北アルプス表銀座縦走2日目。
昨日の夕方まで空に広がっていた大量の雲はいつの間にか消え、雲海の中から太陽が昇ろうとしています。
大天荘のテント場でご来光
ご来光の時間は朝5時くらいなので、その前にテントを撤収してすぐに出発できるように準備を整えました。
雲海の先に新しい1日の始まりを告げる太陽が昇ってきました。
綺麗に雲海が出ていたので、カメラのインターバル撮影機能を使ってご来光の場面を撮影しました。
朝日に照らされる槍ヶ岳。
最高の朝の時間を堪能したあとは荷物を背負って出発です。
いざ槍の穂先へ!
2日目はいよいよ縦走の核心部「東鎌尾根」を歩いて槍の穂先に向かいます。
3年前の秋に歩いた時は2日目の槍ヶ岳到着までガスで殆ど景色が見えませんでしたが、今回は朝から天気が良いので期待できそうです。
まずは大天荘のテント場から今シーズン休業中の大天井ヒュッテに向かいます。
出発直後から素晴らしい景色が目の前に広がります。
これが快晴の表銀座縦走か…。
しばらく歩くと大天井ヒュッテに到着します。
今期は新型コロナウイルスの影響で営業を中止しているようです。
ここから少し歩くとビックリ平という稜線に出ます。
ビックリ平からの展望
3年前の秋に同じコースを歩いた時は周囲がガスっていて何も見えなかったので、この素晴らしい景色は今回が初見になります。
鷲羽岳や水晶岳など裏銀座の稜線がよく見えます。
まだ出発して間もない時間ですが、すでにテンションマックスです。
ビックリ平から少し歩くと槍ヶ岳から穂高に続く稜線もよく見えます。
そしてこれから歩く東鎌尾根の険しい尾根も・・・。
ヒュッテ西岳で休憩
ここから稜線に出たり常念側を巻いたりを繰り返し、しばらく歩いていくとヒュッテ西岳が見えてきます。
ここで補充用のポカリスエットとミニコーラを2本購入しました。
西岳は今回もスルーしてしまいました。
いつか展望抜群のヒュッテ西岳のテント場で1泊する機会があったら登りたいと思います。
ベンチに座ってコーラを飲みながら常念岳をぼーっと眺めます。
水俣乗越へ下山下る
しばらく休憩した後に出発します。
ヒュッテ西岳から水俣乗越までは「あれ、もしかして下山している?」と錯覚してしまうくらい延々と下っていきます。
連続する長いハシゴや、その先にザレた斜面があったりして緊張感が高まります。
下山感覚でどんどん下っていきますが、今日の目的地は槍ヶ岳山頂なので、どんどん下るということは、そのぶんまた登り返すということでもあり…。
先のことを考えすぎても気が滅入るだけなので、とりあえずは整備された登山道に身を任せて黙々と歩いていきます。
…というわけで下って下って下りまくったところで水俣乗越に到着です。
ここから東鎌尾根の登り返しが始まるので、水俣乗越で行動食を食べて少し休憩します。
いざ東鎌尾根へ!
水俣乗越で休憩した後は槍ヶ岳山頂に向けて出発です。
ここまで盛大に下ってきたぶんだけ登り返すという、あまり想像したくない現実が次々と目前に現れるのが東鎌尾根の醍醐味です。
こんな天気ですから存分に味わってあげようではありませんか。
登り一辺倒かと思いきやハシゴで思いっきり下ったり…。
そしてまた登り…。
裏銀座の謳歌的なルートとは異なり表銀座はなかなかハードです。
晴れていると景色が楽しめる反面、日差しが強く汗で水分がどんどん失われていきます。以前歩いた時よりも辛く感じたのは、当時は景色が何も見えなくて歩くことに集中できていたからかもしれません。
ヒュッテ大槍はまだか…とゾンビのように歩いていたら槍ヶ岳の近くをヘリコプターがホバリングしていました。
荷揚げの減りではなかったので滑落か何かでしょうか…。
手持ちの水があと一口…というところまで減ってしまい、いよいよヤバいぞと思ったところでヒュッテ大槍に到着しました。
ヒュッテ大槍で至福の時
ヒュッテ西岳とヒュッテ大槍は表銀座縦走時のオアシスです。
どちらの山小屋も絶妙な場所にあって本当に助かります。
とりあえずコーラ。
そして塩ラーメン。
3年前に訪れた時は醤油ラーメンでしたが、どちらも太麺でスープも美味しく、体に染みわたります。
ここに辿り着いた際の体調のせいもあるとは思いますが、ヒュッテ大槍のラーメンは僕がこれまで食べてきた山小屋のラーメンの中でも屈指の美味さです。
槍ヶ岳山荘で予定していたテント泊を殺生ヒュッテで
休憩後は槍ヶ岳山荘へ…と思っていたのですが、ヒュッテ大槍のスタッフの方が「槍ヶ岳山荘のテント場はこれから行って張るのは厳しいのでは?」と他の登山者と話していました。
無理して槍ヶ岳山荘まで行ってテント場が一杯で殺生ヒュッテまで下るのであれば最初から殺生ヒュッテでいいかも…と思い、ヒュッテ大槍から殺生ヒュッテに直接向かうことにしました。
ヒュッテ大槍から殺生ヒュッテは20分くらい。
体がソファのようにすっぽり収まる大きい岩(人間をダメにするソファの岩版)があったので、テント設営後はそこに座ってコーラを飲みながらぼーっと槍ヶ岳を眺めていました。
重い腰をあげて槍ヶ岳山頂へ!
ヒュッテ大槍のコーラとラーメンで満たされて、殺生ヒュッテの居心地の良いテント場でくつろいでいたら槍ヶ岳山頂への思いがどんどん薄れていき、もうこのまま翌日下山でもいいのでは?という思いが高まってきます…。
しかし表銀座縦走のゴールはあの穂先に立ってこそ!と自らを奮い立たせてテント場を出発します。
テント場に不要なものをすべて置いてきたので懸念していた槍ヶ岳山荘までの登りは余裕でした。
いざ槍の穂先へ
槍ヶ岳山荘に到着した段階で空は雲に包まれていましたが、ここまできておめおめとテント場に帰るわけにはいきません。
山頂で粘っていれば晴れ間が出るかもしれません。
…というわけで槍ヶ岳の山頂に向けて出発します。
広角レンズで撮るとご覧のように垂直の壁のように見えますが、それほど難しい登りではありません。
槍ヶ岳に登頂!
ホイホイと岩とハシゴを登って山頂に到着しました。
…が周囲は雲に包まれて何も見えません。
しばらく粘っていると西鎌尾根方面が少し見えてきましたが、これ以上の天気の改善は望めそうにありませんでした。
見事な天気が続いていた今回の表銀座縦走でしたが、最後の最後で残念な天気に終わりました。
もう少し早く来ていれば違った景色が見えたかもしれませんが時すでに遅しです。
槍ヶ岳山荘まで下りて、テント場に戻ろうとしたところで雨が降ってきて、慌ててレインウェアを着て殺生ヒュッテまで駆け足で戻りました。
テント場に戻ってきたタイミングで雨が止んだので、殺生ヒュッテでビールとお菓子を買ってきて一息入れますが空は一面グレー。
適当なところでテントに入って晩御飯のラーメンを食べて2日目を終えました。
最終日は上高地バスターミナルへ
最終日は上高地バスターミナルに下山します。
夜のうちに雲・ガスが取れて快晴の槍ヶ岳が…と期待していましたが、残念ながらカラッと晴れた空にはなりませんでした。
テントを撤収して出発します。
槍ヶ岳とは反対側の常念岳・蝶ヶ岳方面は快晴でよく見えました。
それとは対照的に槍ヶ岳は完全にガスの中。
殺生ヒュッテから上高地バスターミナルまではコースタイム約7時間の長丁場。
槍沢沿いを延々と下っていくわけですが、天気が良いおかげで歩いていてなかなか楽しい沢沿い歩きになりました。
ババ平に到着。
いつかここにもテント泊してみたいですね。
ババ平から少し下ったところにある槍沢ロッヂで小休止。
さすがにコーラは飽きたのでCCレモンを飲みました。
その後も延々と歩き続け、横尾でトイレ休憩を済ませて…
いつもの場所で、
いつものやつ。
ソフトクリームを食べたら喉が渇いたのでファンタグレープ。
徳沢からは休憩なしで歩きました。
そして河童橋。
下山後は上高地食堂でサーモン丼
上高地バスターミナルに戻ってきたので、バスの時間まで上高地食堂で腹ごしらえ。
なんとなくサッパリしたものが食べたいと思ってサーモン丼を注文。
下界で食べる食事は何を食べても外れなし。
松本駅からあずさに乗って帰宅
3年ぶりの表銀座縦走は最後に残念なオチが待っていましたが、全体を通してみれば最高の2泊3日でした。
以前見れなかった絶景を眺めながら、これぞ夏山!という登山ができたと思います。
翌日は自宅でのんびり過ごして2020年の夏休み7日間が終わりました。
白馬岳で波乱の幕開けをした僕の夏休みでしたが、強引に軌道修正して楽しい思い出を作ることができました。