4月28日から29日にかけて、残雪期の燕岳にソロでテント泊してきた。
燕岳への登山口である中房温泉は、5月中旬くらいまで道路工事の影響で19時〜5時30分まで道路が通行止めになっているらしい。27日に仕事を終えたあとに家を出発し、中房温泉の駐車場で前泊しようと思っていた僕は急遽予定を変更し、28日の3時過ぎに自宅を出発した。
まだ日も昇らない時間帯の長距離ドライブは集中力を欠いてしまいがち。僕は普段から運転する際にガムをよく食べるのだが、最近のガムは食べ過ぎると腹がゆるくなってしまうキシリトール配合のものが多い。
この日僕の車にあったガムはまさにそのタイプのガムで、先日の登山でも帰りの運転でお腹がやられて危ない目に遭ったのだが、まあ大丈夫だろうと思いつつ結構食べてしまった。
中房温泉を出発
中房温泉の駐車場に到着したのが7時すぎくらい。
身支度をして準備運動をして8時少し前に中房温泉の登山口を出発。登山届けは今回インターネット上から事前提出してみた。
序盤は所々に雪がある程度で、アイゼンの必要はまったくなかった。ただ雪解け水が絶えず登山道を濡らしているようで、ぬかるんでいる所が結構見受けられた。
空はまあまあの天気。ちょっと雲が多かったかな。
開戦
第二ベンチを過ぎたあたりから徐々に雪が増えてきた。この感じだと第三ベンチの休憩でアイゼンを装着だなと考えていたら僕の体に異変が出始めた。
この腹にガスが溜まる感じ・・・もしかして昨夜食べまくったキシリトールガムの影響!?まだまだ大丈夫な感じではあったものの、トイレのある合戦小屋まで先は長い。
第三ベンチでアイゼンを装着し合戦小屋へ急ぐが、下腹部にはガスが充満し、頻繁に空砲が放たれていた。繰り返し放たれる空砲は実弾へのカウントダウンであることを僕は知っている。
合戦小屋まではまだまだ先だが僕の合戦はすでに始まっていた。
もし小屋にたどり着く前に発射準備が整ってしまった場合、どのように対処すればいいのか・・・登山者や下山者に見つからない死角は登山道にあるのか・・・そんなことを考えながら先を急いだ。
終戦
先の見えないカウントダウンに悩まされながら、息絶え絶えで合戦小屋にたどり着いた。それは僕の体内で繰り広げられていた合戦に勝利した瞬間だった。
がっつり我慢していて家の玄関にたどり着いた瞬間に導火線が異様に短くなる現象がたまにあるが、今回は到着した段階でもまあまあ余裕があった。
これまでの気苦労を先客たちに見破られないようにさりげなくトイレに向かい、僕の合戦は静かに幕を閉じた。
いざ燕山荘へ!
しばし休憩した後に燕山荘に向けて出発した。
僕のスッキリした腹とは裏腹に空はどんよりしていた。
合戦小屋から先は雪の斜面をひたすら登っていく。この辺りが結構辛い。途中途中足を止めて景色を眺めたり水を飲んだりしながら少しずつ足を進めた。
ようやく燕山荘にたどり着いた。
夏山の時期はここから右に登って山荘の正面に到着するが、雪が残るこの時期は写真中央すこし左の階段を使って山荘裏手に登るため、正面玄関まですこし遠回りするようなルートとなっている。
テント設営
受付を済ませてまずはテントを設営。
平日だけあってテント場はガラガラ。結局僕を含めて6〜7張りくらいだったかな。ちなみに右上の黄色いモンベルのステラリッジ2型が僕のテント。
残雪期とはいえ雪の上にテントを張るのは今回が初めて。こういう時期は竹ペグなど残置してもいいような天然素材でテントを固定するらしいのだが、手持ちの道具で何とかなるだろうと適当に考えて来てしまい、設営に結構苦労した。
結局、テント場で拾った竹ペグ1個に、ストック、アイゼン、ピッケル、スコップなどを使ってテントを無事に設営することができた。少々物足りなかった風よけの雪壁も、持ってきたスコップで調整した。
テントを設営した僕は、とりあえず生ビールでエネルギーを充填。
この段階で空は雲に覆われてあまり良い展望ではなかったし、時折ポツリポツリと雨粒が落ちてくることもあって、山頂を目指すかどうか迷った。
明日の早朝に登るのもありかなとも思ったが、登れるうちに登っておこうと考え、最低限の荷物を持って山頂へ向かった。
燕岳山頂へ
昨年と同様に今回も曇り空。
なかなか晴天下で登らせてもらえない。
イルカ岩。
燕岳山頂
燕岳山頂に到着。
平日ということもあり山頂は僕ひとり。
これで晴天だったら最高なんだけど、いまひとつの空模様。しばらくタイムラプスで写真を撮影したり、ぼーっと景色を眺めたりしながら山頂の時間をすごし、駆け足でテント場まで戻った。
晩御飯
テントで晩御飯の準備をしていると雨が降ってきた。
僕はいつもの尾西の白飯と無印良品の何らかのカレーを食べた。これがいちばん手軽でハズレのない食事。色々と具材を持ってきて作りたいと思うときもあるが、荷物が多い時や考えるのが面倒な時はだいたいこのパターンである。
就寝
天気も微妙だし飯も食ったしもう寝るか・・・。
食事を済ませた後に寝袋に入るがなかなか寝付くことができない。時刻は19時前、確かに寝るにはまだ早い。
就寝時間が早すぎたということもあるが、いちばん僕を悩ませたのは風だった。夜になると徐々に風が強くなってきて、テントのフライシートがバタバタと音を立て、時々テント全体を軽く揺らしたりしていた。
猛烈な雨風というわけではなかったが、テントのフライシートが風でなびく音や、インナーテントが風で揺れて僕の頭にぶつかってきたりして、ちょっと寝ては起きての繰り返しだった。
耳栓は持ってきて使用していたのだが、音を完全にシャットアウトすることはできないようだった。
このまま満足に眠れないまま朝を迎えるのだろうか・・・そんなことを思いながら何度も時計の時刻を確認した。
午前0時あたりで記憶が途絶えた。
つづく