はらですぎ

山とビールを愛するメタボリックおやじの登山ブログです。

南アルプスの北岳に咲く固有種「キタダケソウ」を見てきました #1日目

2022年6月26~27日の2日間で、富士山に次ぐ日本国内第2位の標高を誇る、南アルプスの主峰「北岳」に登ってきました。

北岳に登るのは今回で3回目です。

初めての北岳登山は登山を始めて2年目の夏で、北岳肩の小屋のテント場で凄まじい風雨に見舞われて眠れない夜を過ごす残念な山行にないました。

次の北岳登山は数年前に歩いた白峰三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)縦走です。2泊3日で北岳山荘と大門沢小屋に泊まるという一般的な行程でしたが、テント泊登山再開1発目(当時冬は低山の日帰り登山が殆ど)でいきなり歩いたので、1日目の北岳山荘に着いてビールを飲んだら気持ちが悪くなってそのまま寝込んでしまいました。(翌日は元気に復活しました)

素晴らしい白峰三山の縦走路に感動して「次に北岳に登る時はまた白峰三山で!」と考えていましたが、休みの優先順位的に白峰三山縦走の順番は回ってきそうにありません。

そこで今回は7月下旬に控えている夏休みのための足慣らしと、まだ見たことのないキタダケソウを見るために北岳"だけ"に登ることにしました。

キタダケソウは北岳にのみ生息している高山植物で、6月下旬くらいから花を咲かせ、夏山最盛期の頃には姿を消してしまう見頃を迎えるのが早い種です。

ja.wikipedia.org

当初は夜行バスでスタート地点の広河原まで移動し、そこから北岳を経由して北岳山荘にテントで1泊し、翌朝に間ノ岳をピストンして撤収、キタダケソウを見て下山…という計画を立てました。しかし、当日の稜線上は爆風の予報が出ており、遮るものがない稜線上にテントを張るのは危ないと考え、北岳山荘の予約をキャンセルしました。

一度は計画自体を流すことも考えましたが、白根御池小屋にテントを張って翌朝にアタックすれば夜間の風よけはできそうだなと思い、行程を変更して北岳に挑むことにしました。

今回は1泊2日の1日目の記録になります。

横浜から新宿経由で甲府駅へ

午前7時新宿駅発の「あずさ1号」に間に合うように自宅を出発。

品川駅で上野東京ラインから山手線に乗り換え新宿駅に着いたのが6時55分。山手線のホームの階段を急いで下りて「あずさ」の乗り場に向かいました。

家を出た時は良い天気でしたが、甲府駅に着くと空は高曇りのどんよりした空になっていました。

甲府駅からバスで広河原へ

広河原行きのバスが出る甲府駅南口の1番バス乗り場に移動し、登山者の列に並びました。9時5分発の広河原行きのバスは、混雑を想定していたのか、2台手配されており並んでいる全員が余裕をもって座ることができました。

yamanashikotsu.co.jp

路線バスの座席に2時間座り続けるのはなかなかの苦行ですが、席があるだけありがたいと思わなければなりません。

ちなみにバスの集金係のおばさんは2時間立ちっぱなしでした。

甲府駅から約2時間、午前11時に広河原に到着しました。

広河原インフォメーションセンターの正面には、綺麗な広河原山荘が建っていました。

どうやら吊り橋の先にあった古い建物がリニューアルオープンしたようです。

yamanashikotsu.co.jp

宿泊利用以外でも食事・トイレ・シャワーなどが利用できるようなので、下山後のバスの発車までの時間を有効活用できそうです。

広河原から白根御池小屋へ

インフォメーションセンターでトイレを済ませて出発すると、ポツリポツリと雨が降ってきました。「このまま本降りにならなければよいのだが…」と思いながら、樹林帯の上り坂を黙々と登っていきます。

広河原から白根御池小屋まではコースタイムで3時間ほどで、第1ベンチ・第2ベンチと休憩ポイントが整備されているので、道中はそれほど辛くは感じませんでした。

ごく普通の登山道だな…という印象です。

そして雨が降っていたのは出発してからほんの少しの間だけでした。

今回は足の前モモ(大腿四頭筋)に疲労を蓄積させない、モモの裏側(ハムストリングス)とケツの筋肉を使った登り方がうまく機能したようで、白根御池小屋までノンストップで登ることができました。

白根御池小屋に到着

まだ13時過ぎなので、頑張れば肩の小屋あたりまで登れそうですが、荒天の肩の小屋テント場がどうなるかは過去に経験済みなので、予定通り白根御池小屋にお世話になることにしました。

テント設営

受付を済ませてテント泊の料金1,000円を支払おうとしますが、ネット予約時にクレジットカード払いで精算済みだったことを指摘されて思い出しました。

※白根御池小屋のテント場は予約制です

www.minamialps-yoyaku.jp

白根御池小屋のテント場は小屋の前の隆起したスペースと白根御池周辺に張ることができますが、池の周辺は虫が多そうだなと思い、小屋の前の隆起したスペースに設営しましたが、設営している最中にどんどん虫が近寄ってきました…。

今回は荷物の軽量化のためにヘリテイジのクロスオーバードームを持ってきました。

ビールとつまみを頂く

ここまで軽めの行動食しか食べていなかったので、小屋でフライドポテトと明石焼きを注文しました。

そして以前から気になっていたビール(山の上ニューイ)を購入し、それぞれ美味しく頂きながら道中で消費したカロリーを補充しました。

白根御池周辺の雰囲気

前日あまり眠れなかったので、食後はテントの中に戻って軽めの昼寝をしました。

そろそろ夕方かな…というところで小屋の周辺を散策しました。

小屋の周辺は標高2,236mとは思えない落ち着いた雰囲気で、安心して宿泊できる立派な小屋の前には広々とした休憩スペースとテント場が広がり、すぐそばの白根御池も雰囲気があって綺麗です。

そして水も豊富で蛇口をひねれば南アルプスの天然水がドバドバと出てきます。

これまで白根御池小屋は北岳に登る際の「休憩所」という認識で、ここにわざわざ泊まる理由はないよな…というスタンスでしたが、今回のような行程ではここに1泊するのが丁度良いですし、荷物を上まで担ぎたくないという方にも絶好の場所ではないかと考えを改めました。

夜行バスやマイカーで登山前日から移動しなくても1泊2日で北岳に登れることが今回の旅で分かったので、体力に自信がない時や稜線上でのテント泊に不安がある時などは白根御池小屋を利用しようと思います。

明日に備えて眠りたいが鳥がうるさい

日没の時間が近づいてくると鳳凰三山方面の雲が取れてきました。小屋の前からだと木々が邪魔でよく見えなかったので、草すべりを少し登るだけで一望できたので白根御池と一緒に撮りました。

肝心の北岳は朝からずっと雲隠れしており、日没を迎えても姿を現すことはありませんでした…。

暗くなってきたのでテントに戻って軽めの夕食を摂り、シュラフに入って眠ろうとしますが、白根御池小屋周辺には無数の野鳥がいるようで、お互いの存在を確認しあうかのように周囲の鳥が延々に鳴き続けていて眠らせてくれません。

テント場のノイズといえばオッサンのいびき(僕を含む)ですが、まさか野鳥に睡眠を邪魔されるとは思いませんでした。

19時30分くらいにようやくテント場に静寂が訪れました。

 

つづく。