はらですぎ

山とビールを愛するメタボリックおやじの登山ブログです。

北アルプスの蝶ヶ岳にテント泊して翌日に常念岳に登って三股に下山する周回登山の計画が雷雨に見舞われた結果…

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8月1~2日で北アルプスの蝶ヶ岳にテント泊登山してきました。

緊急事態宣言前とはいえ関東近県は新型コロナウイルスの感染が拡大していたので、不特定多数が乗車する夜行バスで長時間移動するのはリスクが高いと考え、タイムズカーシェアで車を手配しました。(7月から8月上旬に予約していた夜行バスを3便ほどキャンセルしました)

そして駐車場からバスなどに乗り換えないで登山口に行ける場所を検討した結果、安曇野の三股駐車場を起点に蝶ヶ岳と常念岳に登る周回登山に決めました。

三股駐車場で仮眠後に出発

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タイムズカーシェアで予約しておいた車で登山口近くの三股駐車場まで移動して車中で仮眠をとりました。

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朝4時に起床し、準備を整えて4時30分に駐車場を出発します。

今回は蝶ヶ岳から登る

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三股駐車場から少し歩いたところにある登山口から蝶ヶ岳方面に進みます。

何年か前の夏は常念岳方面から登って、常念小屋のテント場に泊まって、翌日に蝶ヶ岳方面に歩きましたが、蝶ヶ岳の朝の雰囲気が好きなので今回は時計回りに登ることにしました。

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蝶ヶ岳に向かう登山道は、まめうち平の手前と山頂近く以外は緩やかな登りなので、歩きやすくコースタイムもそれほどかかりません。

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出発して少し歩いていくと陽の光が差し込んできました。

ここ最近の北アルプスは午前中に晴れて午後から天気が崩れるパターンが多く、この日もそんな感じの予報になっていました。

まめうち平

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水場、ゴジラみたいな木(ゴジラというよりはティラノサウルス)を通り過ぎ、さらに登っていくと休憩ポイントのまめうち平に到着します。

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ここはベンチや切り倒した木などが置かれている平坦な場所で、蝶ヶ岳に向かうルート上で一番大きい休憩場所になります。

持ってきたアミノ酸系のゼリー飲料を流し込んで小休止。

階段地獄?スタート

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まめうち平を出発すると、しばらく平坦な道が続きますが、徐々に階段の出現頻度が上がってきます。

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延々と階段が続いてげんなりしますが、きつい段差はなく一定間隔に配置されているのでとても歩きやすいです。

登山道を維持・管理されている方々に感謝。

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湧きあがってくる雲に追い抜かれてしまいました。

朝は晴れていたのに…。

山頂直下のお花畑

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階段を登り終え大滝山への分岐に到着しました。

ここまで来れば蝶ヶ岳はすぐそこです。

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分岐の周辺にはコバイケイソウやクルマユリなどの高山植物が群生していました。

蝶ヶ岳の山頂へ

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お花畑から少し登ると蝶ヶ岳ヒュッテのテント場に到着します。

まだ「朝」なのでテント場はガラガラです。

目ぼしい場所にバックパックを下ろして山頂に向かいます。

テント場から階段を登ると槍・穂高の展望台に出ます。この日は残念ながら峰々は雲の中でしたが、晴れているとそれは見事な稜線が目の前に広がります。

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蝶ヶ岳の山頂に到着しました。

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蝶ヶ岳の山頂はテント場から徒歩数分で、傾斜もほとんどないので散歩感覚で何度も往復が可能です。

蝶ヶ岳の山頂を無事に踏めたので、テント場の受付をしようとヒュッテに向かいますが、受付開始が14時からだったので先に設営して時間までのんびりすごすことにしました。

今回のテントはLOCUS GEARのKhufu Tyvek

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今回持って来たのはLOCUS GEARのKhufu Tyvekです。

ワンポールシェルターですが、DPTEというパーツを使うと2本のトレッキングポールをフレームとして使うことができます。

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フライシートの面積の3/4サイズのインナーメッシュを使っているので前室が広々しています。

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足元にいくにつれシェイプしていく形状をしています。 

テント場でまったり

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山頂にも登り、1日目に最低限やっておくことが終わったのでヒュッテで缶ビールを買ってきてテント内で時間を潰します。

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腹が減ってきたので昼よりも少し早い時間にパスタを茹でて食べました。

今回はマ・マーの「Palette 小鍋で3分フェットチーネ」を持って来ましたが、クッカーのサイズに丁度良く茹で上がりも早いので登山にピッタリだなと思いました。

茹で上がったパスタにあえるだけのソースをかけてビールと一緒に頂きました。

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食後はテントの中でゴロゴロしたり、テント場周辺をウロウロしたり、山頂の近くで穂高方面をぼんやり眺めながらスマホをいじったりと生産性の低い行動で時間を潰し、14時になったところで蝶ヶ岳ヒュッテに行ってテント場の受付を済ませました。

雷雨と暴風

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夕方になると天気予報通りパラパラと雨が降ってきて、17時過ぎたあたりで本降りになりました。

雨に加えて風と雷も激しくなってきて、テントに強風が吹きつけられた瞬間にテントのペグが2本抜けてしまいました。このまま放っておくわけにはいかないので、レインウエアを着込み、テントの外に出てペグを打ち直し石で固定しました。

蝶ヶ岳ヒュッテに一時避難

これまで経験したことのない激しい雷雨に怖くなってきた僕は、蝶ヶ岳ヒュッテに避難することにしました。テント内のカメラなどの濡らしてはいけない物をスタッフサックに入れて防水対策を済ませたところで空身で小屋に向かいました。

しばらく小屋の中で待機していると雨足が弱くなってきました。

テントに戻りウトウトしていると…

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激しい雷雨が収まったのでテントに戻りますが、雨は強くなったり弱くなったりを繰り返して止むやむ気配がありません。

天気予報の雨雲レーダーを見てみると深夜まで止まないとのことだったので、諦めてシュラフに入って眠気が来るのを待ちました。

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しばらくすると、夕焼けのような暖色系の明かりがテントに差し込んだような気がしたので外に出てみたところ、穂高方面に夕日が沈むのが見えました。

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そして蝶ヶ岳山頂には虹が!

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これは好天の兆しでは!?と傘をさしながら写真や動画を撮りテントに戻りますが、蝶ヶ岳に降り続いている雨が止むことはありませんでした。

降り続ける雨、そして…

雷は去りましたが暗くなってからも雨足は弱くならず延々と降り続けました。

何度も目を閉じて眠ろうと試みますが、フライシートに叩きつけられる雨音が気になって眠れません。いつもは眠る際にワイヤレスイヤホンや耳栓などで周囲の音をシャットアウトするのですが、持ってくるのを忘れてしまったようです。

テント内に雨が浸水

何時頃だったかはよく覚えていませんが、外の状況はどんな感じかな?と体を起こしたところ、インナーテントの出入口付近が濡れていることに気が付きます。

よく見てみると、スリーピングマットの長さが足りない部分に敷いていた足元のバックパックがびしょ濡れになっていました。

どうやらインナーテントの底面から雨が染み出してテント内に浸水していたようで、バックパックの背面側とショルダーハーネスを濡らしてしまったようです。

幸いバックパックの表側に濡れが達していなかったのでシュラフは無事でした。

浸水している箇所をタオルで拭いては絞ってを繰り返し、濡れたバックパックは背面に入っているパッド(これのおかげで表面が無事だった)を抜いて、フライシートのジッパーにカラビナでぶら下げてインナーテントの外に出しました。

via:https://www.yamatomichi.com/products/42176/

濡れた床面は可能な限りタオルで水分をふき取り、バックパックから抜き取った背面パッドを広げて敷きました。パッドは水を通さないので、シュラフをパッドからはみ出さないように使えば濡れる心配はありません。

常念岳行きを断念

とりあえずテントの中の安全は確保し、眠れる状態にすることはできましたが、バックパックが完全に濡れてしまったので、翌日に予定していた常念岳は諦めることにしました。

濡れていても背負えるので行けないことはありませんが、夕方の雷雨とテント内への浸水で心が折れました…。

雨が止み星が出たものの

深夜に目が覚めると雨が止んでいました。

テントの外に出てみると雲は多少出ているものの星空が見えました。

この天気なら朝にはご来光が見れるかも?と再びテントに戻りましたが、午前3時過ぎにトイレに行くためにテントの外に出てみると1m先も見えないくらいのガスが周囲を覆っていました。

朝の蝶ヶ岳は微妙な天気

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朝になりテント場周辺のガスは消えましたが、分厚い雲に覆われてご来光は微妙な感じ…。

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太陽が昇ってくる瞬間は見れそうにありませんが、雲の動きは割と活発で徐々に晴れ間が広がってきて来ました。

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雲に覆われていた穂高・槍方面も徐々に見えてきました。

そして…。

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穂高連峰にかかっていた雲も取れました。

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そして槍ヶ岳が顔を出しました。

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周囲の景色を楽しみつつ、昨夜の雨で濡れてしまったテント内の道具類を乾かす準備にとりかかります。

テントを乾かしつつ蝶槍へ散歩

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フライシートの濡れをタオルで拭き、テントのトンガリ部分に濡れたバックパックのショルダーハーネスをひっかけて乾かします。

あとは雨に濡れた傘をテントのガイラインに括り付けました。

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もう天候が悪化することはなさそうなので、荷物を乾かしている間に蝶槍まで散歩することにしました。

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蝶ヶ岳から蝶槍の区間は危ない箇所はなくなだらかで歩きやすい道になっています。

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所々にケルンもあって岩にもマーキングがされているのでルートに迷うこともないと思います。

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蝶槍が見えてきました。

蝶槍に到着!

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蝶槍に到着しました。

標高は2,664mで昔はここが蝶ヶ岳の山頂とされていたそうです。

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蝶ヶ岳の山頂からの眺めも良いですが、蝶槍からの眺めも良いですね。

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時間が経つにつれ空の雲は減っていき、穂高連峰や槍ヶ岳はよく見えるようになってきましたが、常念岳側は相変わらず分厚い雲の中です。

遠くまで見渡せるような空模様であれば、無理してでも常念岳に向かったかもしれませんが、この天気なら蝶槍散歩で十分です。

ライチョウには出会えず…

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蝶槍のピークからしばし景色を楽しんだあとは来た道を戻ります。

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蝶ヶ岳から蝶槍の間でライチョウ親子の目撃したという情報をネットで見かけたので、あわよくばと思って周りをキョロキョロしながら歩きましたが、残念ながらライチョウに会うことはできませんでした。

荷物を片付けて三股へ下山

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蝶ヶ岳ヒュッテのテント場に戻ってきました。

出発前にテントの上に乗せておいた濡れたバックパックはすっかり乾いていました。

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テントの中から三脚を取り出して、槍・穂高をバックに写真と動画の記念撮影をしました。そしてテントに戻り フライシートやグランドシートなどを干しながら荷造りを始めます。

帰り際に隣のテントの方と少しお話をしました。

お隣のテントはヘリテイジのクロスオーバードーム(旧型)で、昨夜の雷雨を無事に乗り切れたのか心配していたのですが、結露があったくらいで何ら問題はなかったとのことでした。

テントの中の防水対策や使用しているペグなどを見せて頂き、準備と対策をしっかり行っておけばクロスオーバードームでも稜線上の暴風雨に耐えられるということが分かりました。

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荷物をまとめて来た道を戻ります。

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帰りは動画も写真も殆ど撮らずに黙々と歩き、蝶ヶ岳ヒュッテより約2時間ほどで登山口に着きました。

終わりに

当初の計画とは違った登山になってしまいましたが、今年最初の北アルプスは色々な意味で思い出に残るものになりました。

そういえば昨年の北アルプス1発目も悪天候で撤退していたような…。

そして8月に一ノ沢から常念岳に登った時も。

緊急事態宣言が出ているので次の北アルプスがいつになるかは未定ですが、はやく感染拡大が収まってほしいところです。

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YouTube動画

今回の登山を動画にもまとめていますので是非ご覧ください。