前回までのあらすじ。
裏銀座縦走4日目。
撤収・出発
3時に起床し出発の準備を整える。あまりに早い時間からガサゴソと物音をたてると周りに迷惑かなと思ったが、既に撤収作業を開始している人たちがいたため、気にしないことにした。
諸々の準備を整え4時に出発。今日はいよいよ槍ヶ岳を目指して西鎌尾根を歩く。槍の穂先が今回の旅の最終目的地だ。
まずは三俣蓮華岳へ向けてひたすら登る。
背後には昨日登った黒部五郎岳が朝日に照らされていた。
5:40 昨日はここを下りながら、登りは結構大変なことになりそうだと思っていたが、ぜんぜんそんなことはなく、コースタイムを短縮したうえで山頂に到着することができた。前日のゆったりした行程とテント場でゆっくり体を休めたことで体力が回復したのかもしれない。
三俣蓮華岳から今日の目的地を見据える。
まだだいぶ先のように見えるが、昼くらいにはあそこに到着予定。これまで様々な場所で見てきた槍ヶ岳の穂先に今日到達することができる。
高ぶる気持ちを抑え、昨日小屋で買っておいたアンパンを頬張り、塗るタイプの日焼け止めを肌の露出している部分に塗りたくり、双六岳方面へ歩き始めた。
双六岳へ
双六岳方面へは、三俣蓮華岳をいったん三俣山荘方面に下ってから行く巻道と、双六岳方面に少し歩いてから山頂方面と小屋方面へ分岐する全部で3通りのルートがある。
ここまで順調に歩いてくることができた僕は双六岳の山頂を目指すことにした。
6:53 双六岳(2,860m)登頂!
山頂では電波が非力なソフトバンクでもデータ通信が可能だった。小休止したのち、双六小屋へ向かっていったん下る。
双六岳を双六小屋方面に向かって少し下ると、辺り一帯が丸みを帯びた広がりのある登山道にさしかかる。この辺りのトレイルは平坦で、槍ヶ岳も見えて、とにかく素晴らしい。ここはすぐに通り過ぎてしまうのが勿体ない気がして、景色を楽しみながらゆっくりと歩いた。
双六小屋
7:47 双六小屋に到着し小休止。
水分補給とトイレを済ませしばし休憩のち、いよいよ裏銀座縦走のクライマックスである西鎌尾根へ向かう。
8:40 まずは小屋の目の前にそびえる樅沢岳にサクッと登る。
ようやく槍ヶ岳への道筋が見えてきた感じ。
しばらくはさして大変でもないアップダウンのトレイルが続く。
途中でガサゴソと足元で音がしたので目を向けてみるとカエルがいた。
この辺りには水気はまったく無いんだけど、いったいどこから来たのだろうか。ブナ立尾根を登っている時にも木に登っているカエルを見かけたけど、いったい彼らはどこから何のためにこんな標高の高い所にいるのだろう?
10:00 左俣乗越が双六小屋と槍ヶ岳の中間地点のようだ。
ここは周囲が平らで広がっているため、休憩するには良さそうな場所だった。
西鎌尾根
いよいよ槍ヶ岳へ向かう西鎌尾根ゾーンに突入。
ここから徐々に険しい登山道になってきて、クサリ場があったり、足を滑らせたらゲームオーバーみたいな場所もあったりで、緊張感が高まる。
僕個人としてはクサリ場よりも上の写真の箇所が怖かった。ずるっと足を滑らせたら左に転がり落ちてしまいそうで、右側には掴まるものも特に無いし。
11:12 そんなこんなで千丈乗越に到着。ここにある小さなベンチで小休止。槍ヶ岳山荘への最後の登りに備えて体を少し休めた。
ご覧の通り槍ヶ岳山荘はすでに見えていて、もうちょっと頑張れば到着かなと思っていたが、ここからが非常に長かった。
急登というわけではないが、つづら折りの登りが長く続き、槍ヶ岳山荘がもう見えているというのに、歩いても歩いてもなかなか近づいた感じがしない。
歩いては休んでを繰り返し、あと少しと自分に言い聞かせて足を進める。
12:15 ようやく槍ヶ岳山荘へ到着した。
小屋の前でしばし休憩した後、テント場の受付へ。
槍ヶ岳山荘のテント場
槍ヶ岳山荘のテント場は場所指定制で、受付でテントの大きさなどおおまかな情報を告げると、それではこちらへと地図で設営場所を教えてくれる。1,000円の幕営料を支払うと指定されたテント場の番号が書かれた木の板を渡される。
僕が今回指定された場所はこちら。1番。
テント場の中でも比較的小屋に近く、なかなか良い場所だった。
テントを設営し中で横になると、疲れがどっと押し寄せてきて気分が悪くなってしまった。このままだと今日のうちに槍ヶ岳登頂は難しいかもしれない・・・。もう登らないまま下山するのもアリだな・・・なんて思いながらしばらく横になっていたら少し気分が落ち着いてきた。
もしかしたら単に腹が減っているだけなんじゃないだろうか?思い返してみれば朝からアンパン1個しか食べていない。
何か食べれば復活できるかもしれない。そう思った僕は、槍ヶ岳山荘の食堂で牛丼を注文した。少し待って出てきた牛丼を食堂でガツガツ食べていたら、みるみる元気が出てきて、食べ終わる頃には超絶回復していた。
槍ヶ岳の穂先へ
すっかり元気になった僕は槍ヶ岳山頂を目指すことにした。
槍ヶ岳山荘ではヘルメットのレンタルを行っていたが、まあ大丈夫だろうと思ってノーヘルで登ることに。
僕の前に初心者山ガールのような方々がいて軽く渋滞が発生していた。
登り方もおぼつかない感じで、落石だけは勘弁してくれよと願いながら見守った。幸い石を落とされたりすることは無かったが、念には念をでヘルメットをレンタルしておくべきだったと後悔した。
この日は平日だったこともあり、それほど混雑はしていなかった。こういう場所は落石などのリスクを考えると、週末などの大混雑時は避けるべきだなと思った。
14:40 槍ヶ岳(3,180m)登頂!
しかし何も見えないw
山頂に近付くにつれあたりはガスに覆われ、山頂に到着した段階で周囲の視界は殆どなかった。これまで快晴続きの日々だったのに最後はガスで何も見えないという・・・。
展望は残念ではあったが、裏銀座を縦走したうえでここに立っていることに意味がある。絶景は今回沢山見てきたし、槍からの展望はまた次の機会に取っておこうと思った。
山頂で少し待ってみたが、晴れ間はやってきそうになかったため、テント場に戻ることにした。登りながら下りは怖そうだなと思ってはいたが、やはり怖い。
下りは結構な高度感があって、かつ落石をおこさないように慎重に足の置き場を選んでいくため、結構神経をすり減らした。先行する人が誰もいなければ落石など気にせずにガンガン下れるのだが。
そして無事に槍ヶ岳山荘まで戻ると槍の山頂に晴れ間が・・・。
夕方になると周囲は完全にガスに包まれてしまい、展望もクソもない状態になってしまったため、テントに入って日が暮れるのを待った。
夕焼け
日の入りの時刻にさしかかったため、ダメもとでテントの外に出てみると、雲の切れ間から太陽が見えてきた。急いでカメラを用意して日の入りをタイムラプスで撮影した。
SDカードが満タンになり撮影が途中で止まった・・・。
慌てて不要な写真データを消して空き容量を捻出しているあいだに太陽は雲の中に姿を消してしまった。
就寝
ふたたび辺りはガスに覆われ、撮影する対象もなくなってしまったため、テントで夕食を食べ、シュラフに入ったが、なかなか寝付けない。
仕方なくhuluで花咲舞が黙ってないを見た。(槍ヶ岳山荘のテント場はソフトバンクでも4Gが入る!)4泊5日の裏銀座縦走の最後の夜が、花咲舞が黙ってないとともに更けていくとは・・・。
つづく。