はらですぎ

山とビールを愛するメタボリックおやじの登山ブログです。

泊まって良かった山のテント場の話

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夏が近づいてきて登山雑誌も夏山に関連した特集が組まれるようになってきました。

岳人だけが「パワースポット三十三山 」という特集を組んで、雑誌ムーの編集長に「パワースポットのパワーは測定可能か?」といった質問をするという尖ったコンテンツを提供していましたが。

そんなわけで僕も山で体験したスピリチュアルな話を・・・と言いたいところですが、そのような体験は今のところないので、これまで利用したテント場について書いてみたいと思います。

泊まって良かった山のテント場の話

山に登る時はたとえ日帰りできる場所だとしても、そこにテント場がある場合はできるだけ1泊するようにしています。というのも山には日の出と日の入りという非常に美しい時間帯があって、日帰り登山ではそれらを見るのが難しいからです。

苦労して登った山なのに、その日のうちに下山してしまうのも何だか勿体ないような気がしますし、現地の登山口まで車で来ている場合は「ビールが飲めない」という致命的な欠点もあります。

そんなわけで僕は時間に余裕がある限りは極力テント泊登山をするようにしています。

今回はこれまでのテント泊登山の経験の中から、良い思い出としてカテゴライズされているテント場を紹介していきます。

燕山荘

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僕のそれほど長くない山登りの歴史の中で、もっとも思い出深いテント場は燕山荘のテント場です。ここを利用したことのある方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。

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北アルプスデビューを飾った燕岳登山の際に宿泊したのが燕山荘のテント場で、ライチョウの親子がテント場まで遊びに来てくれるという嬉しいサプライズがありました。

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一昨年には雨上がりのドラマチックな光景を目にすることができ、大勢の登山者たちの表情が天気とともに晴れやかになっていったことを今でも思い出します。

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周囲の眺めは最高ですし、山小屋のスタッフの皆さんの対応も素晴らしく、何度訪れても新しい発見や思い出をもらえる大好きな場所です。

これだけ好きなのに、天気が一筋縄ではないかないのは片思いだからかもしれませんね。(山頂で晴れたことがありません)

燕岳は登山初心者の人を一撃でハマらせる場所としても有効だと思うので、まだ行ったことのない方は天気が良さそうな週末に小屋泊でもいいのでぜひ友達とチャレンジしてみてください。

ちなみにテント場は広いほうではないので、早めの到着をお勧めします。

槍ヶ岳山荘

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「いつかは槍の穂先へ。」登山を始めた人ならこんな風に思う人も多いはず。

僕は登山を始めて3年目に実現しました。

そんな槍ヶ岳直下にある槍ヶ岳山荘のテント場は、一般的な山のテント場とは違って「場所指定システム」になっています。槍ヶ岳山荘の窓口でテント場の申し込みをすると「ではここに張ってください」とテントを設営する場所を指定されます。

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上の写真は僕が裏銀座を縦走した時に撮影したもので、右下の黄色いテントが僕の寝床でした。このようにあらかじめ設定された設営場所が幾つもあり、テントの大きさなどによって小屋のスタッフの方が判断して場所を指定してくれるのです。

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なかにはこのような「岩が倒れてきたら死ぬかも・・・いや死ぬでしょ」みたいな設営場所もあって、テント場の範囲こそ狭いものの、なかなかバリエーションに富んでいて面白い場所だと思います。

これまで2回ほどテント泊しましたが、次は上の写真のようなエクストリーム感高めの場所にテントを張りたいなと思います。(スタッフさんに要望が通ればですが)

槍ヶ岳山荘のテント場も場所に限りがあり、あまりに遅い到着だと場所がなくなってしまい「殺生ヒュッテに行ってください」と言われる場合があるようなので気を付けましょう。

涸沢

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上高地からの所要時間はそれなりにかかる(5~6時間くらい)ものの、それほど大変な登りもなく、割と簡単に来れてしまうのが涸沢です。

秋の紅葉シーズンになると恐ろしいほどのテントが張られ、昼にはテント場の受付と売店に行列ができ、朝にはトイレの前に行列が発生します。

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普段は人の少ないひっそりとしたテント場で静かな時間を過ごすのが好きなんですが、涸沢は大勢の登山者で賑わっている方が雰囲気があっていいんですよね。無数に張られたテントもカラフルで綺麗だし。

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涸沢ヒュッテは名物の「おでんセット」が大人気。

ビールと一緒に注文して景色を楽しみながら食べる食事は格別です。

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涸沢小屋側のテラスも気持ちが良いです。

山小屋で軽く飲み食いした後は、テントに戻ってその辺の適当な岩を椅子替わりにして、景色を楽しみながらビールを飲むのが僕の定番スタイルです。

ここでのんびり過ごしていると日々のストレスや嫌なことがスーッと消えていきます。(気を付けないと小屋で散財してしまいお金も消えていきます)

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夜になれば満天の星空を楽しむことができますし、テント場もご覧の通り色とりどりでとても綺麗です。

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朝には山の朝焼け「モルゲンロート」が楽しめます。

涸沢にはこれまで4回のテント泊と奥穂高岳からの下山で訪れましたが、何回来ても飽きの来ない素晴らしい場所です。(横尾あたりから上高地までは何度も歩きすぎて飽きてしまいましたが。)

登山初心者の方の日帰り登山からのステップアップの場所としても良いのではないでしょうか。

三俣山荘

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1日で訪れるのが難しい北アルプス奥地の山小屋のひとつで、黒部の山賊の著者である伊藤正一さんがオーナーだった山小屋です。ここは裏銀座縦走の際にテント泊しました。

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2階の窓はまるで額縁に入った絵画のようで、ここのカウンターで絶景を眺めながら飲むコーヒーはきっと格別だろうなあと思います。僕は食事のオーダーが終わったあとに訪れたので、売店で買ったカップラーメンをここで食べました。

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小屋の外に出るとより広がりのある景色が楽しめます。

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僕が訪れた日の夕方は、巨大な積乱雲が槍ヶ岳に襲い掛かろうとしていました。夕日に照らされてオレンジに色づいた巨大な雲はとても不気味で、槍ヶ岳山荘に滞在している人たちのことが少し心配になりました。

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望遠レンズで奥行きを圧縮すると恐ろしさが増します。

この後、槍ヶ岳は大きな雲に包まれ、時折雲の切れ間から雷が光り続けていました。北アルプスの同じ山域でも少し離れた場所にいるだけでこうも天気が違うものなのかと驚きました。

暗くなってきたところで、槍ヶ岳山荘宿泊時にあんな雲が来ないといいけどなあと思いながらテント場に戻りました。

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三俣山荘のテント場は小屋の裏手から三俣蓮華岳方面へ縦長に広がっていて、脇には小川が流れています。燕山荘や槍ヶ岳山荘のような高所から絶景を見下ろすタイプのテント場ではなく、周囲の広大な風景を楽しむことができるテント場ではないかと思います。

場所的に気軽に行ける場所ではないのですが、とても素敵なテント場なのでいつかまた裏銀座を縦走してここでのんびりビールを飲みたいです。

黒部五郎小舎

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黒部五郎岳は山頂に向かう途中にあるカールがとても美しく、雑誌に掲載されているのを見てからずっと行きたいと思っていた場所でした。

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裏銀座縦走を計画していた時に途中で寄り道できることを知り、迷わずルートに加えました。そして三俣山荘にテント泊した翌日に黒部五郎に登りました。

黒部五郎岳のカールは本当に綺麗で、裏銀座縦走のコースから外れて寄り道した甲斐がありました。

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黒部五郎小舎に戻ってきて、その日のうちに裏切座縦走のルートに戻るかを休憩しながら考えました。頑張れば双六小屋まで行けそうでしたが、登山3日目(当時は1泊2日しか経験していませんでした)で、これまで蓄積した疲労もあり無理をしてもなあと考えて、ここで1泊することに決めました。

濃い緑、濃い青、赤茶色の山小屋、夏の山旅っぽさを存分に味わえる場所でした。

唐松岳頂上山荘

ちょっと頑張れば日帰りできてしまう山でもテント場がある場合はテント泊した方が良い場所もあります。

例えば唐松岳頂上山荘。

唐松岳は日帰りでも登れますが、ロケーションが素晴らしいのでテント泊をおすすめします。

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唐松岳頂上山荘から五竜岳方面に少し歩いたところに、日の入りが見える撮影スポットがあります。写真のように沈みゆく太陽と唐松岳を一緒に撮影することもできます。

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朝は唐松岳頂上山荘の裏手にある小高い丘に行くとご来光を拝むことができます。

ただ、テント場には少し難がありまして、幕営地が切り立った斜面にあるため、到着した人から小屋に近いところにテントを張っていきます。

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したがって到着が遅れると山小屋から下ったところにテントを張ることになり、小屋に用事がある時の往復距離が増えてしまいます。

上の写真の下の方に張られているテントを見てもらうと分かる通り、小屋に行くためには結構な距離を登らなくてはなりません。

ちなみにトイレは唐松岳頂上山荘の小屋の中です。

あまり下の方にテントを張ってしまうとトイレに行きたいと思っても、小屋にたどり着く前にタイムオーバー・・・という可能性も出てきますので注意が必要です。

奥多摩小屋

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奥多摩小屋のテント場は僕が登山を始めて最初にテント泊した思い出の場所です。

登山初心者が晩秋の雲取山にテント泊装備で登るのは、今思えばどうかと思いますが、事前に本やネットなどで色々と調べてきたこともあって、無事にテントで1泊することができました。

晩秋の奥多摩小屋のテント場は、夜から朝にかけての冷え込みが想像以上で、持っていった衣類をすべて着こんでやっと外に出れるくらいの寒さでした。

色々ありましたが、山で一晩をすごしたことで日帰りでは見ることのできない時間帯の景色を堪能することができ、ますます登山が好きになった1日でした。

www.haradesugi.com

残念ながら平成31年3月末で奥多摩小屋およびテント場が閉鎖になってしまいます。夏場は北アルプス方面にばかり出動してしまい、なかなか足が向かない奥多摩方面ですが閉鎖までに1度は訪れたいと考えています。

こんな素敵な場所が来年の3月末以降使えなくなってしまうなんて残念でなりません。

おわりに

今回はこれまでのテント泊登山の中でも特に良かったなと思うテント場について書きました。メジャーどころばかりになってしまって恐縮ではありますが、今後も登山を続けていくことで紹介できるテント場の幅がもう少し広がるのではないかと思います。

皆さんのおすすめのテント場、行ってみたいテント場などがありましたらコメント欄やブックマークコメントなどで教えてください。

これからテント泊をしてみたいという方は「テント泊デビューを考えている初心者にオススメのテント場」を参考にしてみてください。

 

最後に今回紹介したテント場が少しだけ登場する、以前作ったタイムラプス動画を掲載して終わりにしたいと思います。