はらですぎ

山とビールを愛するメタボリックおやじの登山ブログです。

黒百合ヒュッテで厳冬期テント泊デビュー!早朝の天狗岳に登って絶景を楽しんできました。

f:id:haradesugi:20200212175952j:plain

雪山装備を整えつつも山に行くタイミングがなかなか訪れないまま2月も中旬になろうとしています。このままではマズイ!と思い、連休を取って厳冬期のテント泊登山に挑戦することにしました。

選んだ山は冬山登山入門の山として有名な天狗岳です。

当初は渋の湯から高見石小屋にテントを張って白駒池を見に行ったり、にゅうに登ったりして、翌日に天狗岳に登って黒百合ヒュッテ経由で下山・・・みたいなことを考えていました。

ただ、コースタイムを机上で計算して行程を詰め込みすぎても失敗するだけだよな・・・と思い、黒百合ヒュッテにテント泊をして天狗岳に登るシンプルなプランに変更しました。

茅野駅からバスで渋の湯へ

f:id:haradesugi:20200212175629j:plain
f:id:haradesugi:20200212175635j:plain

自宅の最寄駅から電車を乗り継ぎ、新宿であずさ1号に乗り換えて茅野駅へ。

茅野駅からはアルピコ交通のバスに乗り換えて登山口のある渋の湯へ。(冬場のバスは全便土日祝日及び12月29日~1月4日運行)

www.city.chino.lg.jp

黒百合ヒュッテへ

f:id:haradesugi:20200212175642j:plain

準備を整えて出発。

今回はサーモス山専ボトル900mlを満タンにした状態でバックパックの総重量は17.5kgくらいでした。

f:id:haradesugi:20200212175647j:plain

f:id:haradesugi:20200212175652j:plain

黒百合ヒュッテまでの登山道はこれといった危険個所もなく、チェーンスパイクでサクサクと登っていくことができました。

f:id:haradesugi:20200212175658j:plain

樹林帯を延々と登り2時間ほどで黒百合ヒュッテに到着しました。

小屋の前は登山者で賑わっていたので、テント場の場所取りは早めにしておいたほうが良さそう?と思ってすぐに申し込んだのですが、どうやら休憩しているだけの方々でした。

結局この日のテント場は僕と団体の2張りのみでした。

LOCUS GEAR Khufu Tyvek を設営

f:id:haradesugi:20200212200108j:plain

今回はフロアレスシェルターのローカスギアのクフを持ってきたのですが、雪の上で張るのは初めて。設営まではスムーズにできたのですが、シェルターの隙間を雪で埋めるのに難儀しました。

素早く設営・撤収できるのがフロアレスシェルターの利点なんですけどね・・・。ただ今回でコツを掴んだような気がするので次回はもう少しうまくできるような気がしています。

ありえない忘れ物と黒百合ヒュッテのビーフシチュー

無事に設営が終わったのでテントの中に入って休憩しながら「この時間なら東天狗も西天狗も行けるな・・・」と地図を見始めたところ、スマートフォンのバッテリーの残量が50%を割っていることに気が付きました。

そこでモバイルバッテリーに繋いで充電しようとしたところ、USBケーブルを家に忘れてくるというありえない忘れ物が発覚・・・。

f:id:haradesugi:20200212175726j:plain

f:id:haradesugi:20200212175721j:plain

結局、小屋のスタッフにお願いしてケーブルをお借りすることに・・・。

タダで借りるのも気が引けたので(気が引けなくても滞在中に注文するつもりでしたが)ビーフシチューセットとビールを注文して食べながら持ってきたバッテリーに繋いで充電を開始します。

美味しいビーフシチューを食べながらビールを飲んでいたら「ま、天狗岳は明日登ればいいか・・・天気も良さそうだし・・・」と思い始め、結局小屋の中でダラダラとすごすことになるのでした。

天狗ノ奥庭を散歩

f:id:haradesugi:20200212175811j:plain

・・・とはいえ時間はまだたっぷりあります。

f:id:haradesugi:20200212175805j:plain

温度^^;

このままテントに戻って寝るのもなぁと思い、小屋の前から天狗ノ奥庭に登ってみることにしました。

f:id:haradesugi:20200212175817j:plain

アイゼンを履いてアタックザックに荷物を適当に入れて、雪の急斜面を登っていきます。

f:id:haradesugi:20200212175833j:plain

斜面を登り切ると景色が開けました。

f:id:haradesugi:20200212175840j:plain

北アルプスもよく見えます。

f:id:haradesugi:20200212175858j:plain

黒百合ヒュッテからちょっと登るだけでこんなに素晴らしい景色が見れるなんて知りませんでした。

f:id:haradesugi:20200212175853j:plain

このまま天狗岳に登ってしまおうか・・・という気分になってきましたが、時間的にちょっと厳しそう。

f:id:haradesugi:20200212175909j:plain

天狗岳は明日にして、しばらく周辺をウロウロ歩いて景色を楽しみました。

f:id:haradesugi:20200212175903j:plain

f:id:haradesugi:20200212175916j:plain

f:id:haradesugi:20200212175923j:plain

この日は快晴だったので、このまま日が沈むまで粘りたかったのですが、思っていたよりも風が強く寒かったので、途中で断念してテント場に戻りました。

夜の月明かり

f:id:haradesugi:20200212175929j:plain

その後はテントで食事の準備をしたり水を作ったりして時間をつぶし、19時くらいに明かりを消しました。

深夜に目が覚めると明かりを消していても外がうっすら明るいことに気が付きます。

f:id:haradesugi:20200212175952j:plain

ちょうどトイレに行きたかったので外に出てみると月明かりでした。

クフをもうちょっと綺麗に張れていれば絵になったんだけどなあ・・・。

f:id:haradesugi:20200212180245j:plain

あとで調べてみたところ満月の2日後ということなので明るいのも納得です。

空は昼間と同様に雲ひとつない空で朝の天狗岳に期待が高まります。

2日目の朝

その後は何度か目を覚ましながら(山で熟睡したことがない)3時を過ぎくらいのところで眠ることを諦めてテント内の片付けと朝食の準備をしました。

今回は初めての厳冬期テント泊ということで夜の寒さが不安でしたが、それほど冷え込まなかった(マイナス13度くらい?)のでシュラフにヴィヴィを被せなくてもダウンを着込んで、足の裏に貼るカイロでなんとかなりました。

ちなみにシュラフはカモシカスポーツのUDD 750 regularです。

この暖かさならヴィヴィでブーストすればマイナス20度くらいまでなら問題なさそう?

天狗岳の山頂へ

朝食にシチューを食べて体を温めて、準備を整えて6時にアタックザックを背負って天狗岳の山頂に向けて出発します。

出だしは全身が寒く、冬用の靴でも足の指先がとても冷たく「大丈夫かな?」と不安になりましたが、体を動かしているうちに気にならなくなりました。

f:id:haradesugi:20200212180250j:plain

中山峠から日の出の方向をチェックしつつ先を進みます。

夜にトイレに行ったときは雲ひとつない空でしたが、少しだけ雲が出ていました。

f:id:haradesugi:20200212180257j:plain

少し先にはテント泊していた団体さんが先行していました。

雪の斜面はしっかりと締まっていて、アイゼンの爪がしっかり食い込んで安心して先へ進めました。

f:id:haradesugi:20200212180303j:plain

山頂に到着する前に太陽が顔を出しました。

夏山では何度もご来光を見てきましたが、厳冬期の山でご来光を目にするのは初めてです。

太陽のそばの山にピントを合わせたつもりでしたが手前の雪にピントが・・・。

f:id:haradesugi:20200212180308j:plain

モノトーンの風景に彩りが訪れる瞬間。

f:id:haradesugi:20200212180313j:plain

北アルプス全域がモルゲンロート的な・・・。

f:id:haradesugi:20200212180319j:plain

感動しました。

もし初日に登っていたら翌日の朝は恐らく「寒い!昨日登ったし今日はそのまま下山しよう」みたいなことになっていたと思うのでUSBケーブルを忘れて良かった!(違う)

f:id:haradesugi:20200212180328j:plain

東天狗岳の山頂が見えてきました。

東天狗岳登頂!

f:id:haradesugi:20200212180335j:plain

素晴らしい景色を見ながら歩みを進め、東天狗岳の山頂に到着しました。

昨晩団体でテント泊していた方々が先に到着していましたが、僕と入れ違いで硫黄岳方面に向かって出発されました。

f:id:haradesugi:20200212180352j:plain

そんなわけで東天狗岳の山頂は僕ひとり。

せっかくなので自撮りしてみましたが、風で帽子が膨らんで妙な頭部に・・・。

頭が長い!

f:id:haradesugi:20200212180340j:plain

f:id:haradesugi:20200212180403j:plain

少し雲が出てきましたが、南アルプスから北アルプスまで見える最高の展望でした。

f:id:haradesugi:20200212180409j:plain

硫黄岳・赤岳・中岳・阿弥陀岳。

f:id:haradesugi:20200212180345j:plain

しばし撮影した後に西天狗岳に向かいます。

天狗岳はピークが東と西にそれぞれある双耳峰なのです。

f:id:haradesugi:20200212180436j:plain

ここ数日雪が降っていないのかトレースはしっかり残っていました。

西天狗岳登頂!

f:id:haradesugi:20200212180447j:plain

少し下って少し登って西天狗岳の山頂に到着です。

もちろんこちらも山頂は僕ひとり!

西天狗岳からの展望も最高でした。

東天狗岳山頂は写真で自撮りでしたが、西天狗岳山頂では動画で自撮りしてみました。使える映像になっていればYouTubeに公開予定の動画に入れる予定ですが果たして・・・。

動画は近日中に公開予定です。

www.youtube.com

f:id:haradesugi:20200212180152j:plain

東天狗岳は西天狗岳から見たほうがカッコいいですね。

ひとしきり展望を楽しんだので黒百合ヒュッテに戻りたいと思います。

来た道を戻る

f:id:haradesugi:20200212180203j:plain

西天狗岳からはトラバースが幾つかあって、どこもトレースが残っていたので一番楽そうなところを選んでみたのですが、所々雪の吹き溜まりになっていて少し怖い思いをしました^^;

f:id:haradesugi:20200212180222j:plain

中山峠を越えれば小屋はすぐそこ。

f:id:haradesugi:20200212180227j:plain

戻ってきました。

空を見たら立体感のある不気味な雲が空を覆っていました。

f:id:haradesugi:20200212180216j:plain

小屋の温度計はマイナス6度くらい。

テントに戻り下山の準備を整えて、テント泊の申込みの際に預かったプレートを返却して出発です。

下山

f:id:haradesugi:20200212180234j:plain

黒百合ヒュッテから渋の湯までの下山は楽勝です。

f:id:haradesugi:20200212180239j:plain

来た道を黙々と歩き渋の湯に下山し、ひとっ風呂浴びて呼んでおいたタクシーに乗って茅野駅へ。

事前に下調べして覚悟はしていたもののタクシー代8,000円はなかなか辛い・・・。

茅野駅からあずさに乗って新宿から湘南新宿ラインで横浜へ。

おわりに

初日はありえない忘れ物が発覚して天狗岳のピークハントを先送りしてしまいましたが、結果オーライの素晴らしい登山になりました。

初めての厳冬期テント泊は気温がそれほど下がらず拍子抜けしましたが、天気に恵まれ楽しい登山の思い出がまたひとつ増えました。 

YouTubeに動画を投稿しました