金曜日の夜。
仕事を切り上げて一旦家に帰り、荷物を持って毎日新聞社前へ。
天気予報は微妙ですが、3連休の前日ということもあって、毎日あるぺん号の受付前は大勢の登山者で賑わっていました。
僕が今回向かう先は中房温泉です。
1日目は燕岳を経て大天井だけ直下の大天荘にテント泊して、2日目は常念岳から蝶ヶ岳まで歩いて蝶ヶ岳ヒュッテにテント泊、3日目は上高地に下山というプランを立てました。
ただ週末の天気予報はどこを見ても微妙なので、場合によっては燕山荘のテント場に1泊してそのまま下山というプランBも頭の中にありました。
そんなわけで受付を済ませて案内されたバスの乗り場に向かいますが・・・。
マイクロバス
4号車、5号車、次が僕が乗る6号車か・・・と5号車の先に目を向けると少し離れた所に申し訳なさそうにマイクロバスが停まっていました。
「まさかな・・・」と思い近づいてみると6号車の表記が。
※中型観光バスで運行いたしますが
予約人員により小型・マイクロバスで運行する場合もあります。
どうやら予約人員の最後の帳尻合わせでマイクロバスになってしまったようです。皆さん予約はお早めに。
東京から長野県安曇野市までマイクロバス・・・しかも案内された座席はバスの後輪の真上の座席で座ると足がまったく動かせない狭さでした。
「隣の席も使っていいです」とのことで通路側に移動しましたが、狭さはさほど変わらずリグライニングなど許されない座席間隔で、高速道路に乗るまでの間に赤信号で止まるたびに痺れるような振動が座面から背中に伝わってきました。
こんな環境でしたが割と眠れましたw
2度のサービスエリアでのトイレ休憩を経て4時25分 中房温泉に到着。
到着時間は結構早めでした。
燕岳へ向けて出発!
そんなわけで支度を整えて出発します。
この日は日中は曇りで夕方くらいから雨が降る予報。
出発の段階では大天荘のテント場まで行くつもりでいたので、少しでも早く登って雨に降られる前に目的地まで!という気持ちで登りました。
空も時々晴れ間が見えたりして「もしかして!?」という期待が高まります。
しばらく登っていくと花崗岩の岩が目立つようになってきます。
この辺りまで来ると燕岳に登っているなあという気分になってきます。
合戦小屋で休憩
そして合戦小屋に到着。
ここで初めての休憩をとります。
コーラを購入し、前日購入して持ってきたパンを食べます。
今回は雨が降るかもしれないと思い、トレイルランニング用のシューズではなくミッドカットのトレッキングシューズを履いてきました。
記事で紹介したシューズの色違いを少し前に買い増ししました。
休憩中にも僅かな青空が。
合戦小屋を出て稜線上に出ても、なんとなーく青空が見えそうで見えない・・・みたいな状況が続きました。
必要性をあまり感じない鎖場を超えると・・・。
燕山荘が見えてきました。
あとひと息です。
ガスの切れ間から燕岳が見えました。
燕山荘到着!そして・・・
燕山荘に到着しました。
時刻は午前9時前。
当初はここにバックパックをデポして燕岳に登り、戻ってきて荷物を回収して大天荘へ向かうという予定でしたが、ここまでの道中ですっかり疲れてしまったので予定を変更して燕山荘テント場にテントを張ることにしました。
燕岳に登ってそのまま下山しても十分余裕のある時間帯でしたが、日帰り登山という選択肢は僕にはありませんでした。
その理由は後述。
ご覧の通りテント場はまだ残雪があり、土の上にテントを張ることができるスペースは限られています。
ただ到着が早かったこともあり問題なくテントを張ることができました。
テントを設営して一息。
燕岳はいつ見ても美しいですね。
畦地梅太郎「山男の像」
登山での写真にボケは必要なのか?ということでSEL85F18を持ってきました。結果は・・・あればいいけど無くても別に・・・という想像通りの結果になりました^^;
コマクサはすでに後半戦。
燕岳方面はあまり元気はなく、燕山荘脇の群生地が見頃を迎えていました。
燕岳山頂へ
燕岳は登るよりも山容を見ている方が好きなので、ピークハントにはあまり興味が無いのですが、時間もたっぷりあるしせっかく来たので登ってみることにしました。
ライチョウ現る!
歩き始めてすぐのところで突然雌のライチョウが現れました。
ライチョウは人を怖がらないと言いますが、このライチョウはかなり奔放な性格なのか、登山道を堂々と歩きだしたかと思えば・・・。
砂浴びを始めたりとマイペース。
ちょうど登山道が狭くなっているところをウロウロし始めたので、登山者が通れなくなってしまい渋滞が発生しました。
こんなに笑顔の集まった渋滞はこれまで見たことがありません。
ライチョウが登山道から岩場に登っていったところで先へ進みます。
もう真っ白です。
でもこれはこれで雰囲気ありますね。
燕山荘方面を振り返ります。
眼鏡岩と燕山荘。
稜線の左側がガスで覆われてしまいました。
4回目の燕岳登頂
登頂しました。
燕岳は今回の登頂で4回目ですが、これまで一度も晴れたことがありません。
リベンジはまたの機会になりました。
燕山荘で腹ごしらえ
ピークハントも済ませたし次は腹ごしらえです。
適当に撮影しつつ燕山荘へ急ぎます。
手持ちの食材もありますが、ここ数年は山小屋での食事メニューを積極的に食べる派です。
山菜うどんと焼きおにぎりのセットに生ビール中ジョッキ!
最高です。
ライチョウ再び
食後に外に出て「まだライチョウいるかな?」とさっきの出没場所まで行ってみると・・・いました!
遠くを眺めるライチョウ。
この時期の雌は雛を連れて歩いているはずですが、体がちょっと小さめなので昨年生まれて初めて冬を越した個体なのかもしれません。
燕岳をバックに撮れる場所に来てくれたのでパシャリ。
あまりにも無防備でちょっと心配になる個体でしたが元気に逞しく育って欲しいです。
燕山荘のテント場と僕の新テント「ZERO1 MF」
15時を回ると燕山荘の狭いテント場は雪の上にも設営されて一杯になりました。
そうそう、僕が今回テント泊に拘っていたのは新しく購入したシングルウォールのテントを試してみたかったからです。
ZEROGRAMのZERO1 MFというトレッキングポール2本を使って設営する非自立型のシングルウォールテントです。490gという凄まじい軽さに思わずポチってしまいました。
このテントは出入口が2ヵ所あって、写真手前のポールを立てた前室部分と、反対側の側面から出入りできるようになっています。
オフィシャルサイトの写真を見て分かる通り、メインの出入り口はポールを立てた前室部分ではなくサイドからであることが分かると思います。
しかし・・・。
出入口が塞がれてしまいました・・・。
ここに設営した僕が悪いのですが。
サイドを塞がれたせいで狭い前室部分から出入りしなければいけなくなり、設営から撤収までの間に3回ほど倒壊させました^^;
あとテントがだるんだるんなのは設営に必要な長辺を確保できなかったからです。
中はこんな感じ。
普通に座れるのはポールを立てた前室付近のみで、それ以外の部分は寝るためだけのスペースになります。軽くて設営も簡単ですが、場所を結構選ぶのと居住性がイマイチなので荷物を極限まで削りたい時に・・・という感じですね。
山っていいよね
その後も天候はよくなることはありませんでした。
中房温泉側から燕岳までの道は完全にガスに覆われてしまっていたので、多くの登山者の方々は登ってくるまで燕岳や北アルプスの山々が見えるなんて思っていなかったようです。
決して天気が良いわけではありませんでしたが、最後の階段を登り終えた先に見える展望を目にして感動している方たちが大勢いました。
中には感動して涙している方もいて、さすがにぐっときました。
みんなが笑顔になれる場所って素晴らしいですよね。
晩御飯と就寝後の雨
夕方になると天気予報通りにパラパラと雨が降ってきました。
テントに戻り尾西の白米に無印良品のごろり牛肉のスパイシーカレーを食べました。あまり食欲がなかったのですが帰りの荷物を減らすためと割り切って食べました。
その後も雨足は弱まることなく降り続けていたので寝ることにしました。
テントの外では雨が降り、テントの中でも雨が降る
雨の日はテントが結露しやすいと言われているなか、あえてシングルウォールのテントを持ってきた理由は、雨の日の結露がどんなものかを体験したかったからです。あとは購入したテントがどのくらい結露するのかを試したかったから・・・。
結論から言うと「テントの外では雨が降り、テントの中でも雨が降る」でした。
日が暮れてテントの中と外の温度差が出てくると、テント内はみるみる結露していき、時折吹き付ける風にテントが揺らされると、テント内で結露した水滴が顔に降ってきます。
ただ程度は別としてあらかじめ結露することは分かっていたので、沢山持ってきたスーパーのビニール袋に荷物を入れ、シュラフにはエスケープヴィヴィを被せ、濡れ対策は万全でした。
濡れ対策は万全でしたが、想像以上の結露と居住性の悪さ、両サイドのテントからのイビキなど、眠るための環境は決して良いとは言えず、普段からテント泊登山で眠れない僕はますます眠れなくなってしまいました。
あまりにも眠れないので、途中で持ってきたタオル2枚を使ってテント内の結露を拭き取る作業を目が覚めるたびに繰り返していました。
シングルウォールのテントを雨の日に使うことでダブルウォールテントの有難みを実感することができました。
今度は快晴が予想される日に使ってみたいと思います。
下山&帰宅
朝4時。
テントの中を拭いていても埒が明かないので5時出発を目標に撤収作業に取り掛かることにしました。
下山後に中房温泉で温泉に入ってから帰ろうかとも思いましたが、営業開始が9時30分からで、それに合わせて行動開始しようとすると結露しまくるテント内にずっと待機しなければならないため、さっさと帰ることにしました。
無印のバナナバウムを食べて、テント内でパッキングを進めます。
予定通り5時くらいに燕山荘を出発しました。
7時30分。
無事に下山しました。
バスの出発は8時30分なので、バックパックに無造作に放り込んだ荷物を出して再度パッキングし直したり、着替えたりと身支度を整えます。
バスで穂高駅へ
始発のバスは2台。
どちらも程よい人数の乗車でした。
毎日あるぺん号のマイクロバスより足元が格段に快適!
穂高駅から大糸線で松本駅へ
穂高駅で下車し電車で松本駅へ向かいます。
ここまで来ると登山者は希少で一般利用者が大半を締めますね。
松本駅から特急あずさで新宿へ
松本駅で駅弁とビールを購入し家路につきます。
特急あずさの足元も広々快適!
ビール2本で気絶するように眠りにつきました・・・。
新宿で湘南新宿ラインに乗り換えて横浜に向かいました。
色々ありましたが今回も良い経験ができました。
追記:おまけ
YouTubeに今回の動画をアップしたのでご覧ください。