今年は梅雨が早く明けたので「今年は夏の北アルプスを満喫しまくるぜ!」と意気込んでいましたが、戻り梅雨だかなんだか知りませんが、スカッと晴れた天気が殆どないまま日々は過ぎてゆき、気が付けば7月が終わろうとしています。
そして7月下旬に夏休みをとって北アルプスを縦走する計画を立てていましたが、コロナの感染爆発の影響が職場内にも出てきてしまい、自分だけ呑気に休んでいるわけにもいかなくなり延期となりました…。
このままだと7月はどこにも行かないまま終わってしまう…そう思った僕は日曜日と月曜日の2日間の休みを使って白馬岳に登ることにしました。
急きょ立てた計画だったのでアルピコ交通のバスの予約は一杯。仕方なく毎日新聞社の毎日あるぺん号を利用することになりました。(キャンセル料が高く返金が銀行振込だったりと手続きが面倒なので毎日あるぺん号はあまり使いたくない派です)
そんなわけで、こんな時期に夜行バスを使うのもどうかと思うのですが、土曜日の夜に自宅を出発して竹橋駅に向かいました。
受付に行くと通常のバスを予約していたはずですが、なぜかプレミアムのバスを案内され「ん?」と思いましたが、グレードアップしてくれているのならまぁいいかと思いバスに乗車しました。
- 明け方の緊急事態
- ゴンドラとロープウェイを乗り継いで登山口へ
- 栂池自然園から天狗池
- 天狗池から乗鞍岳
- 乗鞍岳から白馬大池
- 白馬大池から小蓮華山
- 小蓮華山から三国境を経て山頂へ
- 白馬岳の山頂に到着
- 白馬岳頂上宿舎のテント場
- 最強の「かけうどん」を食う
- 丸山に登る
- 就寝
- 2年前の白馬岳登山の情報
明け方の緊急事態
毎日新聞社前を出発したバスは2度のサービスエリア休憩を挟み、順調に進んでいたようですが、翌日の午前3時30分頃にバスが停車したところで目が覚めました。
バスは一向に動く気配はなく、時折キーを回してエンジンをかけようとしているようですが、キュルキュルと空回りする音が車内に聞こえてきます。
僕が乗っている夜行バスは、白馬ルートで七倉荘→扇沢→五竜→八方→栂池と事前に申し込んだ場所まで登山客を運んでくれます。バスが止まったのは最初の降車ポイントである七倉荘よりも少し手前の路上でした。
状況説明
何の説明もないまま30分ほどが経過し、そろそろ状況を説明すべきでは…という空気が車内に充満してきた頃に「バスが故障して動かない、マイクロバスを手配したが4時30分くらいまで来ない」といった説明が添乗員からありました。
説明から待つこと約30分。
到着したマイクロバスはアルピコ交通のバスでした。
完全に沈黙したバスを降り、受け取ったバックパックを持ってマイクロバスに乗り換えて午前4時30分頃に出発。(前に停まっているのが壊れたバスです)
爆走するマイクロバス
まずは七倉荘へ。
通常は4時前には七倉荘に到着し、次の降車場所の扇沢駅に向かいますが、バスのトラブルにより約1時間ほど遅れが発生してしまいました。
僕は栂池の始発のゴンドラ(6時30分)に乗りたかったのですが、この状況では間に合いそうにありません。半ば諦めていましたが、アルピコ交通の運転手さんの「爆走見事なドライビングテクニック」により栂池の始発のゴンドラに間に合いました。
しかもゴンドラ乗り場の前まで車をつけてくれました!
毎日あるぺん号には過去に「東京から中房温泉までの長距離移動にマイクロバス(小型観光バスではなくマイクロバス)のタイヤの上の激狭座席をあてがわれた」因縁があったので、今回の件で不満がより一層高まりました。
今回の件について何も連絡がなかったので窓口に電話をしてみたところ、謝罪も説明もないまま「いま返金の手続きしてますから!」と高圧的に言い放たれ、後日、謝罪の文書と共に「半額を返金する」といった内容のお知らせが郵送されてきました。
電話に対応された方の口調と文書の文面の温度差が気になりますが、一応対応してもらえたということで良しとしましょう…。
ゴンドラとロープウェイを乗り継いで登山口へ
…というわけで色々ありましたが無事に栂池のゴンドラ乗り場に到着しました。
2年前にここからゴンドラに乗った時は、乗り場のすぐ下がチケット売り場でしたが、チケット売り場が新しい建物に移設されていました。
ゴンドラとロープウェイの片道料金2,000円を自動発券機で購入(この段階では翌日はあわよくば不帰ノ嶮から唐松岳を経て八方へ下山と考えていました)し、6時30分の営業開始と同時にゴンドラに乗り込み登山口に向かいます。
ゴンドラ・ロープウェイを乗り継いで栂池自然園に到着。
あらかじめ購入しておいた「いろはす」のペットボトルに家から持ってきたBCAAと粉飴を溶かして「カロリーを補給しながら乳酸が溜まるのを軽減するドリンク」を作り、サービスエリアで購入したおにぎりをひとつ食べて出発します。
栂池自然園から天狗池
序盤はよくある登山道。
整備された道を黙々と登っていきます。夜行バスのトラブルで少々寝不足ではありますが、青空が僕を後押ししてくれます。
天狗池に到着したところで小休止。
サービスエリアで購入した2個目のおにぎりを食べました。
天狗池から乗鞍岳
天狗池周辺の木道が終わると本格的な登りに突入します。
大きなゴロゴロした岩が増えてきて、足の置き場を考えながら慎重に登っていきます。
天狗池から乗鞍岳までの区間には所々に雪が残っていて歩行に注意が必要ですが、最後の雪渓以外はこれといった危険個所はありません。
足元がデカい岩だらけになってきたところで最初の難関である雪の斜面が現れます。
この時期はどれだけ冷え込んでも凍結することはないので、足跡を慎重に辿っていけば滑り落ちることはありませんが、心配な方はチェーンスパイクなどを用意しておいたほうがいいかもしれません。
雪渓を超えて少し登ると景色が開けて乗鞍岳のケルンが見えてきました。
乗鞍岳のケルンまではほぼ平坦な道ではありますが、結構デカめな岩が地面に埋まっているので、スタスタと歩いて行くわけにはいきません。
乗鞍岳から白馬大池
乗鞍岳からゴロゴロした岩場を下っていくと白馬大池が見えてきます。白馬大池山荘までは池の右岸を沿うように歩いて行きます。
一部雪の残っている場所を横切る必要があり、足を滑らせたら池にドボン…なので慎重に歩く必要があります。(上の写真の池の右側)
白馬大池山荘に到着したところでコーラを買って休憩しました。
白馬大池から小蓮華山
白馬大池の周辺は高山植物が沢山咲いていました。
白馬大池から先は緩やかな登りが続きます。
これから向かう小蓮華山方面の雲は出たり消えたりと非常にめまぐるしい状態で、何となく嫌な予感が…。
小蓮華山の手前にあるお花畑に到着した段階で周囲はガスの中。
ガスらなければいいな…と思って歩いてきましたが、ついに青空の見えないガスの中に突入してしまいました。
しかしまだ希望はありそうです。
上空には強い風が吹いているようで、雲の切れ間から青空が見えたり隠れたりを繰り返しています。
小蓮華山から三国境を経て山頂へ
小蓮華山から先も雲はめまぐるしく動いていて先が読めません。
ただ、こういう稜線も悪くはないですね。青空が出ていれば、ですが。
三国境の標識(写真右下)は崩壊していていました。
2年前もギリギリ成立しているような状態でしたが…。
天気は相変わらず晴れたりガスったりを繰り返しています。
絶望的な虚無になっていないのが救いです。
高山植物の女王「コマクサ」が群生していました。
荒涼とした岩場に可憐に咲く花たちと背景の青空。
やはり7月のアルプスは景色もさることながら、足元の華やかさも素晴らしいものがありますね。
やはり稜線歩きは青空が出てナンボです。
天気と景色が良いと気持ちが体を後押ししてくれます。
ミヤマアズマギク。
枯れてしまったウルップソウ。
この花をちゃんと見るにはもっと早い時期に登ってくる必要がありそうです。
ようやく山頂が見えてきました。
それにしても美しい稜線です。雲が少々多めで風が若干強めではありますが、晴れ間も見えて気分は上々です。
白馬岳の山頂に到着
白馬岳の山頂に到着しました。
2年前にここに来た時はガスで周囲が何も見えませんでしたが、今回は青空が見えます!
雲が若干多めではありますが、これだけ青空が見えれば「晴れ」ということでいいのではないでしょうか。
今回はヘロヘロだった2年前よりも余力を残せるかな?と思っていましたが駄目でした。ちゃんと休憩と補給をしながら登って来たんですけどね…。
白馬岳頂上宿舎のテント場
白馬山荘で何か食べてからテント場に向かおうかなと思いましたが、白馬山荘スカイプラザ内は結構混雑していて、注文の列ができていたので諦めました。
白馬岳頂上宿舎でテント泊の受付を済ませてテント場に向かうと、想像以上に賑わっていました。土日ならともかく日月でテント泊するような登山者はそういないだろうと高を括っていましたが、人気の山のテント場を少々侮っていたようです…。
これは平らで良い場所を探すのは大変だぞ…と思いながらテント場をウロウロしてなんとか張れそうな場所を確保しました。
最強の「かけうどん」を食う
テント設営後は寝不足と道中の疲労で完全にノックダウン状態で、持ってきた食料にも手を付ける気になりませんでしたが、しばらく横になっていて回復してきたところで白馬岳頂上宿舎の食堂で何か食べることにしました。
ご飯ものをがっつり食べる気にはなれなかったので「かけうどん」を注文しました。
そしてスープをすすった瞬間に旨味が脳を突き抜けました。
そういえば休憩時に行動食はそれなりに食べてきたつもりですが、意識して塩分補給をしていなかったので、この塩気というかしょっぱさを体が待ち望んでいたのかもしれません。
ただの「かけうどん」ですが、これまで食べたことのないような美味さで、どんぶりがあっという間に空になりました。
丸山に登る
かけうどんを食べて心も体も満たされ、疲れ切った体に活力が戻ってきたので、撮影機材を持って、テント場から歩いてすぐの丸山に登ってみることにしました。
テント場に着いた時は疲労困憊で周囲に目を配る余裕がありませんでしたが、テント場の周りにも高山植物が沢山咲いているんですね。
稜線上のウルップソウはみんな枯れてしまっていましたが、こちらは辛うじて残っていました。
イワベンケイも綺麗に咲いていました。
テント場から稜線に出てみると、天気はだいぶ落ち着いてきたように感じました。
白馬岳の山頂方面もご覧の通り。
それにしても日曜日だというのにテントの数が凄いですね。
まだまだ雪が残っている旭岳。
丸山までやってきました。
テント場から少し歩くだけで素晴らしい景色が見れるので、天気が良ければ疲れていても登っておくことをお勧めします。
杓子岳と白馬鑓ヶ岳。
当初2日目は杓子岳と白馬鑓ヶ岳を経て唐松岳に抜けるルートを検討していましたが、ここまでの道中の疲労と明日の微妙な予報を加味して今回は諦めました。
立山・剱方面には見事な雲海が広がっており、これから沈んでいく夕日によってオレンジ色に色付くのを期待して少し待ちましたが、上空の雲が思いのほか分厚く微妙な感じだったので日没前にテントに戻りました。
就寝
テントに戻り夕食を食べて就寝。
夜はしばらく星空が出ていたようですが、日付が変わった頃にテントから顔を出してみると空は雲に覆われていました。
この日の様子をYouTubeに公開しているので、こちらも是非ごらんになってみてください。
つづく…
今回も写真だけでなく動画も撮ってありますので、興味のある方は下記のYouTubeチャンネルを登録して更新をお待ちください。