台風一過で好天を期待していたが、山の天気予報はどこもパッとしない雰囲気。
とりあえず南アルプスの北岳あたりに登ろうかなと思い、テント泊の準備をして眠りについた僕は豪快に寝坊してしまいテント泊登山を断念した。
北アルプス随一のお手軽な山「乗鞍岳」へ
ただせっかくの連休を家でゴロゴロ過ごすのも勿体ないと思い、登山口近くで車内泊して日帰り登山でもしようかと考え、手軽に登れそうな山を検討した。そういえばそのうち行こうと思いつつ、なかなか行く機会のなかった乗鞍岳はどうだろうと頭に浮かんだ僕は登山ルートやアクセスなどを調べてみた。
乗鞍高原観光センターの駐車場で車中泊
乗鞍岳は日帰りで手軽に登れる3千メートル峰だということは知っていたが、調べてみると思っていた以上に簡単でお手軽に登れる山だということがわかった。
天気も悪くなさそうだし、こういう時じゃないと登ることは無いだろうと考えた僕は、日曜日の夜に自宅を出発し、中央道をかっ飛ばした。
乗鞍岳はマイカー規制があるため、自家用車で入れるのは途中まで。
スタート地点の畳平まではバスかタクシーを利用する必要がある。バスは岐阜県側と長野県側のそれぞれから走っており、横浜から向かう僕は長野県側の乗鞍高原観光センターからバスを利用することにした。
23時過ぎに乗鞍高原の観光センター駐車場に到着し、コンビニで買っておいたビールを飲み干して眠りについた。
シャトルバスで登山口まで移動
翌朝の天気は晴れ・・・と呼ぶにはちょっと雲が多め。
乗鞍岳方面に大きな雲が被さっていて、じっと見ていても動く気配は無さそう。でもまあ、ここまで来て帰るわけにもいかないしとりあえず行くだけ行ってみることに。
これから晴れるかもしれないし。
乗鞍岳への道は途中からマイカー規制で乗用車は入ることができないため、観光センターに車を置いたまま、朝6時過ぎのバスに乗り込み畳平まで移動する。
晴れの日限定で3時30分発のご来光バスなんてものもあるらしい。
僕たちは観光センターで往復のバス料金2,500円(高い!)を支払いバスに乗り込んだ。乗鞍岳の畳平へ向けて出発!
バスに乗ったままぐんぐん高度が上がっていくのはなんだか不思議な感覚。
バスで標高2,702mへ
観光センターから1時間ちょっとで畳平に到着した。
ここに来る途中で驚かされたのはバスに乗ったまま森林限界を超えたこと。
通常の登山であれば樹林帯の登山口からスタートして、徐々に木々の背丈が低くなってきて森林限界を超える。ところが乗鞍岳はバスで森林限界を超え、標高2,702mの畳平まで移動できてしまうのだ。
2,700mといえば、ちょっとした山の山頂クラスの標高である。
道ばたに生えている高山植物の女王
さらに驚いたのが到着したバス乗り場の周辺に雑草のようにコマクサが生えていたことである。高山植物の女王と言われているコマクサが、こんな道端になんとなく生えていていいのだろうか。
ありがたみが感じられない・・・。
なんだか普段の登山とは随分と勝手が違うなあと思いながら支度を整えて出発。
畳平裏のお花畑で高度順応
バスで一気に高度を稼いできたため、いきなり登りだすと高山病の症状が出てしまうかもしれないと思い、まずはバス乗り場の裏手にあるお花畑をぐるりと散策してから登ることにした。
肩の小屋まではお散歩感覚
乗鞍岳の肩の小屋までは整地されたなだらかな砂利道を歩いていく。
この小屋までは車が普通に入れるようだった。それほど斜度もなく、近所のコンビニに行く感覚で歩くことができる。
ここまでは登山をしている感覚がまったく無い。
肩の小屋で小休止したのちに山頂を目指して出発した。
晴れたりガスったり空は忙しそうだった。
剣ヶ峰へ
肩の小屋から先に進むとようやく登山らしい雰囲気になってきた。
大小さまざまな石や岩が転がった登山道だが、足を大きく踏み出さなければならない段差などは特になく、比較的歩きやすかった。たぶん普通のスニーカーや厚手のサンダルでも登れてしまうのではないだろうか。
ただ風が強く結構寒い。
乗鞍岳山頂
そして登頂。
こんな楽な登山が今まであっただろうか?
3千メートルの北アルプスの山がこんなに簡単登れるとは。
超楽々登山でこの絶景。
山頂は基本的にガスで展望が無かったが、常に吹いていた強風のおかげで時折ガスの切れ間が発生して見事な景色を楽しむことができた。
混んできたので下山
何度もガスの切れ間を待っているうちに、山頂がみるみる混み合ってきて、記念撮影の行列ができてしまった。
ひとしきり撮影も終わったし、どんどん人が増えてくるし、寒いしそろそろ下山しようということで頂上小屋を経由してサクッと下山した。
下山途中でスキーやスノーボードを楽しむ人たちが。
僕はスノーボードは冬の期間だけで十分かな。
畳平まで戻ると、朝方よりもガスが晴れて景色が綺麗だった。
観光センターまでのバスの列に並び、ふたたび1時間ちょっとかけて、車を停めてある駐車場に戻った。
これまで色々な山に登ってきたが、これほど簡単に登れてかつ絶景を楽しめる山は初めてだった。立山の室堂や木曽駒ヶ岳などもこんな感じなんだろうか。
自分としてはもう少し登りごたえのある山がいいかなと思ったが、山登りにあまり馴染みのない人たちには丁度良い場所かもしれない。
あまりに簡単すぎて勘違いされても困るのだが・・・。
そんなわけで、超イージーな北アルプス「乗鞍岳」登山は無事に終了。
帰りは登山よりも辛くて長い渋滞が待ち受けていた。