はらですぎ

山とビールを愛するメタボリックおやじの登山ブログです。

重太郎新道から前穂高岳と奥穂高岳に登って穂高岳山荘に小屋泊してきました

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上高地バスターミナルから重太郎新道を登り、前穂高岳と奥穂高岳に登頂し、穂高岳山荘に宿泊する(テント場の予約が取れなかったので)という計画を立てました。

このルートは過去に2回歩いていて、どちらも前穂高岳まではまずまずの天気なのに、奥穂高岳まで行くとガスるという似たような展開でした。

そして翌日にザイテングラートから涸沢に下っていく途中で快晴の奥穂・前穂が目に入る…みたいな…。

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日本にはこんな諺があります。

2度あることは3度ある

同じようなことが二度も起きると、さらにもう一度繰り返されることがあるものだから、悪いことがまた起こらないように注意せよということ

3度目の正直

占いや勝負で、一度や二度は当てにならないが、三度目は確実であるということ

2度あることは3度あるかもしれないので、その場合は晴れやすい朝の時間帯を狙い、そのまま来た道を戻る、3度目の正直で無事に奥穂高岳に登れた場合は、翌朝ザイテングラートから涸沢経由で下山する…みたいな感じで1日目の状況を見て2日目の行程を考えることにしました。

ちなみに1日目の天気予報は「晴れ」です。

夜行バスで上高地バスターミナルへ

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前夜にバスタ新宿から夜行バスで上高地に向かいます。

この日は同時刻に2台のバスが出ていました。隣の座席が空いていたので荷物を置いて余裕をもって座ることができました。

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バスは予定通りに進み翌朝5時過ぎにバスターミナルに到着しました。

上高地バスターミナルから前穂高岳へ

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上高地バスターミナルから少し歩いたところにある河童橋を渡り、岳沢小屋に向かいます。

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薄暗く静かな樹林帯の登山道を黙々と登っていきます。

先日、小梨平キャンプ場にツキノワグマが出たというニュースが話題になりましたし、他でも熊の目撃情報をよく目にしていたので、念の為に熊鈴を鳴らしながら歩きました。

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今回はテント場が予約できず、穂高岳山荘に小屋泊なので荷物は少な目…にはならず、出発前に重量を計ったら何故か9キロくらいありました。

なぜ!?

岳沢小屋から重太郎新道へ

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岳沢小屋に到着しました。

ここから穂高岳山荘まで有人小屋やトイレがないので、補給とトイレを済ませます。

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登山中のエネルギー補給といえばコーラなのですが、買ってからゼロカロリーであることに気が付きます…。

家から持ってきたパンを食べながらコーラを飲み干して、その後にトイレを済ませて岳沢小屋を出発します。

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小屋を出てしばらく歩いていくと、徐々に登山道が険しくなってきます。

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ハシゴを登ったり岩をよじ登ったりしていくと、森林限界を越えて景色が開けてきます。

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この日の天気予報は雲マークの入っていない「晴れ」でしたが、風速がかなり強い予報でした。風は予報通りでしたが、雲とガスが風に吹かれて空をすごい速さで動き回っていました。

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これは過去2回の時よりも微妙な天気だぞ…と序盤から何とも言えない気分になります。そして紀美子平の手前あたりから痛めていた左足親指の陥入爪(画像検索注意!)?が悪化してきて、左足のつま先に体重をかけると親指に激痛が走るようになってきました。

そんな足の状況をかばいながら歩いているからか、疲れた時に出てくる右膝の違和感が早くも…。

紀美子平から前穂高岳山頂へ

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奥穂高岳と前穂高岳の分岐点の紀美子平に到着しました。

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雲やガスがだいぶ出てきているなか、あえて登る必要があるのだろうか?と立ち止まってしばらく悩みましたが、強風で雲が目まぐるしく動いていて、時折晴れ間が見えたり、景色が開けたりする瞬間があったので、とりあえず登ってみることにしました。

紀美子平から前穂高岳の山頂までは片道30分程度。

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ゴツゴツした岩場をよじ登っていきます。風は強めでしたが身の危険を感じるほどの強さではありませんでした。

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前穂高岳の山頂に到着しました。

天気が良ければ槍ヶ岳や涸沢が見えるのですが、残念ながらご覧の通りです。

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適当なところに座ってパンを食べながら休憩していると、時折雲の切れ間から青空と景色が見えましたが、しだいに頻度が減ってきたので紀美子平に戻ることにしました。

吊り尾根を歩いて奥穂高岳へ

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紀美子平に戻って奥穂高岳方面に向かいます。

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奥穂高岳までは吊り尾根という山肌を切り開いたトラバースの道を延々と歩きます。危険個所はそれほどありませんが、ここに来るまでに蓄積した疲労が歩みを鈍らせます。

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その後も上高地側から強い風とガスが吹き続け、数メートル先までしか目視できない虚無の世界に突入しました。

スマートフォンの電波が入るところで有料アプリの「登山天気」を立ち上げて奥穂高岳の天気予報を見てみると、もしかして僕は別の次元の世界に迷い込んでしまったのでは?という気がしてきます。

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画像:登山天気より

晴れとは?

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残念な天気のなかを延々と歩き、奥穂高岳山頂に到着しました。

山頂はこれまで以上に風が吹いており、立ち止まっていると体温がどんどん奪われていきます。

穂高岳山荘へ

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僕も少しだけ山頂で粘ってみましたが、風が収まる気配がまったくなかったので、GoPro MAXで山頂からの360度撮影をして、穂高岳山荘に向かうことにしました。

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強風に吹かれながら歩き続け、ようやく穂高岳山荘が見えてきました。

穂高岳山荘で小屋泊の受付(クレジットカード払い)

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穂高岳山荘は、新型コロナウイルスへの対応としてテント泊も小屋泊も小屋の外で申込用紙に記入をしてから受付を行うという流れになっていました。

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外で用紙を記入し、受付を済ませて(クレジットカード払い対応!)本日泊まる部屋と夕食の時間の説明を受けます。

夕食まで小屋でくつろぐ

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案内された宿泊スペースは、布団を敷いても両サイドに荷物を置ける広々としたスペースでした。

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宿泊スペースに荷物を置き、貴重品を持って土間食堂で注文したカレーライスと売店で購入したビールを頂きました。

その後も天気は回復することなく、小屋の外は風が吹き荒れていました。もしテント泊だったらと思うとゾッとする天気ですが、今回は山小屋泊なので安心して午後の時間を過ごすことができました。

食後は部屋の布団に寝そべってゴロゴロしたり、小屋の中をウロウロしたりして時間を潰しました。

そして17時に夕食の準備が整った旨の放送が入ったので食堂に移動します。

穂高岳山荘の夕食

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席に案内されると美味しそうな食事がテーブルに用意されていました。

標高2,996mの山小屋でこんな食事が食べられるとは!

普段はテント泊で質素な食事ばかり食べているので、久しぶりに食べる山小屋での豪華な食事に感動しました。(ごはんと味噌汁はお代わり自由)

食後は特にすることもないので、布団に寝そべってネットを見たりTwitterを見たり、ダウンロードしておいたNetflixの動画を見たりして時間を潰しました。

消灯時間まで廊下を挟んだ隣の部屋が非常にやかましかったので、イヤホンを耳栓代わりにして眠りました。

穂高岳山荘の朝

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午前4時くらいから周囲に迷惑にならないように音を立てずに荷物を片付けはじめ、布団を畳み、荷物を持って小屋の玄関まで移動します。

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小屋の外に出てみると太陽が昇ってくる方角が薄っすらと明るくなっていて、反対側の方角からは相変わらず強い風と共にガスが湧き上がっていました。

画像

画像:山の天気予報より

昨日の夕方に更新された山の天気予報では、朝からガスに覆われた微妙な天気になるという予報で、空は天気予報をなぞるような動きをしていました。

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当初は1日目がダメなら2日目に来た道を戻って晴れの奥穂高岳山頂を踏むつもりでいましたが、左足親指の怪我が悪化して痛みが強くなっていましたし、天気も予報通りに微妙な感じだったので、無理せず涸沢経由で下山することに決めました。

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幸い日の出の方角は天気が良く、ご来光が見れそうだったので、穂高岳山荘の前で三脚をセットしてタイムラプス撮影を行いました。

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ひとしきり撮影が終わったところで、用意しておいた荷物を背負って下山を開始します。

ザイテングラートから涸沢へ

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登りの時はそれほど気にならなかった足の指の痛みですが、下山になると非常に気になります。気を抜いていると親指を岩や石にぶつけて激痛が走ります。

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足運びを丁寧に行い、左足親指に負荷がかからないように注意しながらザイテングラートを下っていきます。

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ザイテングラートを下りながら来た道を振り返ると、奥穂高岳あたりにどんよりとした雲が覆いかぶさっていました。

2度あることは3度あった

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やはり天気予報通りになったな…と思いながら先へ進みますが、ザイテングラートを下りきったあたりで再び振り返ってみると、どんよりとした雲はいつの間にか消えていました。

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こんなことになるなら来た道を戻ったほうが良かったな…という思いが頭をよぎりましたが、足の傷が悪化していたので仕方がありません。

こうして2度あることは3度あり、3度目の正直にはなりませんでした。

無念。

涸沢小屋で休憩

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涸沢小屋まで戻ってきたところでコーラを飲んで休憩。ソフトクリームを食べたかったのですが、まだ準備中とのこと。

徳沢まで頑張るしかない。

軽めの休憩をとったあとは上高地バスターミナルに向けて出発です。

涸沢から上高地バスターミナルへ

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涸沢まで下りてくると昨夜から続いていた強風はどこへやら…。

穏やかな朝です。

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涸沢からは危険個所がないので、足を気遣いつつ気持ちは駆け足で歩いていきます。

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涸沢から横尾までの区間は久しぶりに歩きましたが、以前歩いた時とは何となく違った印象を受けました。

登山道にこんなに石がゴロゴロ転がっていたっけ?という場所が何ヶ所か見受けられました。

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徳沢でいつものソフトクリーム。

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小梨平キャンプ場は相変わらず閉鎖中で、事件翌日の朝に通った時にはあったレンタル用のテントがすべて撤収されており、梓川沿いで絵を描いているおじさんのテントも無くなっていました。

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河童橋はいつも通りの賑わいぶり。

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ここから歩いてすぐのところにツキノワグマが出たなんて思えない平和な光景が広がっていました。

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上高地バスターミナルに到着しました。

予約したバスの出発まで時間があったのでビールと焼きそば。

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その後は予約していたバスで新島々まで移動し、電車に乗り換えて松本駅から特急あずさに乗って帰りました。

2度あることは3度あって3度目の正直にはならなかったので、ルートはどうあれ奥穂高岳と前穂高岳は何らかの形でリベンジしたいと思います。