7月下旬に新型コロナウイルスに感染しました。
コロナになった結果、7月下旬に予定していた夏休みは大きくスライドして9月下旬になり、8月11日の山の日とその翌日の振替休日の連休の山行は、コロナが治ってから考え出したので夜行バスがどこもかしこも満席状態…。
そんななか毎日あるぺん号の室堂行に若干の空きがあるのを発見。
立山自体にはあまり興味は無かったのですが、ちょうどこの日は富山湾をスタートして北アルプス・中央アルプス・南アルプスを縦走して静岡の海を目指すというイカれたレース「トランスジャパンアルプスレース(以下TJAR)」の初日。
これは応援に行くしかないな…ということで夜行バスを予約して立山行きを決めました。
※記事執筆時にレースを終えている選手もいますが、その辺りは別の機会にまとめる予定です
- 夜行バスで立山室堂へ
- 行程について
- まずは浄土山方面へ
- 休憩と応援で賑わう一の越山荘
- 雄山へ
- 大汝山と大汝休憩所
- 富士ノ折立へ
- 真砂岳へ
- 別山へ
- 別山に到着
- 雷鳥沢キャンプ場へ
- 剱御前小舎から雷鳥沢キャンプ場へ
- 雷鳥沢キャンプ場に到着
- テントを撤収して室堂へ
- 室堂から富山経由で帰りました
夜行バスで立山室堂へ
土曜日の夜。
夜行バスの毎日あるぺん号に乗るために竹橋の毎日新聞社ビルへ。
バスに乗り込み入口の座席表を見てみると、エンジンの音と振動を最も感じることのできる一番後ろの座席でした。
最後列は5席ありますが、5人座るとぎゅうぎゅうになってしまうため、中央の1席はあえて座席として使わないようにしているようなのですが、新宿から乗って来た乗客(オッサン)が何故かそこに座りだしてしまい、最後列はとても窮屈な状態になってしまいました。
しばらく我慢していた僕の隣の方が、バス会社の方に座席指定のない席に客が座っている旨を伝えたところ、後部座席よりもよっぽど快適そうな元の席に連れ戻されました。
こんな音と振動が酷いところに何故わざわざ移動して来たのでしょうか…。
よく分からない客と後部座席の振動&音のせいで満足に睡眠がとれませんでしたが、バス自体は順調に目的地に向かい、予定の10分前くらいに室堂に到着しました。
バスの荷台に預けていたバックパックを受け取り、トイレを済ませて出発します。
扇沢や立山駅からの登山客はまだ到着していない時間帯らしく、登山者は少なく室堂はとても静かでした。
行程について
今回は剱岳方面からやってくるTJARの選手たちとすれ違いながら応援するので、立山三山を反時計回りに歩きます。
できるだけ多くの選手とすれ違いたいので、前回大会(2022年)の報告書に記載されていたチェックポイントの通過タイムを調べ、1位の選手の通過に間に合いそうな場所を絞り込みました。
室堂を7時に出発して間に合いそうな場所は一の越山荘と浄土山の2か所。
休憩する登山者や選手の応援で混雑する可能性の高い一の越山荘よりも、浄土山のほうが混雑が少ないような気がしたので、まずは浄土山方面に向かうことにしました。
浄土山で1位通過の選手を応援し、その後は後続の選手を応援しつつ、立山三山と別山に登り、雷鳥坂から雷鳥沢キャンプ場に下山してテント泊…といった計画です。
荷物は山と道MINI2に諸々を詰め込んで水・食料込みで10kgほど。
まずは浄土山方面へ
今年初の北アルプス、そしてテント泊装備(重量は10kgほど)を背負っての登山ということで、序盤から息が切れます。
立山ならトレッキングポールいらんやろ…と家に置いてきたことを早速後悔。
それにしても良い天気です。
足元を彩る花たちも良い感じ。
…なんて呑気なことは言ってられません。
急いで応援予定地に向かわなくては…
…と思っていたら分岐を見過ごして室堂山展望台に来てしまいました。
左奥に槍ヶ岳、手前には五色ヶ原がよく見えます。
思わずここで休憩してしまいそうになりましたが、そんな時間的余裕はないので急いで引き返します。
思わぬタイムロスがありましたが、予定していた時間までには富山大学立山研究所の分岐に到着できそうです。
突然現れる1位通過の竹村選手
さて、1位の選手はどのあたりまで来ているかな?と大会用に選手が携帯しているGPSの位置情報をチェックしようとしたその時、目の前にゼッケン1番の竹村選手が現れました。
突然の登場に慌ててDJI Osmo Pocket3で動画を撮りましたが、カメラで写真を撮ることができませんでした。
最年少の竹村選手は爽やかに軽やかに風のように去っていきました。
数分後にやってきた前回王者の土井選手
竹村選手が通り過ぎた数分後に2022年大会優勝の土井選手がやってきました。
土井選手も竹村選手同様に颯爽と現れて、笑顔で走り去っていきました。
まだまだ序盤ということで足取りは軽快そのものです。序盤と言っても我々一般登山者からすれば、すでにとんでもない距離を進んできているわけですが…。
3位の選手の位置情報を確認すると、まだ立山を移動中だったので、一の越山荘に向かうことにしました。
浄土山周辺は閑散としていましたが、雄山周辺は遠目から見ても混雑しているのが分かりますね。まぁ山の日の日曜日でこの天気ですからそりゃあみんな登りますよね。
休憩と応援で賑わう一の越山荘
富山大学立山研究所の分岐から少し下ったところにある一の越山荘は、立山三山のひとつ「雄山」の山頂直下ということもあり、これから雄山に向かう休憩中の登山者で混みあっていました。
そして山頂に続く登山道には登山者の列ができていました。
雄山へ
この渋滞なら休み休み息を切らさずのんびり登れるな…と安心していたのですが「あ、お先にどうぞ」「後ろの方追い越しまーす」と察しの良すぎる登山者の方々のおかげで思いもよらないハイペースに突入することになり早々に疲労困憊。
半袖短パンの軽装が速そうに見えたのでしょうか?決してそんなことはないのですが…。
牧野選手
休憩できそうな開けた場所まで来たので、背負っていたバックパックを地面に下ろして、サコッシュに入れておいたセブンイレブンのソーダわらび餅を食べました。
これは非常に美味いですね。今度見かけたらまとめ買いしたいと思いました。
一息ついていると雄山から牧野選手がやってきました。牧野選手も土井選手と同様に2022年大会の完走者(8位)です。
足取りも軽やかでまだまだ元気そうな印象を受けました。
ハーネス部分にドリンクホルダーと大きなポケット、これはどこのバックパックでしょうか?
…と思って帰宅後に調べてみたところ、パーゴワークスと共同開発?した RUSH415 というモデルのようです。牧野選手のFacebookに写真が何点か掲載されていました。
見るからにプロトタイプといった感じなので製品化されるかは微妙な気がしますが、なかなかカッコいい、そして使い勝手の良さそうなバックパックでした。
雄山に到着
軽く休憩したあとは目と鼻の先の雄山に向かって再出発。
あっという間に到着です。
非常に混雑していたので先に進みます。
ちょっと雲が出てきましたね。
大汝山と大汝休憩所
雄山からサクッと大汝山の山頂へ。
今日はどこもかしこも登山者だらけなので、記念撮影の順番待ちは諦めて先に進みます。大汝山はTJARのチェックポイントにもなっています。
保田選手
大汝山直下の休憩所に向かおうとしたところで保田選手がやってきました。
保田選手といえば前回大会でゴールを目の前にしてスマホが水没して故障したことを申告、大会の必携品のスマホが使いない状態だとゴールが認められないため、スマホの機種変更のために近くのゲオまで引き返すというハプニングで話題になりました。
このエピソードはNHKが映像に残せなかったため、テレビ放映にはなりませんでしたが、取材のカメラがその場にいれば確実に本編に流れていたはずの印象深い出来事です(書籍にも取材のカメラに収められなかったことを悔やむ記述がありました)。
きっと今大会でも各所でイジられるはず。
大汝休憩所で麦茶を補給
入口に冷えた麦茶が売っていたので、持ってきた空になった麦茶のペットボトルに補給して、外の岩場に座って少し休憩することにしました。
吉川選手
すると吉川選手がやってきました。
吉川選手も前回大会出場者で、2022年大会では足に蓄積したダメージで走れなくなり、最後の完走者としてゴールをくぐりました。
まだ序盤ということもあって、周囲の「頑張れー」の声掛けに笑顔で応えていました。
佐藤選手
佐藤選手も前回大会の完走者。
気が付いたら通り過ぎてしまい後ろ姿しか見れませんでした。佐藤選手が通り過ぎた後に塚田選手もいつの間にか大汝休憩所を通り過ぎていました(動画で後ろ姿を撮りましたが写真は間に合わず…)。
山本選手
今回初出場の山本選手。
しっかりとした確かな足取りで先に進んでいきました。
富士ノ折立へ
選手の位置情報をチェックして、しばらくすれ違うことはなさそうだな…と判断して先に進み富士ノ折立に登りました。
狭い山頂は記念撮影の列ができていたので、動画だけ軽く回して写真は撮らずに引き返しました。
真砂岳へ
富士ノ折立から下るところで選手たちとすれ違いそうだったので立ち止まって少し待ちました。
駿谷選手
駿谷選手は最年長の56歳。
前回大会も完走しており今回2回目の挑戦です。
足取りや表情から疲労の様子はまったく感じられず、元気に登っていきました。
片野選手
ダスティンこと片野選手は2018年大会の完走者。
山と道MINI2の背面メッシュにお菓子のポップコーンの袋が入っていました。果たしてこれをいつ食べるのか?TJARスタッフのインスタグラムアカウントも注目しているようです。
宍戸選手と関選手
宍戸選手は今回初出場、関選手は前回大会の完走者です。
真砂岳に行くか迷う…
真砂岳の手前にある、雷鳥沢キャンプに下る大走り分岐でしばし立ち止まって進むか下るかで迷いました。
道中の稜線から混雑している雷鳥沢キャンプ場の様子を見て「そろそろテントを張るスペースが無くなるのでは?」と不安になってきたのと、テント泊装備を背負っての久しぶりのアップダウンで結構疲れてしまったのが理由です。
熟考した結果、まだ時間的にも余裕があるし、体力的にも何とか行けそうな気がしたので先に進むことにしました。
安田選手
先に進むことを決めて歩き始めたところで、颯爽と駆け下りてくる安田選手を発見。華麗な足さばきに見とれていたらあっという間に目の前に。
真砂岳に到着
そんなこんなで真砂岳に到着しました。
ここから一旦下って再び別山に登り返すのかと思うとゲンナリしますが、進むと決めた以上行くしかありません。
別山へ
下れば下るほど別山が巨大に見えてきます。
笹野選手・石山選手・田中選手・蘆田選手・保谷選手
真砂岳から下って行くところで5名の選手とすれ違いました。
朝7時に出発して大した距離を歩いていない僕よりも、長時間走って歩いて登ってを繰り返している選手たちのほうが元気そうで圧倒的な力の差を感じました。
別山に到着
別山に到着しました。
疲労困憊。
立山方面は雲の中。
剱岳は辛うじて見えました。
あわよくば剱沢キャンプ場にテント泊して、翌早朝に剱岳に登ってから帰る…という計画をプランBとして用意していましたが、ここまで来た段階でそれがいかに無謀な計画だったのかを実感しました。
雷鳥沢キャンプ場へ
…というわけで剱御前小舎を経由して雷鳥沢キャンプ場に下山します。
まだ別山まで登ってきていない数名の選手がいるようですが、すっかり疲れてしまったので、この先の分岐で会えればラッキー…くらいの気分で先に進むことにしました。
別山から少し進むと剱岳がより良く見える場所に出ます。
紅葉の時期も綺麗ですがやはりグリーンシーズンの剱岳はカッコいいですね。
テント場も結構賑わっています。
剱沢キャンプ場への分岐を通り過ぎて少し進んだところで振り返ると、山中選手がレースを応援する方々に迎えられていました。
更に後続の方々には残念ながら会えず。
剱御前小舎から雷鳥沢キャンプ場へ
ここまで来たらあとは下るのみ。
剱岳方面に少し青空は見えるものの、雷鳥沢キャンプ場方面はガスで真っ白。何も見えません。
心を無にして延々と下ります。
雷鳥坂、今回も雷鳥に会えませんでした。
雷鳥沢キャンプ場に到着
…というわけで14時20分。
雷鳥沢キャンプ場に到着しました。
道中何度もテント場を見て心配していた通り、良さそうな場所は殆どテントが張られていて、張れなくはないが微妙…みたいな場所しか残っていません。
しばらくウロウロしていると、テントを撤収中の方がいたので声をかけて場所の確保をさせてもらいました。
arataのダブルウォールテント「AX-79」
管理小屋からそれほど遠くなく、フラットな場所を確保することができました。
テントは発売直後にリコールが発表され、夏山に間に合うのか?と購入者を不安にさせたarataのAXシリーズです。僕が購入したのは真ん中のサイズのAX-79です。
濃いグレーがカッコいい。
設営はオーソドックスなスリーブ式テントなので、同じタイプのテントを扱ったことがある方であれば初見で張れると思います。
インナーテントにメッシュ部分が殆どないタイプなので、この時期は灼熱地獄になるかと思いきや、入口と入口の反対側にある小さな開口部を開けておくと風が抜けて結構快適でした。
ただし、メッシュのないインナーテントなので状況によっては結露します。インナーテント・フライシート共に。
今回はフライシートは当然として、インナーテントの左側面と足元付近がうっすらと結露しました。
雷鳥沢ヒュッテでアイスを食う
テントを設営して受付も済ませたので雷鳥沢ヒュッテに買い出しに向かいます。
最近登山の時にビールを飲みたいと思えなくなってしまった僕が選んだのは…
チョコモナカジャンボ。
これだけだと喉が渇くので一緒にコーラを買ってヒュッテの近くで景色を見ながら頂きました。
早めの夕飯
テントに戻ってしばらくゴロゴロしていましたが、そろそろ何か食べておこうと思いお湯を沸かしました。
少し早めの夕飯はこちら。
カップヌードルのねぎ塩です。
山で何を食べるのか問題は登山を始めて10年経った今も未だに答えが見つかっていませんが、1泊程度の登山であれば普通にカップヌードルでいいのでは?と最近思い始めています。
容器に入った状態のほうが食べやすいしスープも飲みやすいし…。
あとあれですね。袋麺だとスープが500mlあったりして最後まで飲み切るのが結構大変だったりするんですが、カップヌードルの場合は300mlくらいなので難なく飲み切れます。
食欲はそれほどなかったのですが、食べ始めたら美味すぎて結構な勢いで平らげてしまいました。
雨が降って突如晴れる
カップヌードルを食べてテントで寝転がっていたらパラパラと小雨が降ってきました。
そんな予報だったっけ?と思いつつも景色は何も見えないし、明日は室堂に戻るだけなので「ま、大雨にならなければどうでもいいや」と思いながらぼーっとしていました。
しばらくするとテントの外から「わぁ綺麗」みたいな声がちらほらと聞こえてきたのでテントの外に出てみると、さっきまでガスで何も見えなかったテント場周辺の景色が一変していました。
さっきまでのガスが嘘のようです。
突然の晴れにテントに籠っていた人たちがわらわらと出てきて賑やかになりました。
陽の光に照らされたチングルマの綿毛もキラキラ。
しばらくするとまたガスが出てきて真っ白けになったのでシュラフに入って眠ることにしました。
雷鳥沢キャンプ場の夜
夜中にふと目が覚めたのでテントの外を見てみるとガスがとれて星が綺麗に見えていました。
そろそろ星の撮り方をちゃんと学ばないとな…。
何枚か撮って再び眠りにつきました。
テントを撤収して室堂へ
午前3時頃に起床してお湯を温めてカップヌードルのカレー味を食べました。
あたりが明るくなるまでテント内の片づけをして、トイレの行列に並び、諸々の準備を済ませたところで出発します。
雷鳥沢のテント場から室堂まではそれほど距離はありませんが、出発からしばらく階段の登りが続きます。
みくりが池を超え、
少し進んだところで…
朝日が昇ってきました。
剱岳に登っている人たちは見事な朝の景色を堪能しているんだろうなぁ。
僕にもう少し体力があって体重が10kgほど軽ければ…。
…というわけで、みくりが池を通り過ぎれば室堂はすぐそこです。
室堂から富山経由で帰りました
室堂に到着したのが6時15分。
始発のバスが8時なのでだいぶ時間があります。
今回の道中で発生したゴミをゴミ箱に捨て、バックパックをパッキングしなおし、乗り場の列にバックパックを置いてしばし待ち、チケット売り場が営業開始したところで電鉄富山行きのチケットを購入しました。
その後は乗り物を乗り継いで電鉄富山駅に移動。
白えび亭 とやマルシェ店で白えび天丼を食べる
一旦外に出てJR富山駅に隣接する「とやマルシェ」に入り、回転寿司の「すし玉」で寿司を食べようと思ったところ、ドン引きするレベルの行列ができていたため、行列ができる寸前だった「白えび亭 とやマルシェ店」に滑り込み、白えび天丼とビールを注文しました。
安定の美味さ。
新幹線の時間までだいぶあるので、食後もゆっくりしたかったのですが、並んで待っている順番待ちの方が徐々に増えていたので早々に退店。
白えび亭を出た後に「すし玉の行列が減っていれば…」と念のため見に行きましたが、相変わらず凄い行列だったので諦めました。
ロッテリアでエビバーガーセットを食べる
座ってのんびり時間を潰せるところを…と辿り着いたのがロッテリア。
まだ食えるな…と思い、エビバーガーのポテトLセットを注文。
さすがに腹がパンパンになりました。
富山駅の待合所でまったり
最後は富山駅の改札を通り、待合所で新幹線の時間を待ちました。
…というわけで、TJARに参加している選手を応援しながら歩く立山登山は無事に終わりました。
1日目の後半は若干ガスってしまいましたが、全体的に天気が良く夏の北アルプスの景色を堪能できましたし、TJARで奮闘する選手たちから元気と刺激をもらうことができました。