2日目は穂高岳山荘から奥穂高岳に登ってご来光を見て、小屋に戻ってテントを撤収して上高地に下山します。
前回までの記事はこちら。
前日は夕方くらいからガスが出て、夜には周囲が何も見えなくなっていましたが、深夜を過ぎたあたりから天気は回復し空には満天の星空が広がっていました。(例によってまともに撮れず…)
穂高岳山荘でトイレを済ませて小屋の前に来てみると、奥穂高岳を目指して出発していく登山者がちらほらいました。
「そんなに早く出発しても山頂でご来光を待つ時間が長くなるだけでは…」なんて思っていましたが、割と早い段階でそれが間違いであることを思い知らされます。
夜明け前の涸沢テント場
涸沢のテント場が見えたので、小屋の前で三脚を立てて撮影。
時間があればここで涸沢のテント場をタイムラプスで撮影したいところですが、そんなことをしていると日の出の時刻に間に合わなくなってしまうので、荷物を背負って撮影機材のセッティングも済んだので穂高岳山荘を出発します。
奥穂高岳山頂へ!
まだ辺りは真っ暗ですが、先行する登山者が大勢いるおかげで進むべき道に迷いはありません。先行者の灯りで大まかな方向を、ヘルメットに装着したヘッドライトで自分の足元を確認し、慎重に先へ進みます。
渋滞発生
穂高岳山荘を出発した直後から渋滞が発生していて、最初は連続するハシゴ周辺を越えれば改善するかな?と思っていましたが、どうやら岳沢方面に出発したパーティーがかなりゆっくり歩いているようです。
なかなか先に進めないばかりか僕の後ろにも後続がどんどん詰まってきました。
スローペースのおかげで息を切らさずにじっくり景色を楽みながら歩けている側面もありますが、もう少しペースを上げてもらわないとご来光が…。
こんなことになるならもっと早く出発しておくべきでした。
あまりの遅さにしびれを切らした登山者数名が後方から無理やり追い抜いていく場面も…。そんな状況を察したのか、渋滞の起点になっていたパーティーが道を避けて我々を先に進ませてくれました。
詰まっていた渋滞は一気に解消され、日の出直前に奥穂高岳の山頂に到着することができました。
最高の朝
山頂は記念撮影で大混雑。
そんなことよりもご来光だ!と山頂から少し先の見晴らしの良い場所に移動します。
「この辺りで撮影しようかな」と思って歩いていたところ、休憩中の方の頭に乗っていたオレンジ色のヘルメットが崖に転がっていきました。
奥穂高岳の山頂近くで遭遇した「あーっ!」 pic.twitter.com/jgZi9hjimU
— はらですぎ (@hara_desugi) 2021年10月15日
あー…と声を漏らす僕とは対照的にヘルメットの持ち主は転がっていくヘルメットを冷静に目で追っていました。
バックパックを下ろして慌てて三脚を出しているところで太陽が顔を出しました。
急いでタイムラプスの設定を行って撮影を始めますが、すでに太陽が出た状態から撮影を開始したので印象的な映像にはなりませんでした。
とはいえ朝日に照らされる山の景色は最高です。
奥穂高岳の山頂はこんなに素晴らしい眺めだったんですね。
手前左に涸沢岳、右に北穂高岳、そして中央奥には槍ヶ岳が見えます。
さらにその向こうにも北アルプスの山々が。
日の出の方角の右奥には富士山も見えました。
こんなに天気が良いならテントを撤収して前穂高岳を経由して下山しても良かったかもしれないですね。
少し風が強く吹いていましたがこの景色を前にすれば全く気にならないレベルです。
過去の奥穂高岳
過去に3回、岳沢から重太郎新道・吊り尾根を経由して奥穂高岳に登りましたが、いずれも眺望のない残念な天気でした。
今回のように下山の前の早朝に再度登ればよかったのですが、1回目と2回目は疲労困憊で登る気になれず、3回目は小屋泊で体力的には問題ありませんでしたが、怪我をしていた足の指の状態が悪化していたので諦めました。
随分時間がかかってしまいましたが、4回目の登頂でようやく素晴らしい景色を見ることができました。
時間がかかったぶん感動もひとしおです。
北アルプスのラスボス「ジャンダルム」はいずれ
奥穂高岳の山頂の向こうにはドーム状の岩稜がそびえ立っています。
いつかはジャンダルム…そんなことを常々考えていますが、そろそろ実行に向けて計画を立てたいところです。
できれば来年あたりに…。
穂高岳山荘へ
もっと滞在していたいところですが、今日のうちに下山して家に帰らなければなりません。後ろ髪を引かれる思いで山頂を後にしました。
穂高岳山荘に戻る道中も絶景の連続です。
ガスの中を奥穂高岳から穂高岳山荘まで歩いた時は「まだ着かないのか…」なんて悪態をつきながら歩いたものですが、今回はあれよあれよという間に穂高岳山荘に帰ってきました。
テントを撤収して下山開始
穂高岳山荘に戻ってきました。
同じ並びに張っていたテントはすでに撤収されて誰もいなくなっていました。
テントを撤収して下山の準備を整えます。
ザイテングラートを下る
下りのザイテンはこれまで3回歩いていますし、コースタイムもそれほど長くないため、注意を怠らなければそれほど難しくはありません。
ただ、秋のテント泊装備が入ったバックパックの重量に加えて、メタボリックな僕の自重が踏み込むたびにズシリと足にダメージを与えていきます。
ザイテングラートの取付まで下ってきたあたりで足の踏ん張りがきかなくなってきました…。
やはり体重が重い人の方が足への負担が大きいので疲れるんでしょうね。
ザイテングラート取付から先は大小ガレた石が転がる歩きづらい道が続きます。
涸沢小屋が近づいてくるとガレた道から大きな岩が転がる道に変わってきます。
危険な個所を通過し終えて安心と共に空腹感がやってきます。涸沢小屋に着いたら朝ごはんを食べようと思います。
涸沢小屋で休憩
…というわけで涸沢小屋に到着しました。
テント場はすでに撤収した登山者が多かったのかだいぶ減っていました。
朝ごはんをまともに食べていなかったので、無印良品のバナナバウムを食べながら、自動販売機で購入したコーラを飲みます。
無印良品のバウムシリーズは、しっとりしていて食べやすく高カロリーなので山での朝食や間食にぴったりです。
バナナバウムを頬張りながら景色を眺めていたらイワヒバリが涸沢小屋のテラスにやってきました。
この手の野鳥はカメラの電源を入れていざ撮ろうと思った瞬間に飛んで行ってしまうものですが、このイワヒバリは人慣れしているのか逃げません。
逃げないどころか床をウロウロして登山者の食べ残しを探し出すふてぶてしさ。
どうやら涸沢小屋の常連は人間だけではないようです。
パノラマコースは見送り
カロリーを補給して休憩を済ませたので出発します。
体力的に余裕があれば涸沢からパノラマコースで紅葉を楽しみながら下山しようと思っていましたが、ザイテングラートの下りで思いのほか消耗してしまったので見送ることにしました。
さらば涸沢!
また来ます!
スポルティバのTX4
今回の足のお供はスポルティバのTX4でした。
前回の剱岳登山でデビューしたアプローチシューズですが、思いのほか気に入ってしまったので今回もこれを履いてきました。
ローカットで軽いので平坦な道ではスイスイ歩くことができ、岩場ではビブラムのメガグリップがしっかりグリップしてくれます。
つま先部分が補強されているのでつま先で岩を蹴ってしまっても問題ないですし、凸凹した岩場や石の多い道を歩いてもソールからの突き上げは殆どありません。
機動力と安定感を兼ね備えた素晴らしいシューズだと思います。
爆速で下山
…というわけで前日に登ってきた道を爆速(自称)で下っていきます。
爆速で下る理由は、なるべく早く下って上高地食堂でバスの時間までゆっくりしたいと思っていたから…というのと何となく腹の調子が微妙だったからです…。
とりあえず横尾に到着する目途が立てば安心できるので急いで下りました。
本谷橋
通過。
横尾
無事に横尾に到着しました。
トイレを済ませてコーラを飲んで直ぐに出発。
徳沢
いつもなら徳澤園でソフトクリームを食べて帰りますが、登山者で溢れかえっていたので立ち寄らずに通過しました。
この辺りまで来るとほぼ平行移動なので、心を無にして淡々と歩いていきます。
明神館
涸沢からまともに休憩していないので明神館でも飲み物休憩。
C1000 ビタミンレモンを飲みました。
河童橋
そんなこんなで河童橋。
観光客の密度がヤバい…。
この混み具合は僕の中では過去一かも。
大勢の観光客の中を歩いていると何だか場違いな場所に迷い込んでしまったような気分になります。
上高地バスターミナルに到着!
涸沢から4時間ほど(爆速ではなかった)で上高地バスターミナルに到着しました。
バスの時間までだいぶ余裕ができたので上高地食堂で昼ごはんを食べることにしました。
上高地食堂でランチ
前に食べた信州サーモン丼が美味しかったので、今回もそれを注文しようとしますが売り切れだったので、仕方なくそばを食べることにしました。
サーモン丼を食べるつもりでここまで急ぎ足できたので売り切れは残念ですが、そばはそばでサッパリしていて下山後に食べる食事としてアリな気がしました。
バスの予約を変更して少し早めに移動開始
食事の時間を入れてもバスの時間まで結構余裕があったので、発車オーライネットで事前に予約していたバス(上高地-新島々・白骨・乗鞍)の時刻を少し早めました。
スマホで気軽に変更できるので非常に便利です。
松本駅到着に合わせて予約していた電車の切符もえきネットで変更しました。
この日は松本駅からの特急あずさ系の電車が満車で乗れないため、長野駅を経由して新幹線で帰る割高プランです…。
上高地から新島々までバスで移動し、そこから上高地線に乗り換えて松本駅に向かいますが、鉄道上高地線は大雨の影響で田川橋りょう(西松本~渚間)が被災しており、電車が通過できません。
松本駅の手前の渚駅から運行されている代行バスに乗り換えました。
バスは時刻表通りに松本駅に到着。
次は電車に乗り換えて長野駅経由で横浜に帰ります。
特急あずさ系が満車で乗れないため長野経由で帰る
特急しなので松本駅から長野駅に移動し、そこから北陸新幹線に乗り換えて東京駅に向かいます。
新幹線に乗り換え、シートに座ってビールを飲みながらスマートフォンを見ていたところ、何やら不穏なニュースが飛び込んできました。
あれ…東京駅から横浜方面…大丈夫だよな?なんて心配していましたが、東京駅に到着した時点で横浜方面の電車は動いており、自宅まで問題なく帰ることができました。
おわりに
上高地へのバスの予約から穂高岳山荘のテント場予約までバタバタでしたが、秋晴れの空のもと楽しい山登りができました。
次に奥穂高岳の山頂に立つときは槍ヶ岳からテントを担いで来た時ではないかと妄想しています。そして可能であればその先のジャンダルムへ…。
そのためには来年の夏に向けて10kgくらい痩せる必要があるので、まずはダイエットですね…。
YouTube動画
今回の旅の様子は動画でも記録しているので、YouTubeチャンネルのほうでご覧頂ければと思います。