く登りが始まります。
樅沢岳に登り、硫黄乗越まで一旦下り、さらに登り返した少し先からが裏銀座縦走の核心部、槍ヶ岳に続く西鎌尾根の始まりです。
硫黄乗越から次のチェックポイントの千丈乗越までは2時間20分ほど。
まだまだ先は長い!
西鎌尾根
…とは言っても慎重に歩けば怖さを感じる場所は殆どありません。
先に進むにつれてクサリ場などが出てきますが、登りであればそれほど怖さは感じないと思います。
槍ヶ岳に近づくにつれて槍ヶ岳っぽさが感じられなくなってきます。
千丈沢乗越の分岐を越えれば槍ヶ岳山荘まであと少し!
…といっても1時間30分ほど歩きます。
槍ヶ岳も槍ヶ岳山荘も見えてはいますが、まだまだ気を緩めてはいけません。
槍ヶ岳山荘
ガレた九十九折を登り切れば槍ヶ岳山荘に到着です。
すぐに一休みしたいところですが、休憩の前にテント場の受付に行きます。
槍ヶ岳山荘のテント場は予約不要ですが、受付の際に指定された場所にテントを張るルールになっています。
一般的なテント場であれば「ちょっとズレてもらっていいですか?」みたいな感じで、他の登山者に空きスペースを融通してもらうことができますが、槍ヶ岳山荘のテント場は張る場所が決まっているのでそれができません。
したがってテント場が埋まってしまった場合は、槍ヶ岳山荘から少し下ったところにある殺生ヒュッテまで移動しなければなりません。
殺生ヒュッテは予約不要で80張程度のスペースで、槍ヶ岳山荘から下り30分・上り60分程度のコースタイムです。
槍ヶ岳山荘は営業中、殺生ヒュッテは6月中旬頃を予定しているようです。
槍ヶ岳山荘のテント場
槍ヶ岳山荘のテント場は1張 2,000円です。(テント大学生以下は1,000円)
前述した通り場所指定制で39張しか張れません。
水は1リットル200円でトイレは専用の外トイレがあります。
テント場は穂高方面が一望できる南側と、ごつごつした岩場を縫うように用意された南側があります。
場所の希望は混雑している時はできませんが、空いている時であれば希望が通るかもしれません。最後に槍ヶ岳山荘に泊まった時は、上の写真のような今にも岩が倒れてきそうな場所に張らせてもらいました。
人通りも少なく槍ヶ岳がよく見えるなかなか良い場所でした。
槍ヶ岳山頂へ
テントの設営が完了したら槍ヶ岳の山頂に向かいます。
ヘルメットは持参するべきですが、槍ヶ岳山荘で週末のみレンタルすることができます。
山頂は岩につけられたペンキを見ながら慎重に登っていけば危険に感じる場所はほとんどありません。
ただし、足元が崩れやすい場所もあるので、浮石を踏んだり落石させて後続に怪我をさせたりすることがないように気を付けましょう。
上の動画は槍ヶ岳に登り始めるところから映像が始まるので、雰囲気を動画で確認したい方はご覧になってみてください。
山頂は混んでいなければ30分ほどで到着します。
足を踏み外すと落ちて死ぬのですれ違いの時は注意しましょう。
登山者で混雑している時は次から次へと登ってくるので、長居したい気持ちをぐっとこらえて適当なところでテント場に戻りましょう。
夕方になったら西鎌尾根方面に少しだけ下ると綺麗な夕焼けが見えると思いますので、天気が良ければ足を伸ばしてみてください。
4日目:下山(上高地or新穂高温泉)
最終日は下山です。
槍ヶ岳山荘からの下山は上高地か新穂高温泉のいずれかになります。
松本駅経由で帰るなら総合的に上高地
松本駅を経由して電車で帰る場合はバスの本数が豊富で移動がスムーズな上高地一択(バスで上高地→新島々、電車に乗り換えて松本駅へ)なのですが、新型コロナウイルスの影響で下山後すぐに入れる日帰り温泉がありません。
僕が愛用していたインフォメーションセンターのシャワールームも昨年に引き続き利用できなくなっています。
日帰り温泉に入れるのは上高地温泉ホテルだけ?
少し離れていますが、上高地温泉ホテルが15時まで日帰り温泉をやっているようなので、上高地バスターミナルから少し歩いて温泉に入り、そこから帝国ホテル前のバス停まで歩いてバスに乗るのが唯一の方法でしょうか。(他にあったら教えてください)
新型コロナの状況次第で営業方針・時間が変わる可能性があるので、利用を検討している方は直前にホームページを必ず確認してください。
上高地バスターミナルから松本駅に行くバス
ちなみに上高地からのバスは予約制なので事前にネット予約しておきましょう。(松本駅までの乗車券が購入できます)
新穂高温泉なら中崎山荘 奥飛騨の湯で疲れを癒せます
多少の不便があっても旅の汚れを落として帰りたいという方は、新穂高温泉に下山して「中崎山荘 奥飛騨の湯」に立ち寄ってみてはどうでしょうか。
バスの乗り継ぎが悪いので松本駅に出るまで時間がかかりますが、下山後すぐに温泉に入りたい場合は新穂高温泉が良いと思います。
中崎山荘はこれまで何度も利用している温泉で、温泉後の食事や風呂上りの休憩スペースが充実しています。(不定休なので事前に営業日を確認してください)
新穂高ロープウェイから出ているバスは、同じバス停から松本駅直通とそうでないバスが出ているので事前に時刻表をよく確認してください。
新穂高ロープウェイから松本駅の直通バス
期間限定:2023年8月11日~8月15日
- 11:30 新穂高ロープウェイ発→13:38 松本駅着
平湯温泉で乗り換えて松本駅へ行くバス(注意!)
下のリンク先の時刻表をチェックして、以下の平湯温泉発の時刻までに平湯温泉に到着する新穂高ロープウェイ発のバスに乗ってください。
以下は平湯温泉を出発する時刻です。
- 12:55 平湯温泉発→14:23 松本駅着
- 14:55 平湯温泉発→16:23 松本駅着
- 17:55 平湯温泉発→19:23 松本駅着
つまり、
- 12:55までに平湯温泉に到着する
- 14:55までに平湯温泉に到着する
- 17:55までに平湯温泉に到着する
…ということです。
時間に余裕をもって到着してバスターミナルでのんびりするのもアリだと思います。
まとめ
以上、サクッとまとめるつもりが過去の写真や動画を見ながら色々書いていたらとんでもなく長くなってしまいました。
これまで表銀座と裏銀座ともに2回歩きましたが、個人的には裏銀座が好きです。
最低でも休みが4日間必要で、スタート地点までの移動が大変なので、なかなか挑戦しずらいかもしれませんが、とても楽しいコースなので機会があれば是非挑戦してみてください。
僕は今年あわよくばと考えていますが果たして…。