はらですぎ

山とビールを愛するメタボリックおやじの登山ブログです。

夏の富士山を御殿場ルートから日帰りで登ってきました

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梅雨が明けて暑い夏がやってきました。

7月17日の土曜日はどこも快晴の予報でしたが、土曜日に休みを取ることができなかった僕は1日仕事でした。仕事の合間にTwitterを開いてみると案の定、精神衛生上よろしくない山の写真が沢山流れてきました。

土曜日は残念ながら休むことができませんでしたが、翌日の日曜日は日帰りでどこかの山に行こうとタイムズカーシェアで車を予約していました。

当初は土日登山の方々に負けじと北アルプスや八ヶ岳周辺を日帰りで登ろうと考えていたのですが、仕事でくたくたに疲れてしまった僕は、疲労困憊の状態で長時間ドライブはしたくないと思い、運転時間が短くて済む家から割と近い場所を検討することにしました。

色々と熟考した結果、北アルプスよりも近く、北アルプスの山々よりも標高の高い富士山に登ることに決めました。(運転時間は短くなるけど行動時間は伸びるぞ、という心の声を無視しながら)

富士山は僕が登山を始めるキッカケになった山

富士山が世界文化遺産に登録された2013年に、職場の同僚に誘われて富士山に登ったのが僕の初めての登山でした。

吉田ルートをヘロヘロになりながら登り、何とか山頂に到着して、駐車場に戻ったのが19時過ぎという無計画で危うい弾丸登山でした。

ただ、苦労して山頂に辿り着いた時の達成感と、そこから見えた見事な景色に心を奪われた結果、登山が趣味になりました。

あれから8年。

果たしてこれまで培ってきた登山経験は今回の富士登山に活かせるのでしょうか?

富士山どこから登るか問題

富士山は誰もが知る日本で一番高い山。

標高は3776.12 mです。

山頂へのルートは最もメジャーな吉田ルートを筆頭に、須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートと富士山に登る登山道は全部で4通りあります。

fujisan-climb.jp

富士登山の最長ルート「御殿場ルート」に挑戦!

吉田ルート・須走ルート・富士宮ルートはマイカー規制で登山口まで車で移動することができません。駐車場からバスに乗り換えて登山口まで移動する必要があるので日帰り登山には向いていません。

そこで今回はマイカー規制のない御殿場ルートから富士山に登ることに決めました。

御殿場ルートは4つのルートの中で最も歩く距離が長いルートになっています。距離が長いぶん行動時間も長くなりますが、登山口近くの駐車場までアクセスできますし、下山後に駐車場まで移動するためのバスの時刻を気にする必要もありません。

宝永山や大砂走りなど他のルートにはない面白さ、これからの夏山登山に向けてのトレーニングになるかな…と思い挑戦してみることにしました。

またOKPさんのブログによれば他のルートよりも登山者が少ないとのデータもあるようなので、登山道の渋滞や登山者との密な状況が避けられると思ったのも今回このルートを選んだ理由でもあります。

moognyk.jp

前夜

仕事を終えた土曜日の夜に予約していたタイムズカーシェアの車に乗り、東名高速道路で御殿場方面へ向かいます。

久しぶりの運転に少々緊張はしたものの、予定通りに富士山御殿場口五合目 第二駐車場に到着。週末ということもあって第二駐車場は満車寸前でしたが、なんとか空きスペースを見つけて無事に車を停めることができました。

そしてスマートフォンのアラームを設定してシートを倒して翌朝の出発時間まで仮眠を取りました。

御殿場ルート 新五合目の登山口から出発!

午前3時。

セットしていたアラームが鳴る前に目が覚めました。

前日は23時30分くらいに消灯したので、睡眠時間は3時間半ほど。車の中での仮眠とはいえ3時間半はちょっと足りない気がしますが、寝覚めもよく体調も問題なさそうだったので、出発の準備を始めます。

前日の夜にコンビニで買っておいたおにぎりを食べ、ヘッドライトを点灯させて駐車場を出発。

登山口に向かいます。

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御殿場ルート 新五合目の登山口は第二駐車場から歩いてすぐの場所にありました。

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富士山に登る際は登山協力金を支払うことになっていますが、さすがにこの時間は誰もいないだろうな…と思って登山口に向かうと、なんと設営されたテントの中で検温と検温済みを示すブレスレットの配布が行われていました。

お疲れ様です。

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富士山保全協力金は下山後に支払ってくれとのことで、検温後のブレスレットだけ受け取って出発しました。

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暗闇をヘッドライトで照らしながらしばらく歩き、大石茶屋を越えて登山道に入ります。

しばらく歩いていると太陽が出てきました。

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富士山の周りは雲一つありません。

この時は「あれ、富士山の山頂って割と近いのでは…」みたいなことを思っていたのですが、そんなことは決してないことを歩きながら実感していくのでした。

足場の悪い登山道を行く

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序盤は歩きづらい道が続きます。

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傾斜のある砂浜を歩いているような感じで、足を踏み込んでもずるりと滑り落ちてしまって思うように進むことができません。

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踏み固められた道なら楽々登れる傾斜ですが、思うように歩くことができずに体力を消耗していきます。

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ところがトレイルランナーの方々は大して滑らずにスイスイと登っていきます。背負っている荷物の重量が違うとはいえ、僕と一体何が違うのでしょうか?

2021年オープンの半蔵坊で休憩

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しばらく歩いていくと小屋のようなものが見えてきました。スマートフォンの山と高原地図やYAMAPのアプリには表示されていない小屋です。

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どうやらここは半蔵坊という場所で、今年整備が完了してオープンした避難小屋&トイレとのこと。

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半蔵坊は新六合目(標高2,590m)に位置しており、登山口から3時間30分ほどのコースタイムになっています。

大石茶屋とわらじ館の中間くらいの位置にあるので、トイレが心配だった方には半蔵坊のオープンは嬉しいニュースではないでしょうか。

hanzobo.main.jp

半蔵坊のベンチに腰を下ろして行動食を食べて再出発。

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補給がうまくいったのか休憩前よりも体がだいぶ楽になりましたがそれもつかの間。すぐにエネルギーが切れて休憩前の状態に戻りました。

わらじ館で休憩

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8時10分にわらじ館に到着しました。

わらじ館に来るまでに結構な人数の登山者(殆どがトレイルランナー)に追い抜かれました。出発前はもう少しやれる自分を想像していたのですが…。

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わらじ館は箱根の山々や、

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遠方には江の島まで見える眺めの良い場所でした。

小屋でコカ・コーラを購入し、持ってきたパンを頬張ります。

休憩中にスマートフォンの充電をしようと思い、モバイルバッテリーを出したところでUSBケーブルを車に忘れてきたことに気が付きます。

常に電波が入っていたので機内モードにしなくてもバッテリーの減りはそれほどないと思っていたのですが、この段階で残量が30%を切っていました。

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とりあえずこのまま様子を見ながら歩いて、バッテリーの減りが早そうなら次の小屋で無理を承知でUSBケーブルを貸してもらう交渉してみることにしました。

赤岩八合館で休憩

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その後も後続に追い抜かれながら標高を上げ、赤岩八合館に到着しました。

赤岩八合館の標高は3,300mらしいので、この段階で標高2位の北岳を超えたことになります。結構登ってきましたね。

スマートフォンのバッテリーを確認すると、残量が20%を切ってしまい山と高原地図のログが停止してしまいました。(YAMAPは動いていました)

これはマズイと思い、赤岩八合館に入ってスタッフの方に「下山時に返却するのでUSBケーブルを貸してもらえませんか?」と尋ねてみたところ、快く貸してくださいました。

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九死に一生を得た僕のスマートフォンの液晶には「充電中」と表示され、山と高原地図のログの記録が再開されました。

赤岩八合館のスタッフさんありがとうございます!

小屋でトイレ休憩を済ませたのちに山頂に向けて出発します。

九合目からさらにペースが落ちる

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赤岩八合館を出てからペースはますます落ちて、つづら折りを少し歩くたびに立ち止まり息を整えて…を繰り返しじわじわと標高を上げていきます。

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あそこまで行けば山頂だということが分かっていても疲れた体は言うことを聞いてくれません。

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そしてようやく…。

山頂に到着

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11時19分。

御殿場ルートの山頂に到着しました。

ヘロヘロになりながらなんとか登り切りました。

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「2013年の俺とは違うぜ!」と意気込んでいた朝の僕はもういません。とりあえず富士宮ルートの山頂方面に向かい、火口の近くの石に腰を下ろして休憩します。

疲労困憊で剣ヶ峰は今回も見送り…

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当初は2013年に登らなかった(というかその存在すら知らなかった)剣ヶ峰に登ろうと思っていましたが、すぐそこにあるたかだか片道20分程度の登りすらやる気が起きず…。

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結局パンを頬張って休憩しているところで「疲れたから剣ヶ峰とお鉢巡りは次の機会にしよう。閉山後の平日に富士宮ルートから登ればたぶん余裕…」という登りたくない派の感情が勝利し、このまま下山することが決まりました。

帰りも長丁場ですからね…。

剣ヶ峰とお鉢巡りは次のお楽しみにとっておこうと思います。

下山開始

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荷物をまとめて来た道を戻ります。

山頂から九合目くらいまでは足元の悪いザレた道を下るので、滑ってしりもちをつかないように慎重に歩きます。

「それにしても歩きづらい道だな…」なんて思いながら下っていると、僕の横をトレイルランナーがひょいひょいと軽快に走りながら下っていきます。

どうやったらここを走って下れるんだ?とトレラン勢に追い抜かれるたびに彼らの足さばきをジッと観察しましたがよく分かりませんでした。

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その後、赤岩八合館に到着したので借りていたケーブルを返却し、小屋の前のベンチで休憩したのちに、わらじ館の先にある大砂走りのスタート地点に向かいました。

爆走!大砂走り

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大砂走りは御殿場ルートの7合目から登山口付近まで続く、ぶ厚い火山灰に覆われた下山道で、深いところでは足首まで埋まるため、踏み込んだ時の衝撃を緩和してくれます。

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ここに来るまでは半信半疑でしたが、実際に走ってみると面白いくらいに衝撃を吸収してくれて驚きました。両膝に膝痛の爆弾を抱えている僕ですが、そんなことを気にせずに足を踏み込むことができました。(ゲイター・スパッツ推奨)

とはいえずっと走っていられるほど体力は残っていませんので、ある程度楽しんだところでスピードを緩めて歩いて下山しました。

大石茶屋でブルーハワイ

クッション性に優れた大砂走りをずっと歩いていたからなのか、もしくは疲労によるものなのかは分かりませんが、圧接された路面を歩こうとするとうまく歩けません。

幸い大砂走りが終わった後も大石茶屋付近まで登山道の脇に似たような柔らかい砂地が続いていたので、そこを歩いて足に負担がかからないように歩きました。

そして朝は真っ暗で何も見えなかった大石茶屋に到着すると「かき氷」の暖簾が!

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疲れ果てたゴール寸前(ほぼゴール)の茶屋で「かき氷」が売っていたら食べるしかありません。

1日中太陽に照らされて火照った体をかき氷が少しだけクールダウンしてくれました。

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15時46分。

無事に下山することができました。

朝払えなかった登山協力金を支払い領収書と缶バッジを貰います。

駐車場に戻って改めてズボンやバックパックを見てみると砂だらけになっていました。

これが大砂走りの代償…。

流せるものは水に流し、あとはウェットティッシュなどでふき取って、諸々の片付けが終わったところで帰路につきます。

帰りの東名高速道路で渋滞にはまる…

思っていたよりも早い時間に戻ってこれたし、渋滞にはまらなければ夕方には家に帰れそうだ…と思いながら車を走らせますが、東名高速道路で事故渋滞に巻き込まれてしまいました。

結構疲れていたので、途中のサービスエリアで仮眠して渋滞の緩和を待つことも検討しましたが、車を返却する時間は伸ばせないので運転を頑張ることにしました。

タイムズの駐車場には予定の2時間押しくらいで到着しました。

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約8年ぶりになる富士登山。

これまでの経験を活かして山頂まで楽々…とはいかず歴史は繰り返されました。確かに登山の経験は積みましたが、それ以上に大量の脂肪を身に着けてしまったのが原因かもしれません…。

あまりに疲れたので下山直後は「御殿場ルート日帰りは二度とやりません」とツイートしましたが、もし体重をある程度落とすことができたらいつか再チャレンジしたいと思います。

今回も疲れが先行して景色をあまり楽しめなかったので、次は閉山後の平日に山頂まで距離の短い富士宮ルートで登ってみようと思います。

YouTube動画

大砂走りを必死に走るオッサンの映像が収録されております…。