2013年の秋、富士山・金時山・瑞牆山とトントン拍子で成功してきた僕の登山。
前回書いた通り、次に控えていたのは登山というよりもロングトレイル。
少し遅い夏休みを利用して熊野古道の小辺路を2泊3日で歩いた。
熊野古道 小辺路
小辺路は弘法大師によって開かれた密教の聖地である高野山と、熊野三山の一角である熊野本宮大社とを結ぶ道である。熊野古道の中では、起点から熊野本宮大社までを最短距離(約70キロメートル)で結び、奥高野から果無山脈にかけての紀伊山地西部の東西方向に走向する地質構造を縦断してゆく。そのため、大峯奥駈道を除けば最も厳しいルートである。
スタート地点は高野山の金剛峯寺で、ゴールは熊野本宮大社。
熊野古道の小辺路は、伯母小峠と三浦峠と果無峠の標高1,000mを超える3つの峠を歩いて熊野本宮大社へと向かうルート。
これまで日帰り登山しかしたことのなかった僕が、何となく勢いで道具を揃えて2泊3日で歩くという、今思えばとても無謀な計画である。
無謀ゆえの代償を払うことになるとは出発の段階ではまだ知る由もなかった・・・。
高野山を散策して金剛三味院の宿坊に前泊
初日は横浜から高野山へ移動し、スタート地点のすぐそばの宿坊(金剛三昧院)に前泊。精進料理とビールをたっぷり頂き、翌朝の出発に備えて精進した。
1日目:金剛三昧院を出発し伯母小峠の避難小屋に宿泊
翌朝は朝のお勤めで猛烈に痺れた足を引きずりながら部屋に戻り朝食。
その後、身支度を整えて宿坊をチェックアウト。
小辺路の旅がスタートした。
これまで日帰り登山しかしたことの無い僕にとって、テント泊装備のザックは思っていた以上に重く、序盤からかなり体力を消耗してしまった。
果たして夕方までに伯母小峠の避難小屋まで辿り着くことができるのだろうか?と心配になりながら歩いた。
熊野古道の小辺路は、途中途中で舗装されたアスファルトに出たり、民家の脇を通ったりと、日本アルプスの縦走のような日々の生活から隔離さるようなことはない。
山道も整備されていて非常に歩きやすくなっている。
16時を過ぎた頃、ようやく伯母小峠の避難小屋に到着した。小屋には窓らしきものが無く、扉を閉じるとほぼ真っ暗。
フリーズドライのあまり美味しくない晩ご飯を食べ、食後は得にすることがないため、寝袋に入ったものの、なかなか寝付く事ができず(夕方だからね)、みんなが寝静まった後も何回も目を覚ましては時計で時刻をチェックしていた。
2日目:伯母小峠避難小屋を出発し十津川温泉周辺に宿泊
この日は朝から雨。
この日は登って来た伯母小峠をいったん下り、三浦峠を超えた先の十津川温泉まで歩く。
序盤はひたすら下っていくことになるのだが、途中途中で濡れた石畳が出現して、不用意に足を乗せると豪快に滑るため、なかなか歩く速度が上がらない。
そんな恐る恐る歩いている僕の横を、軽装のマラソンランナーのような方々が颯爽と追い抜いていく。どうやらトレイルランの大会が開かれているようだった。
僕が苦労して歩いている滑りやすそうな道を、ひょいひょいと駆け足で下りていく。
後で聞いた話だが、この日は熊野古道の小辺路を走るトレイルランの大会が開かれていて、スタート地点の高野山を早朝に出発して、その日のうちにゴールの熊野本宮大社まで走るということだった。
僕は前日から苦労してここまで歩いて来たというのに・・・。
伯母小峠を下ると、三浦峠の登山口が待っている。
せっかく登ったのに下ってまた登るという登山によくあるパターン。苦労して何とか峠を超え、三浦峠を下りたところにあるバス停から、十津川温泉の昴の郷までバスでショートカットした。
三浦峠を下りた所から十津川温泉までは舗装されたアスファルトをひたすら歩く必要があって、あえて歩く場合人と面倒なのでバスを利用する人に分類される。
僕は三浦峠に向かって歩き出した段階でバスに乗ることを決めていた・・・。
昴の郷の日帰り温泉で汗を流した後は近くに宿を探した。
最初はどこかめぼしい場所を見つけてテント泊をしようかと考えていたのだが、十津川温泉までのバスの車内で、十津川温泉一帯は条例でテント泊が禁止されていると聞かされたため、近くの民宿で素泊まりさせてもらうことにした。
部屋のテレビでは楽天が巨人を破って優勝していた。
3日目:十津川温泉を出発し熊野本宮大社へ
最終日は果無峠を超えてゴールの熊野本宮大社へ。
朝から厳しい峠を登り、下り始めたところで片方の膝に違和感が生じた。
違和感は徐々に痛みに変わり、果無峠を下りきる前に激痛へと変わっていた。恐らく3日間の疲労が膝に蓄積していたのだろう。
平地を歩いているぶんには痛みもそれほど感じることはないが、階段のような段差を下りる際に膝に激痛が走る。
トレッキングポールを使って足に衝撃が加わらないように歩いていたが、あまり効果は感じられなかった。
足の痛みに耐えながらようやくゴール。
所々ズルはしたけどゴールの瞬間の達成感はかなりのものがあった。
しばらく境内をウロウロして、最後の難関である長い階段を下りきり、JR新宮駅まで走るバスの時刻をチェックして出発まで身支度を整えた。
本当は大鳥居も見に行きたかったのだが足の具合が良くないため諦めた。
JR新宮駅前の徐福寿司(じょふくずし)で「さんま寿司」を食べる
新宮駅まで移動したものの、ちょうどいい電車が全然なくて、駅前の寿司屋に入って食べた秋刀魚の押し寿司。
値段も手頃で凄く美味かった!
というわけで途中で面倒になって話をだいぶ端折ってしまったが、このような感じで僕の少し遅い夏休みは幕を閉じた。
続きはこちら