前日は想定していたよりも早く天気が好転し、槍ヶ岳の山頂や槍ヶ岳山荘周辺で素晴らしい景色を堪能することができました。
しかし夜はテント場に吹き荒れる風に泣かされました。星空が見える雲の無い天気ではありましたが、風が強く四方八方に揺らされるテントの中で眠れない夜を過ごしました。
そして迎えた朝。
槍ヶ岳周辺は昨日同様に素晴らしい景色が広がっていました。
槍ヶ岳山荘で迎えたご来光
時刻は午前5時過ぎ。
少し早めに見晴らしの良い場所(といってもテントから歩いてすぐの場所ですが)に移動して、カメラのタイムラプス撮影の設定を行いました。
清々しい朝。
昨日テント場や山荘に泊まった方々は、それぞれ自分たちのポジションを確保して太陽が昇ってくるのを待っています。
そして…。
午前5時半を回ったあたりで朝日が昇ってきました。
泊りの登山の醍醐味のひとつであるご来光。
この瞬間は何回味わっても飽きないですね。
最高の朝です。
遠くには富士山も見えます。
槍ヶ岳山荘の裏手の丘に登って、朝陽に照らされる西鎌尾根方面を撮影します。
昨日まで眼下に広がっていた雲海は綺麗に消えていました。
太陽に照らされる笠ヶ岳の先端。
あちらのテント場からはどんな景色が見えているのでしょうか。何かと目に付く笠ヶ岳は、位置的になかなか食指が伸びない山ですが、そろそろ挑戦してみたいと思っています。
そして裏銀座方面。
三俣蓮華岳と鷲羽岳、その後ろに黒部五郎岳と薬師岳、水晶岳や赤牛岳もよく見えます。
撤収&下山
当初は槍ヶ岳山荘から大キレットを歩いて穂高岳山荘まで行ってテント泊しようと思っていましたが、ここまでの道中で足が完全に終わってしまっていたので断念しました。
それなら裏銀座方面をウロウロするのはどうだろう?と考えましたが、2ヶ月ぶりのテント泊登山で思いのほか疲弊していること、テント装備の一部を忘れていること、行動食がもうないことなどをふまえ、下山することに決めました。
張り綱がなくても昨夜の風をしのげたし、行動食は途中の山小屋で買えば問題ないのでは?とも考えましたが、体力が消耗した状態で行き当たりばったりの旅を続けるのは気が進まなかったので来た道を戻ることにしました。
ただ、3連休最終日で下山後の公共交通機関の混雑が予想されるため、今日は徳沢キャンプ場まで移動してもう1泊することにしました。
体力には余裕がありませんでしたが、時間には余裕がありますので…。
…というわけで急ぐ必要がないのでのんびりと撤収作業を進めました。
槍ヶ岳山荘のテント場は眺めは抜群ですが、天気の状況によっては過酷な1泊になるので、もしもの時に備えた安心できる装備が必要ですね。
準備が整ったので槍ヶ岳山荘を出発します。
殺生ヒュッテで休憩
朝から食欲がなく殆ど何も食べていなかったので、殺生ヒュッテに立ち寄ってベンチで休憩しながらカロリーメイトを食べました。
何となく体の反応が悪い印章でしたが、しばらく休憩していたらだいぶマシになりました。
その後は無理のないペースで歩きました。
木々の紅葉はまだまだといった感じ。
例年であれば9月下旬はそれなりに色付いているはずですが…。
スマートフォンを拾う
天狗原分岐の少し先でスマートフォンを拾いました。
槍ヶ岳に登っていく人が落としたのか、下山していく人が落としたのかは分かりませんが、とりあえず槍沢ロッジまで持っていくことにしました。
しばらく歩いて行くと何かを探しているような雰囲気の男性グループがいたので、声をかけてみたところスマートフォンの持ち主でした。腕のアタッチメントに付けていたスマートフォンが着地の衝撃か腕降りの際に落ちてしまったようです。
その後も延々と歩いて槍沢ロッジで小休止。
横尾で何か食べようと思っていましたが、あまり食欲がなかったのでジュースを飲んですぐに出発しました。
徳沢に到着
そして徳沢に到着。
居酒屋では「とりあえずビール」ですが、ここではこれ。
そしてボローニャハムときのこの手作り窯焼きピザ(1,500円)
テントを設営してから食事を食べ、デザートにアイスを食べる…というのが正しい順番のような気がしますが、欲望のおもむくままに行動した結果、順番が逆になってしまいました。
…というわけで、腹が膨れたところでテントを設営しました。
泊まろう泊まろうと思いつつも「あえてここでテント泊する必要はないよな…」と先送りしてきた徳沢キャンプ場にようやく泊まることができます。
フカフカした芝生の広いキャンプ場はどこに張っても快適…と思っていましたが、意外とそうでもなく、フラットで涼しげな場所を探すのに手間取りました。
ペグも足で踏んでスン…と刺さると思いきや石を使わないと刺さらない固い地面でした。場所によるのかな?
とはいえ山のテント場と比べればとても快適です。
常温保存でそこそこ日持ちするおにぎりを持ってきましたが、湯煎8分はちょっと登山向きではないですね。
たんぱく質が約10g入っていて、味もまずまずなおにぎりだけに惜しい商品です。
家だとレンジで数分なので悪くはないんですが。
…そんなわけで、暑くもなく寒くもなく快適な気温のなか何をするわけでもなくテントの中でゴロゴロと夜まで過ごして、眠くなってきたところで就寝となりました。
最終日
過酷な環境だった槍ヶ岳山荘のテント場とは違い、徳沢キャンプ場は平和でした。
結露番長のクロスオーバードームは横になった僕の上半身側は結露せず、下半身側のみ結露していました。といっても水滴が滴るほどではなく、うっすらと湿っている程度。
まぁいつものこれを常備しているので全く問題はありません。
今朝も良い天気です。
計画通りの山歩きができなかったのが悔やまれますが、槍ヶ岳だけでも満足度は高かったですし、前から泊まりたかった徳沢キャンプ場にも1泊できたので良しとします。
…というわけで撤収開始。
テントの中で荷物をまとめるだけまとめて、
濡れているものをしばらく乾かします。
乾かしますがすぐには乾きそうにないため、諦めてクロスオーバードームを片付け、パッキングを済ませて徳沢キャンプ場を出発しました。
上高地にライチョウ!?
徳沢キャンプ場を出発して少し歩いたところで、前からやってきた登山者が「すぐ先の道の左にライチョウがいましたよ!」と教えてくれました。
こんな標高の低いところにライチョウなんていたっけ?と思いながら道の左側を注意しながら歩いていると…。
いました!
4~5羽くらいの鳥の群れが草むらの中をウロウロしています。
最初は「こんなところにもライチョウがいるんだなぁ」なんて思っていましたが、毛並みや長い尾に違和感が…。
その場では何の鳥かを調べる術がなかったので「なんか違うよな…」と思いつつ先に進みました。
上高地バスターミナルに到着
河童橋に着きました。
橋の上からは焼岳がよく見えました。
穂高方面はやや雲が多め。
上高地食堂で朝定食を食べる
上高地バスターミナルまで戻ってきました。
予約したバスの時間まで余裕があったので上高地食堂で朝食を食べました。
選んだのはもちろん和定食(1,000円)です。
味噌汁と鮭の塩分が体に染みわたります。
ここまで来たところで、徳沢キャンプ場の近くで出会った鳥が何だったのかの調べました。
正確な種類は分かりませんでしたが、あれはライチョウではなく、キジかヤマドリあたりではないか…というところまで絞り込むことができました。
バスと電車を乗り継いで松本駅へ
食後はバスと電車を乗り継いで松本駅へ。
平日なのでバスも電車も空いています。
バスは上高地バスターミナルから新島々駅までで、新島々駅からは電車に乗り換えます。発車オ~ライネットで事前に予約しておくとキャッシュレスで移動できるので便利です。
便の変更はネット上で簡単にできますし、キャンセル料もそれほど高くないので、事前に予約しておいたほうが良いと思います。
松本駅でスナック菓子とビールを買い、スマホアプリのえきねっとで予約しておいた「あずさ26号」に乗って新宿を経由して自宅の横浜に帰りました。
調子に乗ってペースを上げて槍ヶ岳山荘の手前で撃沈したり、行動食の大半とテントの張り綱を家に忘れてきたりと、色々とやらかして計画が破綻してしまいましたが、感動的な槍ヶ岳でのひと時は思い出になりました。
10月中にあと2回くらいはアルプスにテント泊で行きたいところですが果たして…。
YouTube動画もよろしく
今回の3日間を1本の動画にまとめました。
槍ヶ岳の夕景とご来光がとても綺麗なので写真を見て綺麗だなと思った方はぜひ動画のほうもご覧になってみてください。