はらですぎ

山とビールを愛するメタボリックおやじの登山ブログです。

「夜明け前の牛首を経て快晴の五竜岳山頂に立つ!」唐松・五竜テント泊縦走登山 2日目

2022年10月15~16日で北アルプスの唐松岳と五竜岳に登ってきました。

今回は2日目の模様をお伝えします。

www.haradesugi.com

テント場の夜

10月中旬の北アルプスなので氷点下を覚悟していましたが、夜はそこまで冷え込むことはなく、テント内の温度計で3~5度くらいでした。

風はほぼ無風状態で、雲も少なく良い天気でしたが、満月から5日後ということもあり、月明かりが強めで星がよく見えませんでした。

…というわけで、安眠できる環境は整っていましたが、30分~1時間くらいの頻度で目を覚ますいつもの「眠れないモード」に突入し、満足に眠れないまま起床時間の午前3時を迎えました。

シュラフから出てバーナーでお湯を沸かし、溶かすタイプのコーヒーを飲みつつ、イチゴ味のワッフルを食べました。(ココア味も美味しいのでおすすめ)

いざ五竜岳へ!

テントを撤収して唐松岳頂上山荘でトイレを済ませて午前5時過ぎに出発しました。

この日の日の出予想時刻は午前6時前後。

出発してすぐに岩場が始まり、割と早い段階で「落ちたらヤバいな」という区間に突入します。特に注意が必要なのが「牛首」と呼ばれる険しい岩場です。

まだあたりは暗いので、ヘッドライトで進む方向や足の置く位置などをしっかり確認しながら慎重に進んでいきます。

先行者も後続もいない暗く静かな稜線を独り黙々と歩きました。

左手に視線を向けると雲海の先にオレンジ色のラインが入り始めていました。

日の出の時間が近づいているようです。

今回日の出を待たずに唐松岳頂上山荘を出発したのは、下山後のバスに間に合うように…という時間的な事情もありましたが、一番の理由は朝日に照らされる五竜岳が見たかったからです。

朝の五竜岳は離れた場所からでもズームレンズを使えば撮ることができますが、このデカい山はなるべく近くで、そして自分の目で見たいと思っていました。

ご来光と朝日に染まる五竜岳

日が昇ってきました。

初めて歩くコースだったので、丁度良いところで日の出を迎えられるかどうか分かりませんでしたが、丁度良いところで日の出の時間になりました。

僕以外誰もいない登山道で最高の朝を迎えることができました。

剱岳と立山もよく見えました。

なかなか見えない五竜山荘

険しい岩場を越えて大黒岳を過ぎると、最低鞍部まで一旦下り、そこから登り返していきます。

ここから五竜山荘までは牛首のような危険個所はなく、ダラダラとした登りが続きます。

ようやく五竜山荘が見えてきました。

長かった…。

コースタイムより少し早く到着することができたので、五竜山荘でコーラを買って、小屋の前のベンチで行動食を食べながらしばらく休憩しました。

ここから五竜岳の山頂までのコースタイムは登りで1時間、下りで40分ほどです。

ここまでの道中で結構疲れていたので、到着直後は「山頂、どうしようかな…」と少々弱気になっていましたが「この天気でピークハント以外の選択肢はないだろ!」…と気合を入れなおして五竜岳の山頂に向かうことにしました。

山頂へ!

バックパックを小屋にデポして必要な荷物だけを持って山頂に向かいます。

序盤はザレた緩やかな斜面を歩いていき、少しずつ険しさが出てきますが、山頂直下の岩登り以外は危険個所は殆どありません。

五竜山荘を振り返ると唐松岳(一番左のピーク)が見えました。

こうやって見るとなかなかのアップダウンですよね。

五竜山荘に泊まっていた方々は既に登り終えた後だったのか、出発してから山頂直下までの間に登山者とすれ違ったのは数人程度でした。

上の写真の右側の高台が五竜岳の山頂です。

ザレた斜面を少し登って山頂直下の岩場にとりつきます。

急な岩場を登りきれば、あとは頂きに続くビクトリーロード。

日本百名山「五竜岳」に登頂

五竜岳に登頂しました。

初登頂です。

コンプリートを目指しているわけではありませんが、僕の百名山カウンターが1つ回りました。

五竜岳の山頂標識と僕がこの日着ていた衣類の色味が似ていたので、Twitterで写真とともにツイートしたところ「腹が出ていない」といったご指摘を何件か頂きましたがご安心ください。

写真は少し前のものですが、体重は当時とそれほど変わっていませんし、今もリラックス状態で小便器の前に立つと足元が見えないくらいは出ています。

このように、自撮り写真を載せるたびに数件のツッコミが入り、その都度恥ずかしい写真を提示して事情を説明するルーティーンをそろそろ何とかしたい今日この頃。

来年の夏までに脱いでも恥ずかしくない体にしたいと思います。

…と僕の腹の話はこのくらいにして、山頂からの絶景をお届けします。

まずは白馬方面。

今日歩いてきた唐松岳からのルートもよく見えます。

そして反対側には鹿島槍ヶ岳。

鹿島槍ヶ岳は双耳峰で、北峰(左)と南峰(右)で頂上が二つあります。

鹿島槍ヶ岳の右手には剱岳・立山もよく見えます。

そして遥か先には槍ヶ岳の姿も!(鹿島槍ヶ岳の南峰の向こう側)

そして雲海の先には富士山の姿も見えました。

唐松岳の山頂も素晴らしかったですが、五竜岳の山頂も最高ですね。

後立山連峰はテント場の予約の競争率が高く、またやむを得ない場合の変更が困難なので、長期縦走を計画したくてもなかなか難しい状況にあります。

いつか後立山連峰全山縦走に挑戦してみたいと思っていますが果たして…。

 

…というわけで、山頂からの眺めを十分に堪能したので来た道を戻ります。

五竜山荘で休憩

無事に戻ってきました。

勝利のファンタグレープ。

これで1日目に唐松岳、2日目に五竜岳と当初の目的を無事に達成することができました。朝ここに到着したばかりの時は、登るかどうか少し迷いましたが、日和って下山しなくて正解でした。

遠見尾根から下山

五竜山荘からアルプス平までは4時間弱くらい。

五竜山荘から唐松岳方面に少し登り返したところの分岐から下っていきます。

分岐を出てすぐのところにある白岳。

登っても巻いても恐らく数メートルしか違わないのでとりあえず…。

思っていたのと違った

遠見尾根は唐松岳の八方尾根のお隣の尾根なので、似たようなイージーなコースだと思っていましたが、全くそんなことはありませんでした。

特に序盤の下りが岩場あり、鎖場あり、階段ありのバリエーションに富んだ疲れるコースになっていて、大遠見山までの1時間30分がとても長く感じました。

その後も変わり映えの無い景色のなか地味なアップダウンが続き、残り少ない体力ゲージがどんどん削られていきます。

階段で滑って転んで手を挫創

しばらく歩き続けた下りの階段で足を滑らせて激しく尻餅をつきました。その瞬間に右手を地面について、手のひらの親指付け根付近を挫創しました。

じわーっと血が出てきたので、バックパックからエマージェンシーキットを出して、アルコール綿で傷口周りの汚れを落として絆創膏を貼りました。

アル綿で拭く前に水で汚れを流したかったのですが、もう水はいいだろうと思ってOS1の粉を溶かしてしまい手持ちがありませんでした。やはり水は常に500mlは携行しないと駄目ですね。

そして転んだ衝撃が原因か分かりませんが、バックパックの山と道ONEのカーボンフレームの棒が底を突き抜けて飛び出してしまいました。

テンションだだ下がりですが、立ち止まっていてはゴールできないので心を無にして足を動かします。

アルプス平へ

小遠見山を過ぎ、アルプス平に近づくにつれて周囲の木々の色付きが目立ってきますが、今の僕には木々の紅葉を楽しむ気持ちの余裕はありませんでした。

15時発の長野行のバスには余裕で間に合う時間帯ではありますが、とにかく早く下りきって体を休めたい…という一心で歩き続けました。

今思えばこんなに綺麗なんだからペースを落として木々の紅葉をじっくり撮影すればよかったような気もしますが、歩いている時はそこまで考えが至りませんでした。

小遠見山からアルプス平駅の区間は登山者ではない一般の方も登ってこれるハイキングコースになっていて、整備の行き届いた歩きやすい階段が続きます。

しかしこの階段が疲れ切った足には優しくなく、時折足を止めて太ももをマッサージしながら下りました。

ようやくアルプス平に到着しました。

アルプス平に着いたら何か食べようと思っていましたが、このままゴンドラに乗ってエスカルプラザまで行ってしまうことにしました。

アルプス平からエスカルプラザはゴンドラで約8分。

ゴンドラに乗ったところで臭そうな登山者の印象を払拭するために、除菌シートで体を拭き、ズボンの汚れを拭き取り、バックパック内の整理整頓を行いました。

エスカルプラザでエナジーチャージ

ゴンドラを降りて歩いてすぐのエスカルプラザに到着したのが13時。

長野駅行のバスが15時発なので、ちょっと急ぎすぎたかもしれないですね。

とりあえず腹が減ったので2階の食堂で蕎麦を注文。

そしてホップのエナジードリンク。

下山後に酒を飲む。これぞ公共交通機関登山の醍醐味です。

エスカルプラザの地下1階には「白馬姫川温泉 竜神の湯」という温泉も完備されていますが、下山後の温泉にはあまり興味が無いマンなので、食後は入口の椅子に座ってバスを待ちました。

帰りはバスと新幹線

15時発の長野駅行のバスはほぼ満車状態。

栂池始発で八方などを経由してきているので、観光者や登山者ですでに座席は埋め尽くされつつあり、空席は通路側に少々…といった感じ。エスカルプラザからは僕を含めて3名が乗車し、それぞれ座席を確保したところで空席はほぼなくなりました。

バスに揺られること約1時間、ほぼ時間通りに長野駅に到着しました。

新幹線はバスが遅れる可能性を考慮して1時間ほど余裕を持たせていたので、時間まで改札前のベックスコーヒーで時間を潰しました。

17時過ぎに新幹線に乗り上野で上野東京ラインに乗り換え自宅の横浜に帰りました。

終わりに

前回の槍ヶ岳登山は体力不足で予定していた行程を歩き切ることができませんでしたが、今回は無事に計画通りに歩くことが出来ました。

2日間通して天気も良く、それぞれの山頂で素晴らしい景色を目にすることができて満足しています。

恐らく今年の北アルプスのテント泊はこれが最後です。

直前になって行く気が無くなる病のおかげで今シーズンは記憶しているだけで2回ほどチャンスを棒に振りましたが、それでも前回の槍ヶ岳と今回の唐松岳・五竜岳で結構挽回できたかなと思っています。

今後は標高を下げた低山の紅葉狩りがメインになってきますが、引き続き安全に登山を楽しんでいこうと思っています。

今回の登山はYouTubeに公開予定なので、興味のある方はチャンネル登録をお願いします。

www.youtube.com