はらですぎ

山とビールを愛するメタボリックおやじの登山ブログです。

悪天候のため白馬大雪渓を通って猿倉に下山【夏休み2~3日目】

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前回の続きです。

www.haradesugi.com

昨夜から続く暴風雨はまったく衰えずに延々と続き、気が付けば午前3時になっていました。

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天気が良ければ午前4時にはテントを撤収して出発する計画でしたが、この天気では予定通りに行けそうにありません。

とりあえず朝食を食べながら考えようと思い、カロリーメイトをポリポリと口に入れながら今後について頭の中で検討していきます。

2日目の行程を考える

当初の予定は、朝の4時にテント場を出発し、杓子岳と鑓ヶ岳のピークを踏み、難所の不帰キレットを越えて唐松岳から宿泊地の五竜岳へ…といった感じでした。

ですがこの天気では4時に出発して五竜岳方面に向かうのは無理です。

この段階で、予約していた五竜山荘でのテント泊は不可能になり、次の日に予約していた冷池山荘でのテント泊も同様です。

こうして予約必須なテント場を使った縦走は、計画が少しずれるだけで簡単に破綻してしまうのでした…。

予約が必要ない昨年までなら、自分のペースや都合に合わせて日程をずらして訪れることができましたが、今年はそうはいきません。

すでに他の日の予約が埋まっているので、計画が狂ってしまった場合は別の行先を探すか下山するしか選択肢がありません。

このまま今のテント場に延泊することも考えたのですが、昨夜から続く暴風雨の影響で、テントの中に雨が浸水してきていて、もう1泊するのは難しい状況でした。

とりあえずここであれこれ考えていても埒が明かないので、テントを撤収して、スマホの電波が入る白馬山荘に一時避難して、そこで情報を収集しつつ今後の行動を決めることにしました。

風雨にさらされながら急いでテントを撤収して白馬山荘に向かいます。

白馬山荘に向かう途中で、猿倉に下山するパーティーとすれ違い、先頭を歩いていた山岳ガイドの方に「アイゼンがないから栂池方面に下山するかもしれない」と話をすると「この風雨で長時間稜線上を歩くなら手袋があと2枚くらいないと危ないよ」という助言を頂きました。

すでに手袋はびしょ濡れで、中の手も少し冷えていました。

来た道を戻るには手の冷えが心配だし、猿倉に下山するには大雪渓を通る必要があり、アイゼンを持ってこなかった僕は通過することができません。

「延泊も下山も厳しいか…」

思わず声に出てしまいました。

スカイプラザ白馬でモーニングコーヒー

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びしょ濡れになりながらスカイプラザ白馬に到着しました。

濡れた荷物とレインウェアを入口のベンチ付近に置かせてもらい、店内に入ってホットコーヒーを注文しました。

窓の外を見ていると、前日ゴンドラやロープウェイで一緒だった登山者の方々がレインウェアを着込んで猿倉方面に下山していくのが見えました。

ホットコーヒーを注文して飲みながらスマホで情報を収集します。

今後の天気と下山のコースタイム

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スマホで最新の天気予報をチェックしてみたところ、雨はもうすぐ止んで明日以降は天気は落ち着く…みたいな内容でしたが、外の風雨はすぐに収まりそうな気配はありません。

また、連日予報に裏切られている僕にはスマホに表示されている予報を素直に信じることはできませんでした。

栂池自然公園へ下山する場合は約5時間のコースタイムで、約2時間半くらいは稜線上で風雨にさらされることになります。先ほどすれ違ったガイドの方の言う通り、替えの手袋がないまま長時間風雨にさらされるのは危険な気がします。

一方、猿倉へ下山する場合はコースタイムが3時間45分くらいで、栂池方面のような稜線上は歩かないので、早く安全に下山するなら猿倉方面です。

しかし猿倉に下山するためには大雪渓を通る必要があり、大雪渓を歩くにはアイゼンが必要です。

白馬山荘でアイゼンをレンタル

栂池方面は手がヤバそうだし、猿倉方面はアイゼンが必要と…。

これはどうしたものかなと頭を悩ませていると、ふと大雪渓のルートを歩くために猿倉でアイゼンのレンタルをしているような話を思い出しました。(猿倉荘ではレンタルではなく販売でした)

猿倉荘でレンタルしているなら、白馬山荘でもやっているのでは?と思って調べてみると、レンタルしていることが分かりました。

アイゼン

¥1,200 (保証金¥300込み)

【貸出し・返却場所】白馬駅前営業所 / 白馬山荘 / 栂池ヒュッテ

※ 返却時に保証金は返金致します

www.hakuba-sanso.co.jp

もし僕の履いてきたトレイルランシューズ(山用のスニーカー)にアイゼンが装着できれば、猿倉方面に下山することができます。

コーヒーを飲み終えたた僕はスカイプラザの向かいにある白馬山荘の受付で実物を見せてもらい、装着可能かどうかを試させてもらいました。

なんとか靴に固定することができそうだったので、アイゼンをレンタルして猿倉に下山することに決めました。

白馬大雪渓を通って猿倉に下山

下山を決めた僕はふたたびレインウェアを着こんで白馬山荘を出発しました。

歩いて行くうちに雨と風が弱くなり、あまり気にならなくなった時点でレインウェアを脱ぎました。

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この辺りも高山植物が綺麗に咲いていました。

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そして大雪渓が近づいてきたあたりで青空が見えました。

もしかして下山を早まった!?と思い来た道を振り返りますが…

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空はどんより曇っていて、決して天気が良さそうには見えませんでした。

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僕はここを歩くのが初めてなので、普段と水量がどのくらい違うのか分かりませんが、結構な量の水が凄い勢いで流れていました。

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そして雪渓の上には大小さまざまな石が転がる順番待ちをしているかのように点在していました。

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しばらく歩き続けたところで、いよいよ白馬大雪渓に突入します。

上の写真中央あたりにいる人たちの場所でアイゼンを装着しました。

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アイゼンを装着して歩き出すと、下からガスが湧き上がってきて数メートル先までしか見えない虚無の世界に突入しました。

先行する人や登ってくる人が殆ど見えないので、足元のトレースや僅かに残っている目印の赤いペンキの跡を頼りに先へ進みます。

さっき見た大量の石が背後から転がってくるかもしれないという怖さもあり、なかなかの緊張感です。

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そしてルート上ではありませんが、途中に大きなクレパスがありました。

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前方の見通しが悪いなか、トレースを見失ってこんなところに落ちたらと思うとゾッとします。

大雪渓を無事にクリアすれば、あとはごくごく普通の登山道なので、滑って転ばないように気を付けながらどんどん下っていきます。

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地図に白馬尻小屋の表記があったので、あわよくばここでコーラを…と思っていましたが、今シーズンは営業していないようです。

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ここから猿倉荘まで残り約1時間。

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標高が低くなるにつれ沢の水量と勢いが増していきます。

やはり昨日の雨による増水なのでしょうか。

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登山道が終わり林道に入りました。

ここまで来ればもう安心です。

今回の残念な登山を思い返しながら猿倉荘を目指します。

猿倉荘に到着

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無事に下山することができました。

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猿倉荘で猿倉うどんを注文し、出来上がるまでコーラで一息。

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そしてうどん。

味はあまり好みではありませんでした^^;

 

うどんを待っている間に先客のカップルの方とお話をしていたら、どうやら昨日ロープウェイで一緒だったようです。色々大変だった今回の登山について話をしていると、少し遅れて同じくロープウェイで一緒だったご夫妻が下山してきました。

こんなこともあるんですね、なんて笑いながらバスの時間まで談笑して、それぞれの降車地点でお別れとなりました。

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僕は白馬駅からバスで長野駅まで移動して、新幹線と在来線を乗り継いで横浜に帰りました。

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期待していた天気にならず、2日目で無念の撤退となりましたが、美しい高山植物のお花畑を見ることができましたし、道中で出会った方々との楽しい交流もあったので、これはこれで良かったような気がしています。

帰宅後すぐに北アルプスに戻る準備を開始

夏休みは7日間なので、まだまだ日数が残っています。

このまま家でダラダラしているのは勿体ないと思い、今からでもチケットが取れそうな夜行バスの便と行先をネットで探しまくりました。

すると安曇野穂高のバス停まで行くことができる夜行バスの空席を発見しました。

出発は翌日の夜。

安曇野穂高まで行き、穂高駅前で中房温泉行のバスに乗り換えれば、朝の6時には中房温泉の登山口まで移動できます。

よしこれだ!とチケットを予約。

1日目に燕山荘から表銀座方面に歩いて大天井岳のある大天荘でテント泊(予約不要)、2日目は天気と体調の状況を見て槍ヶ岳方面か常念岳方面のどちらかに向かうという…というざっくりした計画を立てました。

ここまで準備したところで睡魔マックスになったので寝ることにしました。

夏休み3日目、ふたたび北アルプスへ

無念の撤退に終わった白馬岳登山の翌日。

行先を決めた僕は、それに合わせたパッキングを朝からスタート。

びっしょりに濡れたフライシート・インナーテント・グランドシートそれぞれ風呂場で洗って乾かしました。

そして夜。

パッキングしなおした荷物を持って夜行バスの出発地点である新宿駅前に向かいます…が!ここで僕の足の筋肉に異変が…。

どうやら白馬岳から下山する際に使った足の筋肉の疲労が翌日の夜になって出てきたようです。通常の歩行には影響はありませんが、下りの動作の時に太ももとふくらはぎの筋肉が張って痛みます。

この足の状態で翌朝から登山ができるのか!?という不安が湧き上がってきましたが、とりあえず行くだけ行ってみて、登りながら考えることにしました。

 

…というわけで夏休み4日目につづく。