今年の1月から右足裏に足底腱膜炎の症状と思われる、土踏まずから踵あたりの張りと痛みに悩まされていました。日常生活には大きな問題はないものの、通常の歩行で痛みが出てしまうので山登りなどできるわけもなく…。
そんなわけで元旦に登った塔ノ岳登山以降は少し前に鎌倉のハイキングコースを歩いたくらいで、楽しみにしていた冬山には行けないまま春を迎えてしまいました。
最近になって症状が緩和されてきたので、ゴールデンウィーク後半の5月3日~5日の3連休で残雪期の立山を歩く計画を立てました。
どうやら寒いらしい
計画当初は「稜線には夏道が出ていて暖かい…」といった情報を耳にしていたので、荷物を削って足への負担を減らそうと考えていました。ところが直前になって雪が降ったり氷点下になったりと、舐めた装備で行くと痛い目に遭いそうな気がしてきたので、持って行く防寒着を見直しました。
結果、水抜きで20kgくらいに落ち着きました。
あと、公共交通機関で移動する登山者はピッケルやスコップなどをバックパックに外付けするのは危ないからやめたほうがいい…みたいな話を以前に耳にしていたので、すべての道具を60リットルのバックパックに詰め込もうとしましたが断念。
そこで今回は登山靴を入れる手提げ袋にヘルメット、スコップ、アイゼン、そのほか入らなかった小物類などを入れて持ち運ぶことにしました。
扇沢駅から室堂へ
前夜の新宿西口臨時便 26番のりばから夜行バスで扇沢駅へ。
翌朝の5時過ぎに扇沢駅に到着すると駐車場は既に満車状態で、室堂までの乗り物のチケット売り場には行列ができていました。
僕は事前にウェブ予約で始発の切符を買っていたので、発券機が動く前に改札口に荷物を置いて場所取りをした後に切符を発券し列に戻りました。
改札開始までの退屈な待ち時間を楽しくしてくれる名物駅員の中里さんは、この日もお弁当を売りに来られましたが、改札開始まで時間があまりなく非常に混雑していたので、いつもよりも手短にお話を終わらせていました。(短いなりに笑いはしっかりとっていました)
こんなに大勢並んでいてみんなバスに乗れるのか?と心配していましたが、結構な台数のバスが待機していたので問題なかったようです。
いつもはどこかしらで多少の待ち時間が発生して、乗り換え時に写真を撮るくらいの余裕はあったはずですが、今回はかなりタイトでした。ただそれは最速で室堂まで移動できることを意味しているので悪いことではありません。
室堂から雷鳥沢キャンプ場へ
外に出ると白銀の世界が広がっていました!
久しぶりの登山に加えてこの景色は気持ちが高ぶります。高ぶりすぎて山と高原地図とYAMAPを起動するのを忘れてしまいました。
残雪期登山のテント泊装備が入ったバックパックは非常に重く、ショルダーハーネスが両肩にズシリと食い込んで、なかなか前に進めません。でもこの絶景をゆっくり見ながら歩けると考えればこれはこれで悪くはないのかもしれません。
雷鳥沢キャンプ場
みくりが池を越え、軽めのアップダウンを経て雷鳥荘に到着。
ここで500mlの缶ビールを購入し、アイゼンを履いて雷鳥沢キャンプ場に下っていきます。
ここまで雪が積もっていると、細かいことは気にせずに好きなところを歩いても良さそう(実際にそうしている人が多い)な感じですが、この時期に来るのは初めてだったので、それらしくトレースのついた「遠回りだが緩やかなコース」を選んでキャンプ場に下りました。
居抜き物件
扇沢始発組の中では結構早くここまで来たつもりでしたが、前日から立山に来られている方も結構いるらしくテント場はすでに大賑わい。
良質な居抜き物件(風よけの雪壁などが設営されている場所)があればいいんだけどなぁ…なんて思いながらテント場に移動してみると、よりどりみどりでした。
自分のテントにここまで大きいのは…などと恐縮しながらウロウロしていたところ、管理小屋の近くにちょうどよいサイズの場所を見つけました。
kei fujimotoさんご一行
テントを設営中していると、大柄のいかつい集団がこちらに向かって歩いてきました。よく見てみると「THUNDER BIRD HILLS」というYouTubeチャンネルを運営しているkei fujimotoさんのご一行でした。
なかなか迫力のある集団だな…と通り過ぎていくkei fujimotoさんご一行を目で追っていると「わぁ~フジモトさんだ!」とおばちゃんが声をかけて足止めしていました。
どうやら彼らは剱岳に登るために剱沢キャンプ場に向かうようです。
この時期の剱岳に登るfujimotoさんたちも凄いと思いましたが、笑顔で近寄っていって足止めするおばちゃんもなかなか凄いなと思いました。
…というわけで良い場所を確保するという1日目のミッションは無事にクリア。
あとはスコップで階段やテーブルを作り、雷鳥荘で買ってきたビールを飲みつつラーメンを食べました。(テントに干されているのは雪の上に座るために尻の下に敷いて濡れてしまったスタッフサックです)
設営のプロ
その後はテント場をウロウロと散策して歩きました。
食事・宴会用に見事なテーブルと椅子をスコップで作ったり、氷を切るのこぎりのようなもので雪をレンガ状にして外壁(イグルー)を熱心に作っていたりと雪上キャンプの手練れたちの場でもあるようで、格の違いを見せつけられました。
明日やろうは馬鹿野郎?
雷鳥壮で購入した500mlの缶ビールはあっという間になくなり、雷鳥沢ヒュッテで350mlの缶ビールを追加で2本、そして酒のつまみにスナック菓子を購入しました。
テント場でダラダラと過ごしながら山を見ていると「早い時間に到着したのだから今日登っても良かったのでは?」と思えてきますが、3連休の中日がもっとも晴れる…という予報ですし「メインは2日目」と自分に言い聞かせました。
ビールもしこたま飲んでますし。
OKPさんに会う
テント場でTwitterを見ている(雷鳥沢キャンプ場はスマホの電波が入りフリーWi-Fiも使える)と、ブロガーのOKP(id:OKP) さんから「これからお邪魔します」とリプライが来ていました。
どうやらご夫婦で雷鳥沢に向かっている模様。
そして夕方にDMでやり取りしつつ管理小屋前で待つOKPさんご夫妻とご対面。
OKPさんとはブログやTwitterで長年ゆるく繋がっていまして、いつかどこかの山で会えれば…と思っていましたが、ついに実現しました!(今回の計画を立てる際にOKPさんのブログ記事を色々と参考にさせてもらいました)
しばらく立ち話をしていると、明日の行程が僕と同じ別山からの立山三山周回を予定していることが分かり「明日はどこかの稜線上で会えそうですね」みたいな感じの話をしつつ、ルート上の危険個所などを教えてもらいました。
その後は僕のクロスオーバードームや62cmの長いペグなどを紹介して解散。各々のテントに戻りました。
声に出して読みたいハンドルネーム
それにしても「はらですぎ」という適当に決めたハンドルネームを声に出して呼ばれたり、自分の口から発するのは何度経験しても恥ずかしいものがありますね。
ネット上には実際に発声して呼ばれることを想定していないハイレベルなハンドルネームが無数に存在しており、僕の「はらですぎ」なんてそれらに比べたら大したことありませんが、こういうことがあるたびに初期設定の重要性を痛感します。
これから新たにアカウントを作られる方は「声に出して読みたいハンドルネーム」を意識して名乗ったり呼ばれたりしても恥ずかしくないものにしておくことをおすすめします。
暮れなずむ雷鳥沢キャンプ場
雷鳥沢ヒュッテ方面に陽が沈み、別山から雄山に続く峰の斜面が夕日に照らされていきます。
薄暗くなっていく雪の斜面を滑走していくスノボーダー。
日中は20℃以上まで気温が上がりましたが、陽が沈みだしてからは気温がグングン下がって日没後は氷点下に…。
ちゃんとした防寒具を持ってきて正解でした。
割と眠れたテント泊 1日目
夜中にトイレに行きたくなってテントを出て空を見上げると、満天の星空が広がっていました。美しい星空を眺めつつ、管理小屋のトイレに向かいます。
日中の気温で緩んでいた雪は日没後の冷え込みで締まり、大勢の人が通る管理小屋に続く緩やかな斜面は凍結していました。
これは気を抜いたら滑って転ぶやつだから1歩1歩慎重に…と思った矢先に滑って尻餅をついて右肘を強打しました。
…というわけで肘の痛みが癒えない状態で「とりあえず撮っとくか」とテントの近くで撮った写真がこちら。
そういえば天の川ってどこに出るんだろ?とスマホで検索してみたところ、雄山方面(上の写真とは別方向)あたりから出てくるとのことでしたが、時間がちょっと早すぎたので諦めてシュラフに戻って眠りました。
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