前回までのあらすじ。
撤収・出発
朝の4時前くらいに起床し、テントの撤収作業に取り掛かった。
テントのフライシートは表も裏も結露でびっしょり濡れていたが、乾くのを待って出発する時間的余裕もないため、水滴を適当に払って濡れたままの状態で片付けた。
準備を整えて5時に出発した。
この日は烏帽子小屋のテント場を出発し、野口五郎岳・水晶岳・鷲羽岳と3つのピークを踏んだ後に、三俣山荘でテント泊予定。
まずは野口五郎岳へ向けて歩みを進める。
昨日の疲れが結構残っていて体が若干重たく感じるものの、初日のような急登は特にないため、のんびりと歩くことができた。背後には雲海が広がり、その上に徐々に登っていく朝日が光り輝いていた。
朝食を食べずに出発したため、無印良品店のバナナバウムを時々立ち止まっては口に入れた。僕はこのバナナバウムが大好きで、今回2本しか持ってこなかったことを航海した。5本くらい持っていくべきだった。
野口五郎小屋ではペプシコーラを一気に飲み干し、トイレを済ませすぐに出発。
野口五郎岳
8:00 野口五郎岳(2924m)登頂!
野口五郎岳の「野口五郎」はあの野口五郎と関係があってそれについては以下の通り。
芸名は飛騨山脈の野口五郎岳に由来し、名付け親はポリドール・レコードのアシスタントディレクターといわれている。現在では、山の名前が歌手にちなんで付けられたと誤解している人さえいる。なお、黒部五郎岳にちなんだ「黒部五郎」も芸名の候補となっていた。野口五郎とどちらかを選ぶように言われ「山の名前を芸名にするなら高い山のほうがいい」と考えて、黒部五郎岳 (2840m) よりも高い野口五郎岳 (2924m) にちなんだ野口五郎を選んだという。
参考:Wikipedia
ちなみに野口五郎岳の「五郎」とは大きな石が転がっている場所を表す「ゴーロ」の当て字とのこと。また、北の国からの黒坂五郎はネットで調べた限りでは山とは特に関係無さそうだった。
山頂は360度の素晴らしい展望だったが、すでに結構疲れていて写真を撮る気力があまり無かった。ここで休憩せず次の目的地、水晶小屋へ向けて足を進めた。
野口五郎岳を超えたあたりから、徐々に気温が上昇し、照りつける太陽は僕の体力を少しずつ奪っていった。肩に食い込むザックのショルダーベルトが辛い・・・。
水晶小屋が見えてきた。
え・・・まだ結構ある・・・ここを登るのか・・・。思わず声に出してしまう。
水晶小屋
10:40 水晶小屋到着
水晶小屋で三ツ矢サイダーを購入し一気飲み。予定では水晶小屋に荷物をデポして水晶岳に登るはずだったが、ここまでの行程で体力をだいぶ消耗してしまったため、今回はパスすることに。
少し体を休め、鷲羽岳へ向けて出発。
写真の中央の緑とグレーの山肌に残雪が目立つ山が鷲羽岳。写真の中央から左下くらいにアリのように見えるのが人なんだけど分かるかな?
そこから右上のほうにチョロチョロと細い道のように見えるのが登山道で、道の見えなくなっている先あたりに鷲羽岳への分岐がある。
これがその分岐。
鷲羽岳へ登るには、まず手前にあるワリモ岳にいったん登って下って、また登り返す必要がある。
ワリモ岳を下ったところでようやく鷲羽岳山頂への道が現れる。
鷲羽岳
12:50 鷲羽岳(2924m)登頂!
ここも見事な展望で、裏銀座縦走の最終目的地である槍ヶ岳が遠くに見える。
すぐ下には鷲羽池も。
しばし景色を堪能し、体を休めたのち、幕営地である三俣山荘へ向けて下る。
写真中央の赤い屋根が三俣山荘で、そのすぐ右上が三俣山荘のテント場。テント場の少し上の雪渓手前までテントが張れるようになっている。
この鷲羽岳から三俣山荘までの下り道は、急斜面なうえに浮石が結構あってザレているため、注意して歩いていないとズルッと滑って尻餅をついてしまう。
今日のゴールがもう見えているというのに、歩いても歩いてもなかなか近づくことができず、疲労はどんどん蓄積されていく・・・。あと少し、あと少し、と自分に言い聞かせながら慎重に坂を下った。
三俣山荘
13:50 宿泊地である三俣山荘にようやく到着。ビールを飲みたい気持ちをぐっとこらえて、とりあえず小屋でテント泊の申し込みをして、テントの場所確保へ向かった。
三俣山荘のテント場には沢があり、綺麗な水が流れていた。テント場は広々していたが、あまり小屋から離れてしまうとトイレや売店に行くのが面倒だと考え、小屋から比較的近い場所にテントを張った。草木でうまく日陰になるポジションはすでに無く、設営したテント内はすぐにサウナ状態になってしまった。
テント設営後、何か食べようと思い小屋に向かったが、食事の時間が過ぎてしまっていたため、カップラーメンを購入し2階の食堂で食べた。三俣山荘の食堂は窓の外に槍ヶ岳などの山々が見事に見える素晴らしいロケーションで、ここのカウンターでコーヒーを飲みながらぼーっと外を眺めるのも良さそうだなあと思った。
テント場も素晴らしく小屋のロケーションも最高。また来たい山小屋のひとつにリストアップされたのは言うまでもない。
軽く食事をとった僕はテントに戻り、近くの日陰で夕方までぼーっとしていた。
巨大積乱雲
そろそろ夕暮れかなと思い小屋の前に行ってみると、槍ヶ岳方面にものすごく巨大な積乱雲が発生していた。じわじわと巨大化した雲は日が暮れたくらいに雷を発生させていた。
槍ヶ岳や表銀座方面にいる登山者の方々は大丈夫なんだろうか?などと思いながらテントに戻り、寝る準備に取り掛かった。
就寝
初日の疲れが満足に癒えないままスタートした2日目。どうやらドラクエみたいに一晩寝たらステータス全回復なんていう都合の良い展開は期待できなさそうだ。
この日の夜も月は明るくテント場を照らしていて、目が覚めた際に鷲羽岳をバックにテント場と三俣山荘を少し撮影した。
2日連続で晴天が続き、夜もご覧の星空。
「こりゃ明日も晴れだな」
そう思いながらテントに戻り再び眠った。
つづく。