はらですぎ

山とビールを愛するメタボリックおやじの登山ブログです。

北アルプス裏銀座途中下山の旅 後編「三俣山荘で名物のジビエシチューを食べました」

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前編はこちら。

www.haradesugi.com

午前3時。

烏帽子小屋テント場を4時に出発しようと考えていた僕は、午前3時に起床して出発の準備を進めました。

2日目は烏帽子小屋から野口五郎小屋まで移動して休憩、そこからルート上にある野口五郎岳の山頂を通過し、水晶小屋まで移動してバックパックをデポして水晶岳山頂へ、その後荷物を回収して鷲羽岳に登って、三俣山荘まで下りていきテントを張るという計画です。

昨晩は断続的に雨が降り、テントのフライシートの表面は雨で、裏面は結露でびっしょり濡れていしまっていました。これを乾かす時間はないので、濡れた状態のまま畳んで袋に入れて、さらにビニール袋の中に放り込みました。

午前4時に烏帽子小屋のテント場を出発します。

烏帽子小屋テント場から野口五郎岳へ

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まずは三ッ岳に向かって標高を上げていきます。木々に囲まれた烏帽子小屋テント場を抜けるとすぐに景色が開けてきます。

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前日雨が降っていたこともあり眼下には雲海が広がっています。このままご来光を拝むことができれば最高ですが、太陽の出てくるあたりも厚い雲が出ていてちょっと厳しそうです。

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そしてあれよあれよという間に周囲はガスの中・・・。

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時折ガスの切れ間から景色が見えることもありますが、それも束の間。ガスの中は霧雨と小雨の中間くらいの状態でレインウエアを着るほどではないなと思っていましたが、野口五郎小屋に到着してバックパックを下ろしたら結構濡れていました。

朝食用に持ってきた無印良品のバナナバウムと、小屋で買ったペプシコーラでしばし休憩。バックパックにレインカバーを取り付けて野口五郎岳に向かいます。

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野口五郎岳の野口五郎はあの野口五郎のことで、野口五郎が野口五郎岳から名前をとったと言われています。そんな野口五郎岳の山頂に到着しますが周囲の展望はゼロ。

写真だけ撮影して先を急ぎます。

野口五郎岳から水晶小屋へ

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野口五郎岳からしばらくの間はとても歩きやすいトレイルで、晴れていれば絶景を楽しみながら最高の山歩きになったはずなんですが・・・。

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少しずつ下って東沢乗越まで移動し、そこから水晶小屋に向けて登り返します。

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うっすらと水晶小屋が見えてきました。

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水晶小屋では三ツ矢サイダーを買って小休止。

出発前にトイレを使わせてもらいましたが綺麗で驚きました。あとで調べてみたところ、どうやら水晶小屋は2017年に助成金を受けてバイオトイレを増築したようです。

kumonodaira.net

増築された建物はまだ木の匂いがしてきそうなくらい綺麗で、トイレは洋式でトイレットペーパーをそのまま流すことができる仕組みになっていました。(一般的な山のトイレは処理上の問題で使用した紙はトイレ内のごみ箱に入れます)

八ヶ岳の硫黄岳山荘のトイレ以来の感動です。

トイレを済ませたあとは三俣山荘に向けて出発します。3年前は疲労のため水晶岳はパスしましたが、今回は天候を理由にパスすることになるとは・・・。

鷲羽岳登頂も諦めて黒部源流を経由して三俣山荘へ

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どこを見てもガスガスガス・・・ということで鷲羽岳に登ってもあの日見た光景を見ることは出来ないだろうと思って、まだ歩いたことのないルートをチョイスしました。

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ワリモ北分岐、岩苔乗越を経由して三俣山荘へ向かいます。

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この辺りは水が豊富で沢の周囲には高山植物が元気に育っていました。

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そして空を覆っていた雲が少しずつ晴れて青空が見えてきました。

もしかしたら!?という気持ちが少しずつ高まってきます。

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沢沿いを下れば下るほど、周囲からの支流が合流して水の量と勢いが増していきます。登山道にも水が流れていて足元は滑りやすくなっています。(1回尻もちをつきました)

三俣山荘のサイトを見ると、ワリモ岳直下の斜面から湧き出ている水が黒部川の最初の一滴という情報が掲載されていましたが、それがどこだったのかは確認することはできませんでした。

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沢を下りきったあたりに黒部川水源地標がありました。

岩苔乗越からここまでのコースタイムは30分ですが、僕はなぜか1時間かかってしまいました。

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そして長い下りが終わったかと思えば次は登りです。

三俣山荘に向けて登り返さなければなりません。

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ガスで見えなかった鷲羽岳の山頂が見えてきました。こんなことなら鷲羽岳に登ればよかった・・・と後悔しますが時すでに遅し。

残った力を振り絞って三俣山荘に向けて登り続けます。

三俣山荘に到着!

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三俣山荘に到着しました。

今回の旅はここにテント泊するために来たと言っても過言ではありません。

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今日はもう歩かなくていい。

荷物をおろして小屋の前でビールを飲みたい気分でしたが、まずはテント場の場所を確保しなければなりません。

受付でテント泊の申し込みをしてテント場に移動します。

三俣山荘のテント場

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三俣山荘のテント場は山荘からハイマツの道を少し歩いたところにあります。一番近い場所で徒歩1~2分程度で、三俣蓮華岳方面に向かうにつれて少しずつ斜度が出てきます。

画像:三俣山荘より引用

僕は上の画像のAの区域に空きがあったので三俣山荘から比較的近い場所にスペースを確保することができました。

ちなみにトイレは三俣山荘の建物の中のトイレを使わなければならないので、あまり遠くにテントを張るとトイレが大変です。ただ、三俣蓮華岳寄りに行けば行くほど眺めはよくなると思います。

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山荘に近い場所でも十分絶景なんですけどね。

鷲羽岳がばっちり見えます。

大きな石があったので、その上に昨晩の雨でびっしょり濡れたフライシートを広げて、表裏裏返しながら両面を乾かしました。

三俣山荘の展望食堂

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テントの設営が終わったので腹ごしらえに三俣山荘の展望食堂に行ってみます。

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展望食堂は三俣山荘の中からも外からもアクセス可能です。

土足で入れるのでテント泊している人は外階段から入ったほうが楽です。

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さっそくラーメンを注文してビールとともに頂きます。

写真がないのは食べ始めてしばらく経ってから撮っていないことに気が付いたからです。食事を撮るためにカメラを持ってきたというのに・・・。

疲れた体にラーメンの塩分が染み渡ります。

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三俣山荘の展望食堂は窓から槍ヶ岳が見える絶景食堂です。

窓から時折入ってくる涼しい風がたまりません。

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食後は外のベンチに出て買い増ししたビールを飲みつつ、ジップロックに入れてきた柿の種をつまみに午後のひと時を満喫します。

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自然に囲まれたなかでのんびりビールを飲みながらすごす時間は最高です。

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ここに来るまで天気が微妙でどうなることかと思いましたが、こうして晴れ間がのぞくなか美味しいビールを飲むことができて良かったです。

携帯電話の電波はまったく入りませんが、たまにはネットの世界と隔絶された場所でのんびりすごすのもいいものです。

三俣山荘の夕飯「ジビエシチュー」をいただく

テント場の申し込みの際に宿泊者用の晩御飯をお願いしました。

三俣山荘の名物は鹿肉を使ったジビエシチューです。先日放送された情熱大陸を見てぜひ食べてみたいと思っていた一品です。

テント泊者は2600円と結構割高ですが、せっかくここまで来たので記念に食べてみることにしました。

先ほど紹介した展望食堂は17時でいったん閉店になり、30分刻みの入替制で夕食を提供する場となります。

展望食堂に入って夕食代支払時に受け取っていた食券を渡すと席に案内されました。

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夕食の内容は鹿肉を使ったジビエシチューにキャベツの千切り、ポテトサラダ、フルーツの乗った小皿です。ご飯とお茶はおかわり自由でした。

夕食は着席の段階で配膳されており、すぐに食べることができます。

さっそく目当てのジビエシチューをいただきます。

ジビエシチューは鹿肉・人参・トマト・玉ねぎなどがじっくり煮込まれており、具はどれも柔らかく味がしっかり染み込んでいて美味しかったです。

普段は牛・豚・鳥を食べていれば満足で、他の肉にはあまり興味がありませんでしたが、今回食べた鹿肉のジビエシチューは柔らかく鹿肉独特のくさみみたいなものも感じられず美味しく食べることができました。

就寝

食後に三俣山荘の受付前の黒板に書かれていた翌日の天気予報を見てみると、曇りのち雨でした。いずれにしても最終日は早めに出発して下山しなければならないので、テントに戻って眠ることにしました。

夜の展望食堂も気になりましたが、それはまた次の機会に。

最終日の天気は・・・

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最終日。

3時起きの4時発です。

テントを撤収して三俣蓮華岳方面に登っていきます。この日は前日以上にガスがひどく、ヘッドライトを点けていても1,2メートル先までしか見えません。

三俣蓮華岳と双六小屋への巻道の分岐点にさしかかりますが、山頂まで登ってもガスの上に出られるような状態ではないなと判断し、山頂は諦めて双六小屋方面に向かうことにしました。

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双六小屋へと続く巻道はとても歩きやすかったです。

まだまだ早い時間でしたが、双六小屋から来られたと思われる登山者と大勢すれ違いました。

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双六岳山頂と双六小屋の分岐に到着しました。

ここまできて天候が改善していたら双六岳だけでも登れればと思っていましたが、こんな調子なので双六岳登頂も断念しました。

ここでトイプードルをつれて歩いてくる登山者とすれ違いました。ここまで出会った誰よりも軽やかな足取りでした。

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分岐から双六小屋はあっという間です。

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天候はいまいちでしたが、お盆の時期ということもあって大勢の登山者で賑わっていました。小屋に到着したところでトイレを済ませてコーラを買って無印良品のバナナバウムを食べます。

双六小屋から新穂高温泉に向けて下山

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休憩&朝食後は新穂高温泉に向かって下山します。

双六小屋のテント場を通って先へ進みます。ここから一気に下っていくのかと思いきや、双六小屋からはしばらく登るんですね・・・。

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鏡平山荘が見えてきました。

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鏡平山荘で小休止。

天気が良ければここから見える槍ヶ岳も素晴らしいとのことですが、あいにくの空模で何も見えません。池に映る槍ヶ岳も見たかったんですけどね。

水分補給と飲料の補充をして先に進みます。

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鏡平山荘からは休憩なしで歩いて歩いて歩き続けます。

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そして林道に出て少し歩くと・・・

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わさび平小屋に到着しました。

このあたりまでくると飲料などの料金が一段階安くなります。(平地よりも少しだけ割高な価格設定です)

さっそくコーラを買ってエネルギーをチャージします。

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野菜、フルーツなど美味しそうな食べ物がプカプカと浮いていましたが、コーラを飲み干して復活したので、この辺の食べ物はまたの機会に。

休憩している登山者の中には「もう下山したも同然」とばかりにビールを飲みながら談笑している人たちもいました。

僕はビールは風呂に入ってからにしたかったので、飲みたい気持ちをぐっとこらえて先へ進みました。

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新穂高ロープウェイが見えてきました。

ゴールです。

下山後は中崎山荘 奥飛騨の湯でまったり

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そのまま少し歩いて中崎山荘 奥飛騨の湯に移動します。

新穂高に下山してきた時はいつもこの温泉に入ります。

到着時点では結構混みあっていましたが、温泉に入って出てきたら荷物は結構減っていました。

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風呂に入った後はそんなに美味しくないラーメンと美味しいビールをいただきました。

食後はバスの時間までだいぶ時間があったので、隣の休憩室で延々とリピート再生されていた槍ヶ岳の映像をぼーっと眺めながらストレッチしたり横になったりビールを飲んだりしていました。

安定の中央自動車道

バスの出発時間が近づいてきたところで中崎山荘を出てすぐそばのバスが停車している駐車場に移動します。

15時前に新穂高温泉を出発したバスは順調に渋滞にハマり、新宿駅に到着したのは22時過ぎでした。三俣山荘から新穂高温泉まで歩いた時間と、新穂高温泉から新宿駅まで座っていた時間は同じくらい。

ケツが痛くなりました。

 

・・・というわけで裏銀座途中下山の旅でした。

道中の天気が不安定で周辺の景色を楽しむことができませんでしたが、三俣山荘ですごした時間の満足度がかなり高かったことで、総合的な点数は次第点となりました。